宇宙ステーション01
戦いは連邦軍の勝利で終わったが、連邦軍の被害も甚大であった。3小隊あった部隊はエレノア機1機を残し全滅。艦隊もマラカ級1隻を残し撃沈されていて、残った1隻も戦闘に耐えられる状態ではなかった。
しかしながら宇宙ステーションでは、ムーンキングダムより脱出した者たちの間で喜びを分かち合っていた。
「おじいちゃん!おじいちゃん!」
と老人に駆け寄る子供
「あなた!」
「アンナ!」
と熱烈に抱き合い抱擁するもの
そう言った者たちがいる中
「パパ~!ママ~!どこ!どこにいるの!」
と泣き叫ぶ女の子や
「この子を見ませんでしたか?うちの子なんです。誰か見ませんでしたか?」
と不安そうな顔で自分の子供を探す女性が見受けられた。
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宇宙ステーション司令部
「ガント司令!ガント・ボルフ司令!」
兵士が軍帽を深くかぶった筋肉質の男に声を掛けた
「ん?何だ君か少尉。それで何かな?」
「ハッ!現在このステーションに集まった人々は2000人を超えています。それに対して降下用の船は1500人分しかありません。いかがいたしましょう。」
「軍用のも使えばいいだろう?」
「ハッ!そのように手配しますが100人ほどが乗ることが出来ません。」
「困ったな~。」
「困っておられるならもっと真面目に困った顔をしてください。それに護衛の艦がありません。」
「はぁそれは本当に困ったな・・・」
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宇宙ステーション軍港内
「おい!輸送艦はどうなっている!」
白衣を着た男が兵士に向かって怒鳴り散らした。
「ハッ!現在信号が途絶えているので落とされたかと。」
白衣の男は顔を真っ赤にしながら
「なっ!捜索隊を出せ!すぐにだ!あれには新型が積んであるんだぞ!」
「そう言われましても、捜索に出せる部隊がありません。」
「小型艇でもなんでも出せばいいだろう!」
「それではここの守りが無くなってしまいます。」
「ええ~いこんなとこよりあの新型が!GFセラフィムの方が大事なんだよ!」
その言葉を聞いた、がたいのいいスキンヘッドのドワーフの男は白衣の男に近づき
「失礼!」
鳩尾に一発いれ博士の意識を奪った。
「何が新型の方が大事だ!誰かこいつを医務室まで連れていけ!そんでもってベッドに括り付けておけ!」
「へい!おやっさん!分かりやした。」
整備服に身を包んだ男が足を持って引きずるように運んでいった。
そこへ傷ついたマラカ級が入港してきたので、スキンヘッドのドワーフは
「野郎ども!英雄の帰還だ!きっちりと直してやれ!」
「「「おう!!!」」」
男たちはハッチが閉まるのを確認すると、傷ついた艦に向かって行くのであった。




