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GW前、勇者の娘、買い物中

『勇者と魔王はお隣同士』連載となりました。

たくさんのアクセスとポイント評価ありがとうございます。

調子に乗ってGW編です。

明良視点です。

 四月も半ばになって桜も散り、ツツジやハナミズキが咲き、汗ばむ日々が続いてる。

 

 今日は平日だというのに学校は休み。

 なぜなら、昨日は球技大会だったので今日は休校日。

 うちの高校は変わっていて、校訓が『一生懸命学び、全身全霊をかけて遊ぶ』なの。

 体育館と武道場、校長室にでかでかと立派な書体で有名な書道家の先生が書いた一文が飾られてるし。

 まず、四月最初の実力テストが終わると、球技大会一色になる。たいてい、暑くなるGWゴールデンウィーク前に行われて、十月に体育祭、十一月に文化祭となる。

 この三つの行事はクラス別でも学年別でもなく、一年~三年までの各学年の同じ数字の組が一緒のグループとなる。つまり一年一組と二年一組と三年一組が同じグループとなって、他のグループと競うのだ。 これには二つ理由があり、学年別だと、やっぱり体格差があったりして、下級生には不利になってしますからというのと、もうひとつは上級生と下級生の交流が目的。社会人になるまで、あんまり違う年齢の人と協力することが少ないから。それなら、部活で間に合ってるんじゃないかと思われがちだけど、同じ部活だと暗黙の了解のルールやその部活特有の習慣、同じ部活だからこその後輩に無意識の内に上下関係を強いてたり、他の部活動をしてる生徒から見ると『えっそんなことまで後輩はしなきゃいけないの?』的なことがあったりする。

 まぁ、常識内でやってればいいんだけど、閉鎖された空間のことだから、やっぱり多少ズレが起こって、後々問題にならないようにって、こんな形になったのよ。ホラ、他の部活の子苛めたら、先輩が出てくるでしょ。まぁ、今のところ上手くいってるみたい。で、鼻面に人参作戦で、連休前にやってテンションをあげ、翌日は休校。何で連休前にするかというと、休み明けは力いっぱい遊んだ後だから気力・体力がない。じゃぁ、連休前にやっちゃおうっとなったらしい。ちなみに優勝すると食堂のスペシャルランチとスペシャルケーキセットの食券綴りが人数分もらえる。ちょっと高いけど、激ウマなのよ。

 

 で、現在あたしは勇司と駅前の大型ショッピングモールに来ている。

 平日でもそこそこ人が多いなぁ。

 何を買いに行くかというと水着よ。早くない?と思った貴方。確かに本州は海開きもプールもまだだけど、海外や沖縄は海開きしてるのさ。ちなみにあたしが行くのは魔界だけどね。

 今年はなんとGWは家族で魔界に旅行に行くのよっ。海外や沖縄に行くのにお金がかかるけど、魔界は交通費無料。コトの発端は昨日、球技大会の帰り道、勇司と歩いてたら、

 『明良はGWはどうするの?』

 『ん~予定はないよ。皆、遊びに行こうと誘ってくれてるんだけど、人ごみがあんまり好きじゃないし。勇司は魔界でおじさんの手伝い?』

 『うん、そうなんだけど。ねぇ、一緒に魔界に行かない?交通費タダだし、人ごみないよ。それに海も湖もあるし、さらにウォータースライダーも。』

 なにやら必死になって次々と魔界のアレコレを言う勇司に

 『なんで魔界にウォータースライダーがあんのよ。冷蔵庫やエアコンとは違うのよ。』

 『あぁ、それも前に言ってた人間の行商人が作ってくれたんだ。魔法使えるみたいで、『夏って言ったらコレと肝試しよね』って。なんでも、元々こっちの人間で召喚されてあっちに行っちゃったんだって。』

 『へぇ、チート機能が付いたんだ。』

 『違うよ、元々持ってたけど、こっちの世界は魔法が使える設定じゃないから、使えなかったんだって。父さんに聞いたけど詳しくは話してくれなかったんだ。』

 『ふぅん。あれ、じゃぁ、勇者とか巫女として召喚されたの?』

 『それも違うって。父さんが彼女に聞いても教えてくれなかったって。で、GWどう?』

 『ん~行ってみたいけど。一度お父さん達に聞いてみる』

 『分かった。返事は早めにちょうだい』

 『は~い、じゃあね』

 『うん、ばいばい』

 とお互いそれぞれの家に別れた。隣同士だが。

 で、両親に聞くと軽くアッサリと

 『いいよわ~あたしも行こうかしら』

 『そうだなぁ、そろそろ向こうも落ち着いただろうし、行ってみようか』 

 とトントン拍子にまとまり、夕食後に携帯で

 『勇司?お父さん達に聞いたらいいって。で、お父さん達も行こうかって話になったんだけどいい?』

 『もっちろん!』

  と即答で返された。

 『あ~泳げるんなら水着とか買っとけばよかったなぁ、さすがにスクール水着はやだなぁ』

 『それなら、明日駅前のショッピングモールに行こうよ。ちょうど明日からイベント会場で恒例の水着売ってるから』

 『そっか、明日か~。学校休みだし、じゃぁ、買ってくる。』

 『え、僕も行くからね。』

 『今日疲れちゃったでしょ、大丈夫?ここ最近睡眠時間も少ないんでしょ。休んでたら?』

 『断固拒否。絶対一緒に行くからね。九時に迎えに行くから。』

 やけに力が入ってるなぁと思いつつ、迫力に負けて

 『分かった。待ってる』

 って返事して、今日に至る。なんなんだろう。時々、勇司が分からない。 

 

 そういえば、何でこんなに早く水着が売ってるのかというと、これまたこの街も変わってて(あたしの周りは変わり物だらけよねぇ。)、この街は学園都市で、保育園・幼稚園・小学校・中学校・高校・大学・専門学校と選り取りみどり。なかには服飾関係の専門学校がいくつかあって、そこの生徒が作った水着や服、小物なんかもこの街の中心にあるショッピングモール内イベント会場で販売してるの。

 生徒の作品とあなどっちゃぁイケナイよ。売れたら自分のお給料となるんだから、なかなか可愛いのがあるんだよ。縫製もきちんとしてるし値段も安いし、お買い得よね、ふっふっふっふっ。

 コホン、失礼。で、時期が早いのは、六月七月だと、他のメーカーからも発売されたりして、売り上げが伸びないからっていうのと、GWに海外旅行に行くから早めに売ってほしいとお客さんから要望があったんだって。そうだよねぇ、さっきも言ったけど、本州はまだでも、海外や沖縄は泳げるもんね。


 そして、やっと目的地に到着~。

 あたしは、ふぅっとため息をついた。隣に勇司がいるとまぁ、女性陣の視線がイタイイタイ。

 店まで自転車で来たけど、その間もチラチラ。自転車から降りて店内に入ると、店員さんからお客さんから、ヒソヒソと話してるつもりでしょうけど、そこのお姉さん、聞こえてますよ。

 すみませんねぇ、釣り合わない女が隣にいて。ふっいい加減言われ慣れちゃって、もうなんとも思わないけど、けどけど、やっぱりチョッピリ腹立たしいわ。

 誰じゃ、とヒソヒソ(のつもり)話してる女性を見ようと見渡そうと顔を向けると、何人かの女性が急に顔を青褪めて、そそくさとその場を走り去った。なんでか固まってる男女もいる。

 え、なに?まだにらんでないよ。なんなのよ、もう。まぁ、いっか。買い物に集中しよう。

 今日は販売初日だから、種類も豊富。久し振りの買い物に気分が上昇してきた。でも、隣に勇司がいたら選びにくいなぁ。よし、 

 「ねぇ、勇司、水着選んでる間、余所で暇つぶしてていいよ」

 「断固拒否。何のために来たと思ってんの?明良の水着姿だよ。何が何でもこっちが最優先だよ」

 右手で握りこぶしを作り、力いっぱい力説した勇司は、傍目にもかっこいいのに、発言内容がザンネンデス。

 「…えーと、まさか、一緒に選ぶ気?」

 「当然」

 「…」

 上が白で下にいくほどグラデーションで濃い青になるブイネックの半袖シャツにジーパン姿の勇司はラフなカッコだけど、モデルみたいでかっこいいのに、なんで発言がこうなのか。昔から謎だ。

 (まぁ、勇司はセンスがいいし参考意見になるか)

 とおもって、とりあえず水着を見ようとしたら、勇司が

 「明良は、ビキニよりワンピースがいい。色はピンク系かオレンジ系、パステルカラーか原色の花柄で」

 目をキラキラさせて得意げに言った。

 「…その情報はどこから?」

 「え、女性誌のVi〇iとかノ〇ノとか見たけど載ってなかったからネットで。」

 胡乱な目で尋ねたあたしに勇司はきょとんとして答えた。

 その答えにあたしは本屋で女性誌を立ち読みする勇司の姿を想像して、小さく笑った。

 わざわざ恥ずかしい思いをして本屋に行かなくてもネットだけで充分だろうに。勇司のそういうところがカワイイよね、と思いながら、気を取り直して勇司の意見を参考に水着を選び出した。



 この時は、まさか水着一着選ぶのに二時間以上かかるとは思いもよらなかった。

 グッタリ。 

一応恋愛ジャンルなのですが、いつになったらイチャイチャするのかな?

多分、夏休み編、体育祭編、文化祭編、クリスマス編、冬休み編、バレンタイン編、ホワイトデー編、春休み編と続きます。(笑)

いや、冗談ですよ。さすがにそこまではムリかと。なにかリクエストとかあればそれを参考に書かせていただきますが。


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