GW中、勇者の娘、街でイベント中
あれ、予想外。こんなはずじゃなかったのに。
短いですが、区切りがいいので切りました。
明良のナマ足は少し先です…。(勇司ゴメン)
現在、あたしはチャラ男にからまれている。
ちっやっぱりこうなったか…。
どうしてこうなったかと言うと、時間は数十分ほど前に遡る。
あたしは勇司の案内で女の子に人気の雑貨店に向かっていた。
歩くごとに、人がだんだん増えてきて、あっという間に人ごみの中に巻き込まれてしまいそうになる。
っていうかなった。
さっきまで勇司と手を繋いでいたのに、本当にあっという間に人ごみに流されて、手を離してしまった。
繋いでいた手が離れると、勇司が慌てて振り返って
「明良?」
あたしを呼ぶ勇司の声に
「勇司?どこ?」
どんどん人ごみに流されて勇司の声が聞こえなくなり、完璧にはぐれた。
うーん。どうしよう。はぐれたら動くなっていうのが鉄則だけど。と、のほほんとあたしは考えていた。
この時あたしは『お約束パターン』を忘れていた。ええ、きれいサッパリと。
大通りから伸びる細い横道に避難して、大通りの人ごみを眺めながら勇司を探していると
「かーのじょ、どうしたの?迷っちゃった?」
後ろから男に声をかけられたので後ろを振り返って、後悔した。
そこには日本語でいう『チャラ男』がいた。年は同い年ぐらい。ここは日本じゃないので少し長めの茶髪はいいとしよう。胸元までボタンをはずしたシャツ。首にも手首にも指にもつけてるアクセサリー。
この辺までは似合う人がしたらかっこいいと言われるラインだ。が、はっきり言って似合ってない。
さらにその言動がいけない。っていうか雰囲気?
見た瞬間に分かるその軽さ。頭も軽そう。ちゃんと脳みそ詰まってる?って正直に聞いたらキレそうだな…。一言で言うなら『メンドクサイ』に尽きる。
さーどうしよう
①無視
②冷たくつっぱねる
③見た目、言動共にチャラそうで頭も軽そうでも、意外にいい人かもしれないので丁寧にお断りする。
④ダッシュで逃げる
⑤悲鳴を上げる
さぁどれだ。
②は却下。キレられたらめんどい。④はあたしは足が遅いし、この人ごみにダッシュは無理。⑤も却下だなぁ。悲鳴を上げた瞬間、横道の奥に連れ込まれそう。となると①か③か…。
結論、自分に声がかけられたのに気づかない振り決定(この間、数瞬で脳内会議終了)。
振り返ったあたしは、チャラそうな男の顔をちら見して元に戻した。すると、やっぱり後ろから
「おいおい彼女、無視はないだろう。」
「…(ちっやっぱりダメか、ていうか彼女じゃない!)はい?私のことですか?」
ウンザリしながら(顔には出さず)振り返って、返事をすると
「そうそう、何、迷ったの?」
「いいえ、連れと待ち合わせです。人ごみがすごいのでここに避難してるだけです」
「じゃあ、待ってる間オレと話でもしていようよ。退屈だろう?」
「いいえ、待ってる間も楽しいので遠慮しておきます」
あー嫌だ嫌だ。何であたしに声をかけるんだ。ちゃんと目立たないような恰好なのに。魔界では肌の露出はダメだって勇司に言われたから、マキシ丈の薄いピンクのワンピース。白いショート丈の長袖ボレロ。あちこち歩くだろうから、ヒールの低いサンダルにシースルーの靴下。で、顔は並なんだから、目立たないはず。ちゃんと勇司にチェックしてもらってOKもらったのに。なーぜー。
で冒頭のあたしに戻って現在。ストレス度ガンガン上がってます。
「そんなこと言うなよ。全然連れも来ないようだし、お茶でも飲もう」
しつこいな…。今まで、日本でナンパなんてされたこと無かったのに、よりによって、アウェイでされるなんて。魔族って人間と変わらないって聞いたけど、強いのかしらこの人。程度が分からん。
内心イラッとしつつ、顔には出さずに(そろそろMAXか?)
「しません。お心遣いはありがたいですが、私は何一つ困ってることは無いので、お気になさらず、どうぞ、御自分の用事を済ませてください」
にこやかに笑顔を向けながら一気に言い切ると、男は顔を赤らめて、懲りずにめげずに
「君とお茶するのがオレの用事だから、行こう」
と言いながら勝手にあたしの手を取って歩き出そうとすると-
「勝手に人のものに手を出さすな。虫ケラが」
聞きなれた、でもいつもより低い声がした。
思ったより早く書けたので(短いからか)さくっと投稿。
次はあの人です。ええ、バレバレお約束ですが。
いいよね。お約束大好きです。