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第24話 「心の牢獄」

後書きにちょっとしたお知らせがあるので読んでください。

「お兄ちゃーーん!!」


マヤとの不思議な出会いの後、ある日またもや祢音が叫び声を上げながらオレの部屋に入ってきた。


だが、前回とは様子は違っていた。


「かっ、奏…ちゃんが…」


祢音は涙目で奏はいない。


「奏がどうした?」


いつも祢音に付き添って、今も傍にいるはずの奏の姿はない。


「ドリームで……遊んでたら………奏ちゃんが…奏ちゃんが…」


「落ちつけ。何があった」


さすがにオレも寝ころびながら聞いてるわけにもいかず、座って話を聞く。


そして1分ぐらいじっとしてから、祢音は話を始めた。


「終わっても…奏ちゃんが帰ってこないの…」


「帰ってこない??」


「とにかく来て…」


オレと泣いている祢音に疑いや怪しい眼を向ける者の視線を感じつつ、オレはドリームのある部屋へ来た。





「無月…」


部屋では天照様と久遠が慌ただしく動いていて、一つのカプセルに奏が眠っていた。


「どうしたんですか?」


「あ、あの…」


「説明はわたしがするわ。天照は居場所を…」


「はい」


「悪かったわ。これは紛れもなくわたしのミスよ。


奏が『心の牢獄』に閉じ込められた、いえ閉じこもったという方が正確かしら」


「心の牢獄ですか?」


「そう。わたしが開発したこのドリームは人の欲望を叶えるためのものなの。


どんな不可能なことだってできるから。奏はその特性ちからに魅せられた。


何でも叶えられる夢の中に閉じ籠ってしまったのよ。


可能性はあったけど確率はかなり低いから起こるとは思ってなかったんだけど」


は、そんなバカな…。


「奏はそんな後ろ向きなヤツじゃねぇだろ」


「怖いものよ。何でも叶うのだからね。それにそう思わせてるだけで深層意識ではそうではないかもしれない。


躰という鎖から放たれたから余計に影響あるのかもね」


「どうやって助け出すんだ?」


「夢の中から連れ出すしかないわ。ドリームの中の奏を見つけてね。


居場所は今天照が捜してるわ。だから無月、よろしくね。祢音は残って」


「え!?私も助けに行くよ!」


今まで泣いてばかりいた祢音が急に声を上げる。


「気持ちはわかるけど、もし奏を助ける前に心の牢獄に閉じ込められたらどうするの?


ちゃんと様子見ておいて。


もし閉じ込められたら天照1人じゃ頼りないし、祢音も一緒に助けに来て欲しいの。


これは無月よりあなたを信頼してるから頼んでるのよ」


おい。


「でもお兄ちゃん1人じゃ…」


「大丈夫、わたしも行くわ」


…………?


「お前と行くのか!?」


「こうなったのもわたしがこの装置を甘く見ていたからよ。責任はわたしにある」


「お前…案外しっかりしてるんだな…」


「案外ってなによ」


「久遠!見つけました!」


「よくやったわ。じゃ無月、行くわよ!」


「わかったよ」




〜DREAM〜


「ここが奏の心の牢獄よ」


「ここは…」


目の前には見覚えのある建物が…。


「見覚えあるの?」


「裏切った時、親父が潜んでいたアジトだ」


久しぶりだな、この光景を見るのも。


「なるほど。原因は案外簡単みたいね」


「ああ、そうかもな。


…そういやオレはいつも通り戦えるのか?」


「大丈夫よ。現実世界のものをそのまま設定したから」


「ドリームは設定が変えられるんだろ?だったら最強の設定にしとけばよかったじゃねぇか」


「止めておいた方がいいわ。色々と危険だから」


色々とねぇ…。


それはやっぱり今回の奏のようなことが起きる可能性があるからなんだろうか。


「じゃあお前戦えるのか?」


「身体能力は元々結構なものよ。あなたたちのような戦闘要員ほどじゃないけどね」


「そうか。じゃさっさと助けるぞ」





「ん?」


中に入って違和感を感じた。


「どうしたの?さっさと助けるんでしょ」


「いや、なんか…こんな場所だったかなぁって」


壁や扉は同じなんだが入っていきなりT字路になってた気がしない。


「そりゃあ奏の記憶から創ってるんだから曖昧にはなるんじゃない?」


「そうか。そういや奏がどこにいるか見当はついてるのか?」


「ないわよ。でもだいたいこんなのって一番奥に決まってるじゃない」


適当すぎる…。


「! 敵だな」


奏の操る妖狐を縮小したような妖狐が何匹も現れる。


「こいつらはどれだけ倒しても無駄よ」


「どういうことだ?」


「これは奏が望んで生みだした産物。あの娘が望めば望むだけ出てくるの。この意味わかるわよね?」


「なるほどね」


つまり、無限に出てくるってことか。


「倒しながら進むのがベストよ」


「了解っ」


オレは久遠に言う通りオレは妖狐を倒しながら前へ進む。


だが新たに妖狐が出てくる気配はなかった。


妖狐自身も手ごたえがない。


「おい久遠。出てこねぇじゃねぇか」


「おかしいわ…。となると奏が望んでない?なら少しは希望あるかも」


と言った瞬間、その言葉を否定するかのように壁が現れ、茨に包まれる。


「どこに希望があるんだ…?」


「さぁね。ちゃっちゃと破壊して。


この先に進むのを妨げるのならそこにいるって証拠でしょ」


はいはい。


オレは剣を壁に向け、炎を放つ。


まず茨を燃やし尽くし、壁を斬る。


少し手応えがあったが案外簡単に斬ることができた。


楽に進めるな。


これなら案外早く連れ帰れるか。


と思ったのも束の間、再び壁が現れる。


「ほら、頑張りなさいよ」


久遠は最初っから手伝う気はないようだ。


何のために来た?


「くそーっ!!」


何枚斬っただろうか…。


十枚は軽く斬ったような気が…。


だが、だがようやく奏の所に来たはずだ。


目の前には扉がある。


「ようやく着いたわね。まさしくボス前の扉じゃない。


わざわざ自分がいるとアピールするなんて、まだまだ子供ね」


ふふん、と誇らしげに扉を見る久遠。


ちなみに今まで何もしていない。


「ここまで来たわけだがどうやって連れ戻すんだ?」


「現実世界に戻るよう説得すればいいのよ。綺麗事並べてりゃあОKじゃない?」


「いい加減にも程があるだろ」


「多分その役目はわたしじゃないからあなたの好きなようにすれば?


真面目にアドバイスするとすれば、わたしの見解では奏の心は見かけより繊細で結構脆いわ。


強引なことはしないことね。


あとはここに在るのは心だけだから想いは素直、真っ直ぐよ。さ、入るわよ」





「ようやく会えたなぁ。奏」


現実世界で来た時、親父が座っていた椅子。


それに寄り添うように奏はいた。


「お前こんな所で何やってんだ。さっさと帰るぞ」


「いや…」


「なんでだよ。そんな所に1人じゃつまらねぇだろ」


「そんなことないです」


「はぁ!?」


「私が来て欲しいと思ったらすぐに来てくれます。


お父様も、桔梗様も、お姉様も、優しい無月だっています!」


わざわざ「優しい」をつけるか。


「無月、あなた奏に優しくしてないの?」


「いや…優しくしてないことはないと思うんだけどな…」


「なるほど、奏は優しい無月を望んでいるのね。


どう?抱き着いてキスでもしてあげれば?」


「バカかお前は!そんなことできるわけねぇだろ。


奏、それは本当の祢音でも親父でも母さんでもない。


そんな嘘の世界にいて幸せか?」


「幸せです。


人はいつかは死にます。


私は家族を失いたくありません。


でもここなら永遠に私の望む家族と共にいることができます」


「そう言って、お前実は迎えに来て欲しかったんじゃねぇのか?


ここに来るまで好きなものを生みだせるにしては障害が少なかった。


やろうと思えば絶対にここに来させないようにすることはできただろ?」


「そ、そんなことは…」


揺らいでいる。


これならなんとかいけるか?


「それに現実世界にいる祢音たちはどうなんだ?


お前は祢音を望めばいいかもしれないが、祢音は奏を望んだって出てこないんだぞ?」


「ですが………」


「もう少しよ」


傍で久遠がささやく。


「祢音が今回の事伝えに来た時涙目だったんだぞ。


このままお前が帰ってこなかったらどうなるか…悲しむだろうなぁ」


「お姉様…。……無月もですか…?」


「あ、ああ…。オレも悲しむだろうな」


「……………わかりました」


と言うと奏はすたすたとこちらへ向かい、オレの目の前まで来るとぎゅっと抱き着いてきた。


「な!!??」


「あらあら。あらゆるしがらみから解き放たれて大胆になってるようね。


とはいえこれがホントの奏の想い。無月の事好きなんじゃない?」


「そんなこと言われてもなぁ…」


「た、ただ2つほど約束して下さい。


私たちを護ってください。


絶対に…誰にも傷つけられないように…」


「それは無理だな」


「え?」


奏はすっと顔を上げる。


「絶対に、ということはないからな。だが護るために全力を尽くす。命だって懸けてやるよ」


「命は懸けないでください。


それともう一つ。優しい無月でいてください」


「オレ優しくなかったか?」


「はい。いじわるとは言い切れませんが優しいとも言えませんでしたから」


そうか、優しくして欲しかったのか…。


「わかったよ」


とりあえず優しさを示すためにポンと頭に手を置いてやる。


「では、帰ります」


「一件落着ね。天照にサルベージしてもらうわよ?」


「頼む」





〜現実世界〜


「ズルーイ!!私もお兄ちゃんに抱き締めて欲しいなぁ!」


ほっとしたのも束の間、帰ってきた直後全てを見ていた祢音に迫られる。


「ま、まぁそんな怒るなって」


「いいなぁ…」


そこでその様子を見ていた奏が一言。


「お姉様、兄さんは渡しませんよ?」


そう言って奏はわずかだが口元を緩ませた。


「笑ったか…?」


「それに今、『兄さん』って…」


「兄さんを呼び捨てにしていたのは私の中での兄さんの評価が低かったせいです。


少しは上がったわけですね。大いに喜んでください」


この一件がこんなに影響を与えたということか?


笑って、オレを兄として認めて…。


「奏ちゃん笑うとかわいいじゃん♪


時折ときおり見せる笑顔!これで世の中の男たちは奏ちゃんにメロメロだよ!」





〜如月家〜


さて、あれから3日後。


奏があれ以来変わったことと言えば、オレを『兄さん』と呼ぶようになったことぐらいで、


笑うこともなくなったが少しだが考えがわかるようになった。


……ような気がする。


「兄さん、暑いんでアイス持ってきてください」


「は!?なんでオレが」


「優しくしてくれるんですよね?早くしてください」


「調子に乗るなーー!!」



これでアイデアも0です。

もし読者の方々の中にやって欲しいシチュがあるという方は作者紹介ページからメッセージを送ってくれるとありがたいです。

採用できるかどうかはわかりませんが。


感想&評価お待ちしています。

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