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GW中、次期魔王、魔界へ帰る

できた。続きはGW明けに…。

 皆さん、おはようございます。次期魔王の中田勇司です。

 正式名はユージュリアス=アウル=ディクリル=シュドソレイルといいます。

 

 さぁ、今日から楽しいGWが始まりました。皆さんはどのようにお過ごしですか?

 自宅でのんびり過ごしている方、海外旅行・国内での行楽地や帰省したりしている方も多いとは思いますが、世界広しといえど『魔界へ旅行』というのは中田家と中島家だけだと思います。

 まぁ、僕の場合は『帰省』になるんですが。

 先日、GW中の余暇の過ごし方で『魔界へ来ませんか』と明良にダメ元で聞いてみて、思いもよらない中島家一家の承諾をもらい、やっと少しは前進できる!と野望を燃やしてる今日この頃です。

 これで、城と城下町の皆に未来の王妃を紹介できる。

 え、プロポーズもまだなのに、未来の王妃は早いんじゃないかって?

 ふふ、僕が明良をみすみす逃すとでも?逃しません。例え死んだ後だって逃しませんよ。

 もし、僕が先に死んだって、明良に男が近づかないか心配で、祟るか甦ると思う、と城の皆の総意です。…さすがに甦るのは無理ですよ。祟るかもしれませんが。


 明良達、中島一家の皆は、荷物を片手に持って(おじさんはおばさんの荷物を持っているが)僕の家に集まっている。明良のボストンバッグには先日買った水着が入ってるのか。試着した明良にとてもよく似合ってた。

 青空の下で水着を着た明良を独り占め…。とても楽しみだ。

 それに明良が僕の家に入るのは久しぶりだなぁ。おかずのおすそ分けに来ることはあっても中までは入ってこない。何故だ。別に部屋に誘ってムニャムニャするのを狙っているのではなく、いや、チャンスがあれば是非!と思っているが、最近は何故だか遠慮している。よし、この機会に洗いざらい吐いてもらおう。

 「明良、おはよう。じゃ、行こっか。」

 「おはよう、よろしくね。」

 転移門で魔界に行くのが初めてな明良と誠ちゃんと刹那君は少し緊張してるみたいだ。おじさん達ふたりは、日本に来たときに使ったから知ってるので、久し振りの魔界にワクワクしてる感じ。

 緊張してる明良を父さんの書斎まで案内して振り返った。

 「転移門はコレなんだ」

 僕が書斎のドアを指しながら言うと

 「「「は?」」」

 中島姉妹弟きょうだいが目を丸くしてきれいにハモった。うん、いい反応。期待通りだ。


 

 「カギとなる言葉をドアノブを握りながら唱えると転移門になるんだ」

 ぽかーんと口を開けてる中島姉妹弟に僕が言うと

 「…そうなんだ」

 明良が少しガッカリしたように答えた。え、なんでガッカリするの?いったいどんな想像をしたんだろう。はっまさか定番の床に魔法陣がピカーッと光って瞬間移動みたいなの想像したのかな。残念でした。

 おじさん達も事前に教えてたら余計な期待はしなかっただろうに。きっと遊んでるな。

 「じゃ、行くよ」

 落ち着いた明良達に一声かけてからドアノブを握り、呪文を唱えてノブを回して開けると

 父さんが椅子に座って、机に向かって一心不乱に書類にサインをしていた。その横で宰相のクルツがサインをし終えた書類を別の机に移動させ、そして新たな書類を父さんの机にドンと置いた。まるで椀子わんこそばのようだ。鬼か、クルツ…。まぁ、この執務室ではよくある風景だ。 

 僕と明良達に気づいた二人は、顔を向けて歓迎の言葉を明良達に述べた。述べたのはいいが、クルツが余計な一言を言った。そう『案内は侍女達でもいいのでは?』って。ちっとも良くない。僕と明良の時間を奪う気か?たとえおじさん達がそばにいようとも、少しでも明良と一緒に居たいのに!ギロッとクルツを睨み(もちろん僕の後ろに明良達が居るから明良達からは見えないよ)、

 「いいよ。僕が案内する、まず部屋に荷物を置いてかないと」

 速攻で僕が答えると父さんは全力で笑いを堪えてるのか、肩を小刻みに震わせながら(でも顔がにやけて意味が無い)クルツに、

 「だとさ」

 「そ…そうですか、これは余計なことを申しました。申し訳ありません」

 クルツはクルツで笑いを堪え切れなくて声が震えてる!っく、覚えてろよ、三下の捨て台詞を思い浮かべて、明良達を部屋の外に促した。ちゃんと、さりげなく明良の荷物を受け取って、皆が廊下に出て、ドアを閉めると、執務室から父さんとクルツの笑い声が聞こえた。


 「くくくっ勇司は裏表が本当に激しいな、ははっ笑いすぎて腹痛い。」

 「ぶふっ着々と『明良さんを王妃に計画』が進行してますねぇ。いつになったら明良さんは気づきますかね?」

 「ん~プロポーズの時じゃね?」

 「私もそう思います」 

 「賭けにならねぇな…」

 「そうですね。さ、仕事を片付けてしまいましょう。コレさえ終わればGWはすっくり休んで下さい。勇者と巫女と王妃と四人でお茶する予定でしたね」

 「そうそう、ノヴァが張り切って、公務を終えたら飛んで帰ってくるぞ。蘭も今日スイミングスクールから帰ってきたら、魔界こっちに来るって行ってたしな。」

 ノヴァはこの南の大陸を治める魔王・リュシオンの妻である王妃の名前だ。彼女は三日前から公務で近くの豊穣を願う祭りに参加していて今日昼前に帰城予定となっている。

 「さぁ、明良ちゃんは手強いぞ。なんせ、『自分は家族と違って平凡で目立たないから』って言うぐらいだからな。」

 「…おかしいですよね。毎日鏡でご自分を見てるでしょうに」

 「だからこそ、慣れてしまって気づかないんじゃないの?」 

 「そういうもんですかね」 

 「そういうもんだろ」

 サクサク書類にサインをし、魔王である証の王印を押していく魔王と、机に山積みになっているサインし終えた書類を別の机に移動させるクルツは話をしながら、手を進めていった。


 その頃、僕達は明良達を部屋に案内すべく、廊下を歩いていた。

 興味深げにキョロキョロしている明良達に歩調を緩めながら、この下が大食堂で、あっちには侍従棟が、こっちには女官棟が、その横が侍女棟で、向こうにあるのが宝物庫、武器庫…と説明してたら、明良に怒られた。部外者には武器庫とか宝物庫の場所は言っちゃダメだって。明良っそうだね。部外者はダメだよね。でも、明良はそのうち部外者じゃなくなるからいいんだよ。ホラ、おじさん達だって動じてないし。まぁ、この中島一家は悪用なんかしないし。大丈夫、ちゃんと人を見て話してるから。

 やっぱりいいなぁ、明良は。例えば僕が間違ってたら、ちゃんと僕に意見できるって凄い事なんだよ?

 僕って次期魔王だけあって、魔力が強い。それだけで、皆は圧力プレッシャーを感じて、逆らえなくなる。昔から不思議だったんだけど、明良にパコーンと殴られると正気に戻るんだ。いや、殴られなくても、言葉だけで、明良の声を聞くだけで、感情が落ち着くんだ。


 そんな感じで話しながら明良達を部屋に案内して、明良達の部屋のドアそれぞれに模様があるのを不思議に思った明良は

 「ねぇ、勇司。この魔法陣みたいなのは何?」

 と僕に尋ねてきた。あぁ、明良の部屋だけ、魔法陣で他と雰囲気が違うからね。

 「ん?あぁ、魔除けだよ。」

 ゴメンね。ホントは虫除けだよ。どこぞの馬鹿貴族のボンボンが夜這いをかけないとは言い切れないからね。もちろん僕達魔王一家と勇者一家、宰相は中に入れるよ。備えあれば憂いなし。いい言葉だ。

 ということは部屋の掃除や雑用で入れるのは侍女や女官のみ。ちなみに明良に『侍女と女官とどう違うの?』と聞かれたので、説明すると女官は国から給料が出て、侍女は仕える王族・貴族から給料が出てる。つまり女官は公務員、侍女は個人や家で雇った感じかな。


 明良は僕の言葉に少し首をかしげていたけど、気にしないことにしたのか部屋のドアを開けた。

 そしてすぐに閉めた。ん?どうしたの?不審者でも居た?警備は万全の体制のはずだけど。

 理由を聞くと部屋が豪華すぎるだって。やだなぁ、王妃になったらもっと豪華だよ。今のうちからこうゆうのに慣らしとかないとね。コレが普通だと言い切って明良に荷物を置いた後の予定を聞くと町に出たいって言うので、明良が荷物を片付けるまで明良の部屋の居間で待とうかと思ったけど、部屋に二人きりは理性がどうなるか不安だったので、ここは紳士的に廊下で待った。荷物ぐらい侍女にさせようかと思ったけど、明良達は自分のことは自分でやるって育ったから、いきなり一度に全部より少しづつ少しづつ慣らそうと思い直して、諦めたんだよ。

 その間に、侍女を呼んで誠ちゃんと刹那君の案内役とおじさん達の伝言を父さんに伝えるように言付けて、壁にもたれて待っていた。



 荷物を片付け終えた明良が部屋から出てきて、城の正門までを案内しながら話していると明良は魔族が人間と変わらない事に気づかなかったみたいだ。え、魔界に住んでるだけで人間と一緒だよ。かつては人間界に住んでたんだからね。

 初代魔王の話よりも人間と魔族が一緒ってのが気になったみたい。初代魔王も可哀相なんだよ。世界を呪い、人間を呪い、神をも呪って-どんな気持ちだったんだろうね。

 何よりも憎んだのは自分自身だろう-愛するものを守れなかったのだから。 

 

 もし初代魔王と同じことが起こったら、どうなるか分からないから、気をつけてね明良。

 もしかしたら、魔界も人間界も異世界さえ滅ぼすかもね。

 

 

 

気づいた人はいるかしら。

ここじゃない、どこかの話と繋がってます。


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