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GW中、勇者の娘、魔界へ行く 

大変遅くなって申し訳ございません。やばい、終わらない。どうしよう。

 どうも、おはようございます。中島 明良です。

 そういえば、フルネーム名乗ってなかったね。あはは、ゴメン。

 

 とにもかくにも、今日からGWゴールデンウィークが始まった。

 先日、勇司と水着を買いに行って店員さんに生温かい目で見られたのは、恥ずかしい思い出だけど、ついでに、ビーチボールも浮き輪も買ったし、魔界を満喫するぞ。

 ボストンバッグ片手に、ガッツポーズを決めたあたしに、

 「明良、おはよう。じゃ、行こっか。」

 「おはよう、よろしくね。」

 今、あたしは勇司の家にいる。魔界への転移門は勇司の家に作ってるので、中島一家は全員勇司の家にお邪魔してるのだ。

 もちろん、中島一家はお父さん、お母さん、あたし、妹のまこと、弟の刹那せつなの四人。

 みんなそれぞれ、スポーツバッグやボストンバッグを持っている。父さんにいたっては母さんのも持ってるから二つだ。相変わらず、母さんには甘いんだから。

 さぁ、いざ魔界にっと胸をドキドキさせているあたしに、

 「転移門はコレなんだ」

 「「「は?」」」

 勇司の言葉に両親以外の中島家一同ハモった。

 

 だって、どうみても、普通のドアじゃん。ドアの向こうはおじさんの書斎でしょ?

 ???

 あまりに不思議そうな顔をしてるあたし達に勇司は

 「カギとなる言葉をドアノブを握りながら唱えると転移門になるんだ」

 え、そーだったの?今まで何回か勇司の家にお邪魔したことあるけど、初めて知ったよ。

 「…そうなんだ」

 やっとこさ、何とか答えたあたしだったけど、弟妹達は無言でした。

 うん、気持ちは分かる。ちょっと期待したのよね。ホラ、床に魔法陣があって、呪文唱えるとピカーッとか光ってさ、いかにも!みたいな感じで魔界に行けるのかな、と思ったのに。いいのよ、勝手に期待して、勝手にガッカリしたあたし達が悪かった。

 そういえば、両親は日本に来た時に使ったから知ってたんだ。先に言ってよ!そしたら過剰な期待なんてしなかったのに!

 過ぎたことを言っても仕方がないわ。もうっちょっとやそっとじゃ驚かないよ。どんとこい。

 「じゃ、行くよ」

 そう声をかけた勇司は、ドアノブを握りながら、なにやら小さな声でブツブツ呪文みたいなのを唱えると、ドアの真ん中に魔方陣みたいなのが浮き出た。おおっ、床じゃなくてドアなのか。

 そして、ドアを開けると、そこは-


 おじさんの執務室でした。えっおじさん、ホントに日本から仕事場に直行なんだ。ちょっと、なんか、かわいそう。例えるなら、家から行ってきます~って言って家の玄関のドアを開けると学校の教室、みたいな感じ?事故は起きないから安心だけど、寄り道っていう楽しい道草が出来ないじゃないか。まぁ、便利だけどね。おじさんがいいなら、いっか。

 そして執務室には、おじさんが机に向かって書類になにやらサインしてました。机の前には宰相さんが。私達に気づくと二人は、

 「おや、いらっしゃい。やっと魔界に来てくれたね。私もこの書類のサインが終わったら、仕事は終わりだから、それまで勇司に-いや、ユージュリアスに-んー、まぁどっちでもいいや。案内させるから、ゆっくりくつろいでくれ。」

 「ようこそ、魔界へ、勇者様方。心より歓迎いたします。ところで陛下、案内は侍女達でもいいのでは?」

 傍らにいた宰相があたし達中島一家に向かって歓迎の挨拶をすると、宰相さんはおじさんに向かってそう言った。

 「いいよ。僕が案内する、まず部屋に荷物を置いてかないと」

 宰相の言葉に、即座に否を唱えた勇司に、おじさんはニヤニヤ笑いながら、宰相さんに目を向けて

 「だとさ」

 「そ…そうですか、これは余計なことを申しました。申し訳ありません」

 ん?宰相さん、声が震えてる?何で???

 「じゃぁ、みんな、行こっか」

 そう言って勇司は、あたしのボストンバッグをさりげなく持ってくれて、あたし達を連れて執務室を出た。むぅ、紳士~、いや、勇司はいつも優しいけどね。

 「ありがとう、勇司」

 「どういたしまして」

 

 執務室のドアを閉めた向こう側で、おじさんと宰相さんが肩を震わせて笑いを堪えてる事に、あたしは気づかなかった。


 さて、勇司に案内されて廊下に出たあたし達は、ふかふかのカーペットを敷いた廊下をてくてく歩き、

違う棟へ出て階段を下りて、少し歩いたところで止まった。その間、あたし達はあっちキョロキョロ、こっちキョロキョロ。両親は貴族だったらしいので慣れてるだろうけど、あたし達姉妹弟は、こんな豪華な建物の中に入ったことないもん。ついついよそ見してしまうあたし達に、勇司は歩調を緩めてくれて、さらに建物の説明もしてくれた。この下が大食堂で、あっちには侍従棟が、こっちには女官棟が、その横が侍女棟で、向こうにあるのが宝物庫、武器庫…ってオイッ

 「ちょ…ちょっと、そんな事まで言わなくていい!っていうか、言っちゃダメでしょ!」

 「えっ大丈夫だよ。だって明良、宝物庫や武器庫なんて興味がないから、すぐ忘れるでしょ?明良以外の皆は覚えてるだろうけど、何かする訳でもないし。大丈夫、中島一家を信用してるよ」

 「っく、確かにあたしは興味がないものは聞いても右から左へ通り抜けるわよ。信用されてるのは嬉しいけど、あたし達は、ここの住人じゃないんだから、そうホイホイ言っちゃいけません!」

 「やだなぁ、明良たち以外にはこんなこと教えないよ」

 …ダメだ。何言っても、通じない。いや、分かってて言ってるのか?危機感がないぞ。そうだ、こんなときこそ、大人なお父さん達がビシッと、言ってもらわないと、

 「お父さん、お母さん、勇司に何とか言ってやってよ」

 「え~そうだなぁ、じゃあ『なんとか』」

 「違う!って、ボケないで」

 あたしがお父さんにツッコミを入れると母さんは 

 「ふふふ、じゃぁ、わたくしは『信用してくれてありがとう』」

 「どういたしまして」

 勇司は律儀に母さんに返礼をした。

 …ダメだ。この両親もダメだ。はっじゃぁ、いっそ誠と刹那に、と思って二人に振り返ると

 二人して高速扇風機のように横に首を振った。っち、こっちもダメか。ふぅ、

 「…とりあえず、あたし達はそんな事まで知りたくないから、言う必要ないからね!分かった?」

 「うん、わかった。」

 素直に返事をした勇司に少し疑問を抱いたが、まぁよしとしよう。


 案内された部屋は、両親の部屋の向かいがあたしで、その横が誠、刹那と続いてる。しかも、分かりやすい様に、ドアにしるし代わりに模様が彫ってある。両親の部屋は雪の結晶のような模様の上に百合が二輪彫られてて、あたしの部屋は魔法陣のように丸い円が二重になってて、その間をなにやら魔界の文字みたいなのがびっしり詰まってて、真ん中にもなにやら文字が…。

 誠は盾の上に剣二本が交差している模様、刹那は水晶の結晶みたいな模様が五つ、その上を槍二本が交差している模様だった。で、あたしのこの部屋のドアの模様は、何だ?

 「ねぇ、勇司。この魔法陣みたいなのは何?」

 「ん?あぁ、魔除けだよ。」

 勇司の答えに、ここ魔界なのに、魔除け?…魔族が避ける『魔』って何さ。と、心の中でツッコミつつ、ドアを開け-、そして、そのまま閉じた。

 「ちょっ勇司、この部屋何?やたらと豪華!」

 おもわず、勇司に詰め寄ったあたしに

 「え、コレが普通だよ。ちゃんと事前におじさん達から希望聞いてたから、普通の部屋だよ?」

 「っく、金持ちめっ」

 敗北感に打ちひしがれたあたしの横や後ろで、両親や弟妹がはしゃぐ声が聞こえた。

 まぁ、ここにいる時だけだし、いっか。…なんかいろいろ開き直った感じがする。

 「…分かった。ありがたく使わせてもらう。荷物置いた後、街まで行きたい。明日は海か、湖か行きたい。時間、大丈夫?」

 「もちろん。ちゃんと仕事は終わってるから、じゃぁ、待ってるよ。誠ちゃんと刹那君も街に行くかい?」

 まだ廊下ではしゃいでいた二人は

 「え、街の前にお城を探検したいから、誰か案内お願いできる?」

 「わたしもー」

 「じゃぁ、後で人を寄こすね。おじさんたちはどうします?」

 「私達は魔王が仕事が終わったら、ゆっくりお茶でもしたいなぁ」

 「王妃も四人でゆっくりしたいって言ってしね、楽しみだわ」

 「父さん達に仕事が終わったら、こっちに来るよう伝えておきますね。じゃ明良、そーゆーことで」  「分かった。すぐに荷物置いてくる、ちょっと待ってて」

 あたしは、勇司にそう言うと、閉めたドアをまた開けて応接室?リビング?みたいな部屋の奥にある寝室を探し出し(それまであっちこっちドアを開けて、風呂やトイレや発見してビックリした)荷物をカバンから出して、クローゼットらしきものを見つけ、服をしまうと勇司が待つ廊下に出た。


 「勇司、お待たせ。」

 「ううん、全然待ってないよ。早いね。じゃあ、行こう」

 勇司はあたしを促して歩き出したのであたしは慌てて付いて行った。 

 「荷物少ないし、それよりアレ何?お風呂にシャワーがあるのはいいとして、トイレ!日本の水洗トイレみたい。ビックリしたわよ。冷蔵庫とかは聞いてたけどトイレもか!」

 「そう、やっぱり衛生面は気をつけとかないと。いつ病気になるかわかんないし」

 「え、魔族って病気になるの?」

 「そりゃあなるよ。だって魔族っていっても、人間と変わらないし。」

 「ーっそうなの!? 初めて知った」

 「もともとこの魔界ってのは、初代魔王が作ったんだ。前に言ったっけ?魔王になる条件はその大陸で一番強いこと、または魔王を倒したものが魔王になるって。」

 「うん、それは前に聞いたよ。この大陸でおじさんの次に強いのは勇司だから次期魔王は勇司だって」

 「そう、その他にもうひとつあるんだ。」

 「へぇ、どんな条件なの?」

 「世界を呪ったものだよ。昔、千年くらい前まで世界はひとつだったんだ。世界を呪った一人の青年が世界を二つに引き裂いて魔界が出来たんだ。で、初代魔王がその青年。それから、人間界で生きづらくなった人間達が魔界に逃げてきて、その時は割りと自由に行き来できたらしいけど、ホラ頭の悪い権力者っていつの時代にもいるもんだから、魔界を侵略しようとしてるのがウザイってんで、制限したんだ。神様が。そして、初代魔王が亡くなると、大陸を四つに分けてそれぞれの大陸に魔王が就いたんだ。多分、その時も神様が介入したんじゃないのかな」

 「え、え、え、魔族って人間と変わらないの?寿命とかは?神様っているの?」

 「うん、寿命も人間と変わらないし、神様もいるよ。昔は時々、人間界に降りてきてたみたいだけど。」


 へぇ、そっか、魔族も人間も変わらないのか~。なんだ。安心した。いや、だって、おじさん達や勇司が若いのにあたし達だけが先に老いて死んじゃうのって嫌だなって。ん?深い意味はないよ!


  

 

 

 

 

この続きはGW明けで、お願いします。すみませんすみません。

戻ったら、出来るだけスピーディにUPします。

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