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閑話 のどかなお茶会

勇司はどうしたとツッコミがきそうですが、明良が迷子になっている間の勇者夫妻です。

6/28 明良の妹 真の名前変更→まこと

    弟、誠司の名前も変更→刹那せつな

変更に伴い、既話の中の二人の名前も変更しました。

 明良と勇司が城下町を観光中(勇司はデートのつもり)-二人の認知に相違はあるが-の間、勇者夫妻は魔王が執務を終えるのを侍女に案内されたテラスで庭を眺めながらお茶を飲んでいた。

 

 「ふー久し振りの魔界ねぇ。昔来た時とちっとも変わんないわ。」

「そうだな、昔のままここはおだやかだな。」

 勇者夫妻は暖かい陽気の下でのほほんと暢気に侍女に給仕してもらったお茶を飲みながら魔王を待っていた。

 「お昼までは時間あるし、子ども達は何してるの?」

 「明良は勇司君と城下に観光に行って、まこと刹那せつなは、城の中を侍女達に案内してもらってる。」

 「あら、そうなの。明良ったら迷子になってなかったらいいけど。あの子ひどい方向音痴でしょ。さらにアクシデント体質っていうか、豆台風の目というか、揉め事に巻き込まれてないといいけど。」

 「まぁ大丈夫だろう。勇司君がついてるし。あの子にちょっかいをかけるヤツは徹底的に排除するだろうし。」   

 「勇司君たら小さい頃からすごかったものねぇ、きっと大丈夫ね。そういえば、前々から聞こうと思ってたのだけど、勇司君が義理の息子でいいの?」

 「いいもなにも、決めるのは明良だし。明良が幸せになるならいいんだよ。君のほうこそどうなんだい?」

 「そう。貴方が納得してるならいいのよ。私も反対はしないわ。ただ…」

 「ただ?」

 「明良を悲しませて泣かせたら、生まれてきたことを後悔させてあげるわ」

 ほの暗い表情をして低い声で宣言をした妻に、夫であるかつての勇者は『勇司君にとっては魔王よりもやっかいだろうね』と思ったが、口には出さず

 「死なない程度にするんだよ」

 止めもせず、ため息をついた夫に

 「もちろん。簡単に楽にはさせないわ」

 妻であるかつての光の巫女は昔から変わらないまるで天女のような笑顔を浮かべた。


 のほほん夫婦がのほほんとお茶を啜っていると、テラスに続いている部屋のドアがノックされ

 「失礼しまーす」

 とノックと同時に刹那が入ってきた。

 部屋の窓は全開で、テラスまで筒抜けなので、刹那からも夫妻からもお互いが丸見えである。

 「刹那、ノックをして、部屋の中から返事があったら入って来るんだよ。部屋の中が取り込み中だったら、どうするんだ?」

 「え?まだ昼前だし、いくら父さんでも朝っぱらからは…いや、自宅ならするかもしれないけど余所様の家でイチャつかないよねぇ?」

 「……」

 無言の勇者。

 「嫌だわ、いくらなんでも余所様でイチャつきませんっ」

 自宅と朝っぱらを否定しない巫女。

 その間に生まれた息子は『万年新婚夫婦』って嫌だなぁと生温かい目で両親を見た。

 ちなみに給仕している侍女は、『私は家具、私は空気、私は壁』と心の中で念じながら、刹那のお茶の準備をしている。侍女の鏡である。


 「あれ、誠は?」

 父親の言葉に、席に座りながら刹那は

 「クルツに攫われた」

 「あぁ、攫われ…って、せめて拉致にしておきなさい」

 「っもぅ、二人とも、クルツは誘拐犯じゃないんだから。」

 「「え、じゃあ変態?」」

 「そりゃちょっとは、ロリコン?って思ったけど、こっちじゃ年の差なんて当たり前にあるんだし。クルツは貴方と違って朝っぱらからサカるような人じゃないし、変態じゃありません」

 「巫女様、そのような言葉はちょっと…」

 さすがに侍女のダメ出しが出た。

 

 「あら、ごめんなさい。つい、本音が…」

 「そうか、君は私をそんな風にみていたのか…」

 しょんぼりと肩を落とした夫に

 「ご、ごめんなさい。べつに貴方を変態だと言ってる訳では、」

 「言ってるも同然ですよ、巫女様」

 刹那の分のお茶をだしながら侍女がツッコミを入れた。

 「うん、確実に。まぁ、クルツも父さんも似たようなもんだよ、あ、ありがとう」

 刹那は夫婦の光景に慣れた様子で侍女からお茶を渡されて礼を言い、一口飲んだ。


 その間に、拗ねる勇者、その勇者を見てオロオロする巫女。

 かつての勇者であった夫は横目で半泣きの巫女であった妻を見て『可愛いなぁ』と内心ニヤニヤしていた。見た目は爽やかなのに残念である。

 ちなみに、魔王は意外と常識人で、息子である次期魔王は皆様もご存知、ヤンデレ・ストーカー・腹黒成分が少しづつ出ている。

 勇者はかつて、神殿で人気のあった巫女でる妻に近寄る男どもを片っ端から、あらゆるツテコネ使って潰していたという過去がある。次期魔王と勇者は似たもの同士で気が合っているらしい。

 


 こんな感じで魔王陛下がお茶会に参加する為に執務室で書類を猛スピードで処理をし、明良が勇司とはぐれている頃、のほほんと勇者一家はお茶を啜っていた。

 




 

 

日常の一部です。


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