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ユグドラシル~戦いの果てに  作者: あおい聖
宇宙ステーション
21/66

宇宙ステーション01

 戦いは連邦軍の勝利で終わったが、連邦軍の被害も甚大であった。3小隊あった部隊はエレノア機1機を残し全滅。艦隊もマラカ級1隻を残し撃沈されていて、残った1隻も戦闘に耐えられる状態ではなかった。


 しかしながら宇宙ステーションでは、ムーンキングダムより脱出した者たちの間で喜びを分かち合っていた。


「おじいちゃん!おじいちゃん!」


 と老人に駆け寄る子供


「あなた!」


「アンナ!」


 と熱烈に抱き合い抱擁するもの


 そう言った者たちがいる中


「パパ~!ママ~!どこ!どこにいるの!」


 と泣き叫ぶ女の子や


「この子を見ませんでしたか?うちの子なんです。誰か見ませんでしたか?」


 と不安そうな顔で自分の子供を探す女性が見受けられた。


・・・・・・・・・・・・・・・


 宇宙ステーション司令部


「ガント司令!ガント・ボルフ司令!」


 兵士が軍帽を深くかぶった筋肉質の男に声を掛けた


「ん?何だ君か少尉。それで何かな?」


「ハッ!現在このステーションに集まった人々は2000人を超えています。それに対して降下用の船は1500人分しかありません。いかがいたしましょう。」


「軍用のも使えばいいだろう?」


「ハッ!そのように手配しますが100人ほどが乗ることが出来ません。」


「困ったな~。」


「困っておられるならもっと真面目に困った顔をしてください。それに護衛の艦がありません。」


「はぁそれは本当に困ったな・・・」


・・・・・・・・・・・・・・・


 宇宙ステーション軍港内


「おい!輸送艦はどうなっている!」


 白衣を着た男が兵士に向かって怒鳴り散らした。


「ハッ!現在信号が途絶えているので落とされたかと。」


 白衣の男は顔を真っ赤にしながら


「なっ!捜索隊を出せ!すぐにだ!あれには新型が積んであるんだぞ!」


「そう言われましても、捜索に出せる部隊がありません。」


「小型艇でもなんでも出せばいいだろう!」


「それではここの守りが無くなってしまいます。」


「ええ~いこんなとこよりあの新型が!GFセラフィムの方が大事なんだよ!」


 その言葉を聞いた、がたいのいいスキンヘッドのドワーフの男は白衣の男に近づき


「失礼!」


 鳩尾に一発いれ博士の意識を奪った。


「何が新型の方が大事だ!誰かこいつを医務室まで連れていけ!そんでもってベッドに括り付けておけ!」


「へい!おやっさん!分かりやした。」


整備服に身を包んだ男が足を持って引きずるように運んでいった。


 そこへ傷ついたマラカ級が入港してきたので、スキンヘッドのドワーフは


「野郎ども!英雄の帰還だ!きっちりと直してやれ!」


「「「おう!!!」」」


 男たちはハッチが閉まるのを確認すると、傷ついた艦に向かって行くのであった。

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