第39話 「ヒロイン」
前話の続きであるにも関わらず、長らく時間を空けて申し訳ありません。
ホントにね、小説家になろうのページすら滅多に開かない状況です。
〜奏SIDE〜
〜本部・長老の間〜
お姉様たちは任務に出て行って、
まだ戻ってきていないというのに私は任務を言い渡されました。
「もう1人…ですか」
「ええ。同じ世界に辿り着いたようですが場所が離れてしまったようです。
2人は次元を転移できるほどの魔力はなく、向こうの装置を使って転移した。
詳しく調べた所、そういう事がわかった、ということです」
まったく…迷惑な話です。
「というわけで奏、あなたの信頼する者
1名か2名連れて転移装置で転移してください」
「それは調律師でも…?」
「構いません」
「わかりました。では」
そして私は部屋を出た。
〜廊下〜
さて、どうしましょうか…。
信頼する者…。
「お、奏ちゃんはっけ〜ん」
箱を持ったメデスがこちらへ歩いてきます。
「ケーキ買ってきたんだけど一緒に食わないか?
ん?祢音ちゃんと無月は?」
メデスは周りをキョロキョロ見渡します。
「任務です」
「で、珍しく1人居残りってわけか。
じゃあこいつどうしようか…。
無月はともかく祢音ちゃんがいないってのはなぁ」
1人でウンウン唸ってるメデス。
!
信頼できるかどうかは別としてメデスは使える男。
訊いてみましょう。
「メデス。私、これから異世界で任務なんですがついて行ってくれませんか?」
「マジか!?行く行く!」
内容も訊かず、任務帰りというのに即答で了承してくれました。
予想通りの返答です。
「2人でか!?」
メデスと2人。
少々危険な予感がしますが…他に誘う人なんていないですし。
「そうですね」
「いやっほおおぅ!!」
「では行きますよ」
「はいはい」
『異世界・アルトネリコ』
〜ホルスの翼・ネモ〜
「っと…」
「到着だな」
ここはお姉様たちが行っている塔とはまた別の塔の傍に浮かぶ大陸です。
「さて、どうやって捜す?」
「人捜しの魔法は使えませんから訊き込みしかありませんね」
写真は持っています。
これを使えば相手にもわかりやすいです。
「この人、知りませんか?」
近くの店の人に訊き込みします。
「あー知ってるよ」
「! 本当ですか?」
私が驚くと店の人は不思議な顔をして私を見ます。
「世間を騒がせた泥棒で、
昨日教会に捕まったばかりじゃないか」
「へー、で教会ってのはどこにあるんだ?」
メデスが話に割り込んできます。
「あそこに建物が見えるだろう?あれさ」
指さす方向を見ると他の建物とは違った、まさしく教会と言える建物が見えます。
「ありがとうございます」
店の人にお礼を言って私たちは教会へ向かいました。
〜エル・エレミア教会〜
「教会、ですか…」
教会の定義は私たちの世界と同じのようです。
「教会に何か用ですか?」
1人の男性がこちらに気づき話しかけてきました。
「昨日捕まったこの人に会いたいんですけれど…」
「んー、私1人の判断では…。
ラードルフ司祭がいればいいんですが今はいないですし…。
夕方まで待ってもらえませんか?」
「そうですか。
わかりました。では夜に」
〜教会前〜
時間があきましたね。
「なら観光でもしないか!?」
観光……暇潰しにはなりそうですね。
「いいですよ」
「よーし!
誰か案内してくれるヤツいねぇかなぁ…」
「必要ないです。2人で十分です」
「何!?2人きりがいい!?
そうか…ようやくオレとデートしたくなったか〜」
「いえ、余計な人付き合いをしたくないだけです」
いつもながら勘違い甚だしいですね。
〜通り〜
あ、お店がありますね。
ちょっと行ってみましょうか。
「お、店行くのか?」
私がお店に向かって歩き始めるとメデスもついてきます。
お店はちょっとした雑貨屋のようで、アクセサリーもいくらか置いてありました。
お姉様に何かお土産でも買っていきましょうか…。
「どうどう?こんなんは?」
メデスの手には赤い毛糸玉。
「仲結いの糸だってさ。
これでオレと奏ちゃんの絆がよりアップだな」
「いりません」
「まぁまぁ、オレとじゃなくても奏ちゃんの恋が成就するぞ?」
「必要ないです」
「なんで?縁起は担がないタイプか?」
「いえ、恋愛なんて興味ないですし、
私はメインヒロインではありませんから」
「へ?」
「お姉様や魅夜様の方がらしいですよ。
脇役の私には恋が成就するどころか
私に恋させるほどの男性なんて出会えませんよ」
「ん〜奏ちゃんに恋させるなんてよっぽどかもなぁ…。
ああ、オレなら十分可能なんだけど」
「不可能です。
そういうわけで興味ありません。
………これください」
出発前に渡された資金を使って白い花が飾られた髪留めを買いました。
お姉様はあまり髪をくくらない人ですけど、いいですよね?
そう思いながら髪留めをポケットに入れました。
〜通り〜
「なぁ…」
今まで無言だったメデスがここで声をかけてきました。
「なんですか?」
「奏ちゃんの人生なんだから奏ちゃんがヒロインじゃねぇのか?」
「別にヒロインが誰かなんて話はしてません。
性格の問題ですよ」
「オレは奏ちゃん好きだけどなぁ」
「メデスは女性なら誰にでも言うでしょう?」
「まぁね〜。
でも世界は広いしな。
きっと奏ちゃんが好きで、奏ちゃんも好きなヤツがどっかにいるだろ。
「だといいですね」
「オレが無理なら無月はどうだ?」
「兄さん?兄さんは家族ですよ。
恋愛対象にはなりません」
「ふ〜ん。
ところで、奏ちゃんの好みのタイプは?」
「好みのタイプ…考えてみたこともなかったですね…。
まぁ……好きになった人が好きなタイプということで」
「そっか…」
「そろそろ、いい頃じゃないですか?
教会へ行きましょう」
来週でアルトネリコ編を終了します。
現在状況や今後はその時に