デート by涼太
待ち合わせ場所の駅へと向かった。少し早すぎたかな?とは思ったが、遅れるよりはいい。駅で百合が来るのを待った。
しばらくして百合が歩いてくるのが見えた。百合も俺に気付き、少し小走りになった。
「お待たせ。待たせちゃった?」
「ううん、大丈夫だよ」
百合はいつもよりオシャレをしている、と思う。マニキュアを塗り、髪を巻いている。化粧も少ししているのだろうか、頬がほんのりと赤かった。いつもより大人っぽくなっていた。
電車をいくつか乗り継ぎ、江ノ島に着いた。駅から水族館は少し遠かったが、話しながら歩いているうちに着いた。
ここからが今日の本番だ、俺はそう思った。
普通に繋いでいた手を、いわゆる恋人繋ぎと言われるものに変えた。
百合の方を向くと、百合は早くも下を向いていた。緊張している。しばらく百合のペースに合わせてあげることにした。
一通り見終わって、百合の行きたがっていたイルカのショーを見に行くことにした。
日曜日なだけあって、人が多く親子連れが多い。俺たちは真ん中辺に座った。
百合が俺にくっついて座ろうとしない。混んでいるし迷惑だとおもい、百合の肩を抱いて寄りかからせた。
百合がまた硬くなっている
「そんなに緊張するなって、な?」
「そうだけど…」
「せっかくのデートだし、大丈夫だから」
「うん…」
百合が俺の肩に頭をのせる。
俺がこう言うと百合は自分からしてくれる。だから、多分百合は嫌なわけではないのだと思う。だから俺は百合が緊張しなくなるまで言い続けることにした。
ショーが始まった。イルカが高くジャンプをするたびに水しぶきが飛ぶ。百合はそれに叫んだりしながら楽しんでいる。
子供みたいだな、と思った。
そんな風に楽しんでいると俺も明るくなる。
そうしているうちに終った。
その後は予定していた通り遊園地に行き、海へ向かった。夕焼けが綺麗に見えるちょうどいい時間だ。
俺たちは浜辺にある石段に腰をかけた。
再び百合を肩に引き寄せる。今度はもう硬直したりしていなかった。
「楽しかったー」
百合がそう言った。
「なー」
「いいね、ここ。凄い綺麗な所だね」
「うん。海とか綺麗だよな」
「うん」
会話が途絶えた。
俺は思い切って言ってみることにした。
「なぁ、百合?」
「ん?なに?」
「…キス…してもいい?」
「えっ…」
百合は顔を赤くしたが、すぐにこういった。
「…いいよ」
俺は百合の肩に触れ、そのまま手を背中と腰に移す。百合と目を合わせた。百合はそのまま目を閉じた。顔をゆっくりと近づけ自分の唇を百合の唇に重ねた。そしてゆっくりと離してまた百合の目を見る。
そのまま百合を抱きしめた。百合が恥ずかしがっていたからだ。
「百合?」
「…なに?」
「また来ような」
「…うん」
俺は強く百合を抱きしめた?