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GW前、次期魔王、買い物中

GW前、買い物中の次期魔王勇司視点です。

少し短くなりましたが、GW中、GW後と続くので、良しとしてください。

 今日は、青い空が澄んでいて、気持ちがいいくらい晴れている。 

 昼頃には二〇℃を超えるかもしれないなぁ。

 

 今日の僕はいつにも増して機嫌がいい。

 すこぶるといって良いほどだ。なんなら、スキップでもしてみようか。

 

 今日は休校日。昨日は球技大会で、第二位だった。

 第三位まで賞品があって、優勝は学校の食堂で使えるスペシャルランチとスペシャルケーキセットの食券。

 二位はスペシャルランチかスペシャルケーキセットのどっちか選べるんだ。

 三位はランチかケーキセットのどっちか。僕が選んだ賞品は、スペシャルケーキセットだ。明良が食べたがってたからね。

 僕らの通う高校は主な行事はクラスごとに縦割りのグループ分けで行われるけど、はっきり言ってコレがウザイ。同学年の生徒はいい。男子も女子も僕に余計なちょっかいはしないから。

 毎朝、明良と一緒に登校して、明良とはクラスが違うので、HRホームルームが始まるまでに自分のクラスに行かなければならない。泣く泣く明良と別れた途端、僕の顔からニコニコ顔(周りは『王子スマイル』といってるらしい)が剥がれ落ちるので、同学年の女子は、怖がってむやみに近づかない。

 以前は、話しかけてきたけど、終始必要最低限しか話さない僕に、彼女達は学習したらしい。男子にいたっては、割と普通だ。別に男尊女卑というわけではない。むやみに愛想を振りまくと厄介なことに発展するからだ。なんせ、昔から女で苦労したせいで、家族と中島家(明良の苗字だよ)以外は、良い思い出がない。思い出すと、今日の楽しい気分が地べたを這うのでやめよう。

 まぁ、過去にいろいろあったので|(この外見だから察してくれ)要するに高校では明良以外に、愛想も笑顔も振りまかない。他に振りまく余裕があるなら明良にだけその分つぎ込むよ。

 学習した同級生と違って先輩・後輩は違うしね。キャーキャー騒ぐ。


 そう今、僕と明良の周りにいる女どものようにね。


 今日は明良と一緒に駅前の大型ショッピングモールに来ている。

 GWに明良達が魔界に行くと言ってくれたので、向こうで泳ぐために明良の水着を買いに着たんだ。

 誘ってよかった。毎年、誘うんだけど、なかなか色よい返事がもらえなくて、ガッカリしてたんだ。

 向こうの皆に昨晩、明良達が魔界に行く旨を伝えると、拍手喝さいがおこって、スゴク喜んでた。

 今頃、急ピッチで部屋を整えたり、明良たちの口に合うように献立を考えてるんだろうな。

 魔界のみんなの喜びようを思い出しながら、水着売り場に向かってると、すれ違う女達の視線がウザイ。女性の視線を冷たい眼差しで封じ込めて、明良と二人並んで、目的地まで、ウィンドウショッピングしながら、歩いていくと、今度は、男達からの視線が勇司に突き刺さってきた。

 …最近増えてきたな、害虫が。害虫駆除も手馴れてきたさ、おじさん達から頼まれてるし、何よりも僕のために。やりますとも。完膚なきまでに。

 明良ににこやかな笑顔で話しかけた勇司は、そのまま氷の視線を男達に向け、男達の視線を跳ね返した。要するに

 何、僕に勝てるとでも? といった感じだろうか。

 勇司の視線で固まる男女の横を通り過ぎて、勇司と明良は楽しげに話を弾ませた。


 そして、勇司の思考は明良の水着にスライドした。

 楽しみだなぁ。明良の水着姿。いつか、スクール水着以外を拝む日が来るかもしれないと思って、女性ファッション誌をチェックした甲斐があったよ。恥ずかしかったんだよ、男の身で本屋で女性ファッション誌を買うの。後で気づいたけど、ネットで検索すれば、あんな恥ずかしい思いはしなくてすんだんだよね。おかしいな、明良が絡むとどうも脳が働かない。

 いろいろ検討した結果、一応蘭にも意見を聞いて、ワンピース型がいいと思うんだ。ビキニも捨てがたいけど、明良の肌をいくら家族とはいえ、男に見せるだなんて、我慢できない。


 勇司が己の欲と戦っている間に、目的地に到着した。

 売り場には販売初日とあって、デザインも数も豊富に揃っていた。

 さぁ、楽しいGWのためにも、そして何より僕のために明良に似合う水着を選び出さなければ。

 気合をいれるぞ、と思ってると、明良が

 「ねぇ、勇司、水着選んでる間、余所で暇つぶしてていいよ」

 なんと、殺生な。僕の楽しみを奪うのか、明良。ひどいよ。

 「断固拒否。何のために来たと思ってんの?明良の水着姿だよ。何が何でもこっちが最優先だよ」

 右手で握りこぶしを作り、そりゃあもうちからいっっっぱいに力説した僕に明良は

 「…えーと、まさか、一緒に選ぶ気?」

 「当然」

 「…」

 明良は即答し続ける僕にあきれて無言になった。

 そんな明良を頭の先から足のつま先まで僕は眺めた。

 今日の明良は、春らしくピンク地にヒマワリの花が大きくプリントされてる半袖チュニックにデニムのショートパンツ、その下にハーフサイズで白のレース地で花柄のレギンスをはいている。ほっそりとした手足はすらりと伸びていて、髪はゆるくカールしていて肩にかかっている長さだ。

 よく似合ってて、かわいいなぁ。と思ってると、明良は僕をしばらく残念なものを見るかのような目つきで眺めて、水着を選び出した。なに?その目つきは。何が残念なんだ?

 とりあえずは、一緒に選んでもいいらしい。やった。勝利を勝ち取った僕は

 「明良は、ビキニよりワンピースがいい。色はピンク系かオレンジ系の暖色、パステルカラーか原色の花柄で」

 蘭と相談して検討した結果を明良に言うと

 「…その情報はどこから?」

 「え、女性誌のVi〇iとかノ〇ノとか見たけど載ってなかったからネットで。」

 胡乱な目で僕を見る明良に正直に答えた。

 明良は小さく笑って、

 「まぁ、いっか。じゃ、一緒に探して」

 その言葉に、僕は目を輝かせた。

 「うん!」

 その後、端から端まで、明良に似合う水着を探し、試着した明良をうっとりと眺めた。

 もちろん試着室から出さないよ。僕の他にも男が何人か彼女らしき女性と水着を選んでるからね。

 例え彼女持ちでも見せません。

 写メ撮りたい。デジカメの方が画率いいよな。いや、でもここ店だし。と僕は己の欲と再度戦う羽目になった。

 ワンピース型もかわいいけど、ビキニもやっぱり捨てがたい。よし、ビキニは夏休みに取っておこう。 と開き直った僕は、次々と明良に似合いそうな水着を探し出し、呆れたような、なんとも複雑そうな顔をする店員そっちのけで、明良に試着させた。

 え、バカップル?恋人同士に見えるなら、何とでも。痛くも痒くもないさ。



 ただ、水着が決まった時には二時間以上経ってるなんて、本気で驚いた。でも明良に良く似合ってるし、僕的には大満足だ。明良はグッタリしてたけどね。ごめんね、明良。 

 

 

今日はとりあえず、ここまで。

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