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第34話 「レーヴァテイル」

〜???の家〜


そのまま女の子についていくと家へ連れて行かれました。


「助かったよ。ありがとう」


まずはお礼。


わたしたちでなんとかできたかもしれないけど、


助けてくれたんだからお礼は言わなくっちゃね。


「いいよいいよ。わたし大鐘堂嫌いだし。


はい、お茶」


大鐘堂とはこの世界の政府機関の事。


なんか神様の声が聞こえる御子がいるらしいの。


そう事前にもらった資料に書いてあった。


「ありがと」


わたしとお兄ちゃんは用意された椅子に座ってお茶を飲む。


久遠様は珍しそうに部屋を物色してます。


「わたしは藍紗アイシャ。あなたたちは?」


「オレは如月無月」


「わたしは如月祢音。


それであの人が久遠様」


「よろしく。


それにしてもあなたたち、見たことない服着てるわね。


どこの出身なの?」


「あーまぁ遠い所だな」


「ふーん」


お兄ちゃんの答えに興味なさげな返事。


「その服装といい、何かワケありのようね。


でも余計な詮索はしないでおくわ。興味ないし」


藍紗ちゃんには完全でなくても少しは素性がバレちゃったみたい。


まぁ…しょうがないのかな。


「ねぇ…これいい首飾りね」


少し離れた所からの声。


久遠様が大切そうに飾られている首飾りを指さして言います。


その首飾りは高そうな宝石がついてるわけじゃなくて


シンプルなものだけどわたしもいい首飾りだと思った。


「ああ、それね…。


お父さんとお母さんに買ってもらった首飾り。


店の人にわざわざ作ってもらって、妹とおそろいにしたの」


オーダーメイドってヤツかな。


「妹がいるの?」


「うん。いたの。


名前は蒼紗ソウシャ


その言い方を聞いてわたしはしまったと思った。


「…ごめん」


「謝る必要なんかないよ。


知らなかったんだし、あの子はIPDだったからね。


2年前発症して大鐘堂に連れてかれた。


だから嫌いなの。


IPD、知ってる?」


「知ってる」


IPDって言うのはレーヴァテイルだけが発症する感染症。


あ、レーヴァテイルっていうのは藍紗みたいに詩を謳う事で魔法が使える女の子の事。


見た目は人間なんだけど魔法が使えたり延命剤が必要な所とかが違う。


それで、IPDは精神を蝕んで詩魔法を暴発させる。


効果的な対処はなし。


気絶させたら安定するらしいんだけど、すぐちょっとした事で発症する。


だから気絶させてどこかに隔離するしかない。


連鎖発症もするから大鐘堂が保護する役割を持ってる。


こんな所だったかな。


「蒼紗は連れてかれてその後どうなったかわからない。


噂じゃあどっかに集められてるとか殺されてるとか…」


ドンドンドン


突然荒々しくドアがノックされる。


「大鐘堂の者だ!」


大鐘堂…というとさっき追っかけてきた人たちね。


「奥の方に隠れてて。


ちょっと待ってください!」


「入るぞ」


藍紗の言葉を無視し、ドアが開けられた。


「げ…」


今、まさに隠れようとした瞬間を見られちゃった。


「やはり隠していたか。


捕えろ!」


わいわいと中で追いかけたり追いかけられたり、まるで鬼ごっこ状態。


「外へ出るぞ!」


お兄ちゃんの指示通り、わたしたちは外に出ることにしました。





〜藍紗の家の前〜


今わたしたちは対峙しています。


どうやら戦いは免れないみたい。


久遠様は一番後ろで腕を組みながら見物してます。


「どうせあなたたち、レーヴァテイルと一緒の戦いの仕方知らないでしょ?


わたしたちレーヴァテイルは魔法は使えるけど身体能力は普通の人間。


それに詩魔法使ってる間は無防備だからちゃんと護りながら戦ってね。


戦いは上手いの?」


「専門職だ」


お兄ちゃんが剣を出しながら答える。


「なら頼らせてもらうわよ」


「詩魔法って強力なんだよね?」


今度はわたしが藍紗ちゃんに訊いてみる。


「まぁ使うものにもよるけど、騎士を吹っ飛ばすぐらい余裕よ」


「じゃあわたしたちも頼らせてもらおうかな」


「頼ってちょうだい。


今から使うのは青魔法、あなたたちを護るための詩。


防御への魔法だから少々の事では傷つかないわ。


思い切って戦って」


「ありがとう」


「行くわよ…。


♪〜♪〜〜♪〜♪〜」


藍紗ちゃんが謳い始めるとわたしたちを優しい光が覆う。


「♪〜」


向こうのレーヴァテイルも謳い始めた。


さっきと同じ魔法弾みたい。


騎士が迫ってくる。


ランス相手なんてやったことないからなぁ。


ダァン


銃を撃つと鎧に当たって弾かれちゃった。


鎧があると狙いにくいし、なかなかの強度ね。


騎士はわたしの目の前まで迫ると突きを放ってくる。


「っと…」


突きがかわされたとなると次々と突きを繰り出してくる。


動きはそんなに速くないから直撃はないと思うけど…。


いきなり騎士はわたしとの距離を作る。


様子見?


「祢音!魔法だ!」


え?


上を見ると魔法弾がわたしめがけて放たれたところだった。


「きゃあっ!」


なんとか直撃はなかったけど


魔法弾が地面に当たった時に爆発して、それは当たっちゃった。


「…あれ?


なんともないや」


これが魔法の力?


シールドやバリアを張る手間が省けていいや。


向こうのレーヴァテイルは2発目を準備中。


先にレーヴァテイルとなんとかしないとね。


―お兄ちゃん、騎士2人はわたしが足止めするから。


レーヴァテイルをお願い―


―わかった―


狙うは足。


すねの辺りが丁度あいてる。


そこを狙えば…。


お兄ちゃんがレーヴァテイルに向かって走り出す。


騎士の注意がお兄ちゃんへ向いた瞬間を狙って、


わたしは銃を放つ。


弾丸はなんの邪魔もなく2人の騎士のすねに。


跪いた騎士にお兄ちゃんは止められない。


レーヴァテイルはお兄ちゃんに殴られる瞬間驚いた顔をしてた。


お腹を殴られたレーヴァテイルは何度か咳をする。


その後、藍紗ちゃんの家にあった縄で3人を縛りあげる。


「今のうちに逃げるぞ!」


殺すことができないならそれしかないよね。


「ちょっと待って!


家に取りに行きたいものがあるから行っていい?」


「ああ……とそうだ、どうせなら記憶消去するか」


「そうだね」


お兄ちゃんとわたしは1人1人額に手を当てます。


手を当てられた騎士たちは気を失ってしまいました。


「ねぇ…記憶を消せるなら


さっきの周りにいたヤツらもやればよかったのに」


「記憶消去の魔法は多くの魔力を消費する上、


自分の消したい部分だけを消すだけの集中力が要る。


多人数向きじゃない」


「なら全部消しちゃえばいいじゃない?」


「そうすればその分多くの魔力を消費する。


最小限に留めなきゃならねぇんだ。


多分2度と来ないだろうし、


よっぽどの事がない限りしない」


そうしてるとすぐに藍紗ちゃんは戻ってきた。


そうしてわたしたちはこの場から離れる事にしました。


「こうして走ってるけど…逃げ場所の当てはあるの?」


「ない」


久遠様の質問にお兄ちゃんはきっぱりと答えた。


しっかりしてよね…。


わたしが言えた事じゃないかもしれないけど。


「ならエナに行きましょ。


あそこなら大鐘堂も手が出しにくいはずよ」



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