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第3話 「バレンタインデー」

ちょっと早いバレンタインデー小説です。

この話でのバレンタインデーは実際とは少し異なった設定にしてます

【2008年 2月14日(木)】



【AM7:00頃】



「ふわぁぁ〜。ん…、もう朝になったんだね…」


肩胛骨(けんこうこつ)辺りまで伸びた、茶色の髪を持つ少女はベッドから起き上がるとカーテンをシャーと開ける。


この少女の名前は祢音。わけあって如月家の、無月の妹となっている。


(後、妹に奏がいるが、詳しくは本編「守護るべきもの」「終わりなき闘争曲」を参照。)


「今日は2月14日か…。そういえば、今日はバレンタインデーだったよね♪」


私は、ちゃっちゃと着替えを済ませてまずお兄ちゃんの部屋に行きました。


「お兄ちゃん〜、朝だよ〜」


私の声に、お兄ちゃんは


「ん…、あ、祢音か…?」


と返事を返しました。


「朝だよ〜、起きてよ」


しつこく私が言うとしぶしぶお兄ちゃんは布団から起き上がりました。


「…?どうした、祢音?いつもはねぼすけのお前が早起きするなんて珍しいじゃないか…?」


「うん…、たまには早起きしようと思ってね」


私はニコッとしながらお兄ちゃんに向かって言いました。


「着替えたら、先に台所で待ってて。私、奏ちゃん起こしてくるから」


そう言うと、私は奏ちゃんの部屋に起こしに行きました。




「奏ちゃん〜、朝だよ〜。起きる時間だよ〜」


私の声に奏ちゃんは、


「あ、お姉様…。今日は随分早起きなんですね。何かあったんですか…?」


と言う。


「とにかく起きて。話はそれからだよ」



☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆ ★



【AM7:30頃】



台所には、私が作りあげた朝食がずらりと並んでいる。


「わけを話してもらおうか」


と、お兄ちゃんが言いました。


「今日は何の日だかわかる…?」


私に言われて、お兄ちゃんと奏ちゃんはカレンダーを始めて見上げました。


「2月14日か…、どうりで…。」


一言お兄ちゃんが漏らしました。


「その日がどうかしたんですか」


奏ちゃんは私に質問をしてきました。


「今日はね…、バレンタインデーなの。


女の子が好きな男の子からチョコをもらう特別な日なの♪。…てわけで、ちょーだい♪」


私はお兄ちゃんに向かって両手を差し出しました。


「いいか、祢音!期待するのは勝手だが、オレはお正月みたく、金がねぇんだよ!


だからチョコなんか買ってやれるほど持ち合わせてねぇんだよ!」


と反論されちゃいます…。


「任務の報酬でガッポリもらってるくせに…」


私はボソッと小声で呟きます。


「バレンタインデーですか…。私はよく知らないのですが…。何のためにあるのですか…?」


だーかーらー!今言ったばかりじゃん!奏ちゃんってば!


「お前、そんなにチョコ欲しいのか?」


お兄ちゃんはすねている私に声をかけてきました。


「うん…。だってぇ、1年に1度のバレンタインデーなんだよ?


私は女の子だし、そういうものの1つや2つは貰いたいものだもん」


「おっ、そろそろ時間だな」


時計を見ると、もう8:20分をさしていました。



とりあえずうやむやのまま学園へ…。





〜昇降口〜



私は下駄箱から上履きを取ろうとすると、その上に小包が…。


「何だろ…、これ?」


私がその小包に目をやると、


「何してんだ?さっさと教室行くぞ!」


とお兄ちゃんの声が…。


「うん、先に行っててよ」


と、言うとお兄ちゃんと奏ちゃんは先に行ってくれました。


私はリボンのついた小包を鞄の中に入れて教室へ向かいました。




〜教室〜


教室に入ると、お兄ちゃんと奏ちゃん、それに千春、新田くん、安井くんが私を待っていました。


「遅かったね、祢音?」


と、千春が。


「ぼくより遅く来るなんて…」


と、安井くんが。


「何かあったのかよ?」


と、新田くんが口々に私に向かって言いました。


「うん…ちょっとね」


そう言いながら私は自分の席に座り、机の中を見てみると…。


「…これは!?」


私の机の中には、たくさんの小包が入っていました。


「もしかしたら、バレンタインチョコだったりして?」


と、千春が言いました。


「バレンタインチョコって………、祢音ってそんなにモテるタイプだったっけ…?」


と、お兄ちゃんが言いました。


「夢が叶ってよかったんじゃないんですか、お姉様…?」


と、奏ちゃんが言いました。


「う、うん…。でも誰かな?差出人が書いてないんだけどな…」


「もらっておけば、祢音?こういうチャンスあまりないしね」


と千春が言ったので素直に貰っておくことにした私。




やがて授業に入り…、昼休みを迎えました。


「祢音〜、食堂行こうよ。」


みんなに誘われて食堂へ…。



〜食堂〜


食堂はたくさんの生徒や人だかりで混み合っていましたが、運よく1つだけ席が空いていました。


「よし、ここにしようぜ!」


って新田くんが言いました。


「祢音、先に行ってきたら?私たちあとでいいから」


というわけで、私が先に行くことになりました。


券売機の前に立つと、なぜか行列を作っていたはずの生徒が私を見るとすんなり左右にどきました。


「お先にどうぞ。」


口々にそう言って、私は素直に券売機の前に辿り着きました。


「何にしようかな〜…」


私が迷っていると、さりげなく男子生徒のひとりが


「スペシャルランチがお得ですよ」


と言ってきたので、私はスペシャルランチ(450円)の食券を買いました。


食券を提示すると、シェフたちは


「おい、急いでスペシャルランチの特上を作れ!」


と怒鳴ったのです。




そして(またた)く間にスペシャルランチが出来上がりました。


気になるメニューですが…。


沖縄ソーキそばをチョコまみれにしたラーメンで、


チャーシューのかわりに、チョコレートクリームが2個のっかっていて、


五目チャーハンのかわりにチョコレートクリームでまみれたご飯に、


チョコレートパフェ、ホットココアがついた、


そんなメニューでした。




「うげ…、どうしてチョコばっかりなのぉ〜…」


私の声に、奏ちゃんが


「バレンタインデーだからなんじゃないんですか…?お姉様…?」


イヤイヤになりながらも、私はスペシャルランチを口にしました。


口の周りには、チョコレートがべっとりとつきました…。


みんなは、まともそうなメニューばかりを食べていました。


「なんで私だけこんな目に…」


と、ぼやく私。




放課後になりました。


千春や新田くん、安井くんは用事があると言ってお兄ちゃんと奏ちゃんと一緒に先に帰ってしまいました。


私は誰もいなくなった教室で、小包を開けてみました。


小包の中身は…。


ハート型のバレンタインデーチョコレートが1個入っていました。


底には、宛先不明で手紙が1通入っています。


「なんて書いてあるんだろ…?」


私は手紙を読んで見ました。


『僕、ずっと祢音さんのことが好きでいつも祢音さんのことを見つめていました。


お節介かもしれませんが、良かったら召し上がって下さい。××より。』




他の小包の中にも似たような文がツラツラと書き綴ってあり、


私はせっかくの好意を無駄にするのはかわいそうだと思い、素直に受け取っておきました。


「さて、せっかくだから1つ戴きましょうか…。」


私は、その中の1つを口にしました。


「ん〜、口の中でとろけるぅ〜」


チョコレートを食べたこの瞬間が、私の素直な感想でした。


私が1つ口に含むと、次から次にチョコレートに手を出して…。


「ふぅ〜…、どれもおいしかったなぁ〜。


でも誰が私にこんなにチョコをくれたんだろ…?すごく気になるなぁ〜…」


でも1人ずつあたっていくのはちょっと抵抗あるなぁ〜…。


気になっていた私だったけど、深くは追求するのをやめて私は気分転換に音楽室に行ってみることにしました。





〜音楽室〜



ピアノの前には、深雪ちゃん(※彼女のことについては、第3話外伝を参照して下さい。) がピアノを弾いていました。


私に気付くと深雪ちゃんは、


「…あら?祢音ちゃん。今日はずいぶん早く終わったんだね。何かあったの…?」


って聞いてきたから私は


「うん。実はね今日、たくさん宛先不明の男子生徒からチョコをもらったんだけどね…。


さすがに昼もチョコまみれだったから胃が受け付けなくなっちゃってね…。」


と言いました。


「…でもよかったんじゃない?そんなにたくさんチョコもらえてさ?」


「まぁ、いいんだけど。お返しとかつらいなぁ…。」


「うふっ…、じゃあわたしが少しもらっておこうか?」


「え…?いいの?深雪ちゃん、お腹壊しちゃうかもしれないよ?」


「大丈夫だって!お兄様とわけて食べるから。うふふふっ…♪」


そんなわけで、私は深雪ちゃんに少しチョコを分けることにしました。



それから私は家に帰りました。


「ただいま!」


私が勢いよく開けると、


「お帰り」


「お帰りなさいませ、お姉様」


とお兄ちゃんと奏ちゃんが出迎えてくれました。


「ごめんね、すっかり遅くなっちゃって…」


私は一応、帰宅が遅かったことを謝っておきました。


「…いえ、さ、お姉様。冷めないうちにお風呂に入ってきたらどうですか…?」


「うん、そうする」




私はひとまずお風呂に入ることにしました。



〜お風呂〜


私は髪を洗いながら、今日1日のことを振り返ってみました。


「今日は色々なことがあったなぁ〜…、机の中に、たくさんのチョコが入ってたり…。


まぁいいや…。今日はバレンタインデーだし…。」


その後、私は夕飯を食べた後疲れたので眠りました。


こうして、私のバレンタインデーをめぐるチョコレート事件は幕を閉じました。


めでたし、めでたし。

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