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世界の共通部分-インターセクション-

作者: なめこ0320

世界の交差点。それを意識することはあまりないだろう。

だけどヒトは、生きているだけで様々な交差点にさしかかるのだ。


夏の陽炎が立ち上るスクランブル交差点。

僕は其処にただ立ち尽くすだけだった。

横断歩道ですれ違うヒト。

それぞれの世界を想像すると、気が狂いそうになる・・・。


頭上では、モノレールがたくさんの命を乗せて蒼空を散歩していた。

決められた道を通るだけだが、千葉駅では路線が分岐する。

そこでヒトは路線変更することができる。


いつもならモノレールに乗って帰路につく僕だったのだけれど、

気分転換に歩いて帰ることにした。


下から見上げる世界。

そこでは街の灯が暖かかった。

住宅街では、玄関で子供が花火をしてはしゃいでいる。

花火の光と玄関の灯りが交差する。

それを眺める老婆の表情が、深く印象に残った。


僕が観測する光景と、その老婆が観る世界は違う・・・。


視覚は、網膜の受容体に存在するレチナールの分子構造変化が介在して行われる。

視神経を伝わり、脳の視覚野で処理されて初めて、感知することができるのだ。

そして、脳の記憶部位などの様々な連携処理を受けて、感情を含めた情景として成立するのだ。

だから僕と老婆が観る世界は完全に異なる。

でも、老婆の表情を観て、僕の心に生まれた感情は、無色ではなかった。


暖かい赤。

慈愛の紫。


そんな色が混ざり合う交差点は、こんなありふれた場所にもあったのだ。

観測する世界の共通部分インターセクション

だからこそ、世界には彩りが存在する。

視覚的に見ることと、観ることはイコールではなかったのだ。


それに気づくことで、ありふれた中の交差点に至ることができると、僕は思うのだ。

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