KILL.1 図太き男と開催のサイレン
「待て、落ち着け…落ち着けよ俺…」
俺は自分にそう言い聞かせながら頭の奥底からこうなったいきさつを思い出そうとする―
「…っ痛!?」
だがそうはさせないと言わんばかりに、突如頭痛が俺を襲った。
どうやら過去を振り返ろうとすると何故かそれを邪魔するかのように激しい頭痛にさい悩まれるようだ。
「くそっ、何なんだよ一体!」
今の自分の置かれた状況に納得行くわけもなく、俺はそこにあった小石を海に向かって蹴り上げる。
おっ、我ながらよく飛んだな。
…なんてアホな事を思ってる場合じゃない!
「つっても、どうしようもねえんだけどな」
俺ははっきり言って調べ事は苦手なのだろう。
まともに思い出せないくせになんでそう確信できるかというと、元々行動を起こすのが億劫な性格なのか今立っているこの場から全く身体を動かそうとは思わないからだ。
(とりあえずもう一眠りして、それからまた考えよう)
朝になればこの訳の分からない島を調べられる、そうなったら今度こそここから動いて自分なりに探索してみよう。
かなりめんどくさいがとりあえずそう決めると俺はまた、波の音をBGM代わりに今度は砂浜で横になる。
「…砂やわらけえ」
さっきまでの慌てようはどこへやら。
我ながら図太い性格をしているんだなと思い、気が付けばいつの間にか俺は夢の世界へと旅立っていた。
…
……
………
「マスター、とある条件を基に選んだ者達のこの島への搬入が全て完了しました」
「そうか。“アレの記憶”についての状態はどうだ?」
「はい、全ての者達が問題なく忘れております。ただ、一部ほとんどのことを忘れている人工記憶喪失者がいるようですが…」
「構わん、そういうイレギュラーが少しいた方がこれは更に混沌とするからな。では始めるとしようか…お前達のその命、どうせならこの“ゲーム”で思う存分使うがいい…ふふふ」
「了解、開催のサイレンを鳴らします」
ウーーーーー!!!