第11話 咲目線
まだ帰りたくなかったから、遊に、
「寄り道しよー」
って言った。
遊は黙っていつもの公園に行った。
私たちの、たまり場。
2人で、ベンチに座った。
「ありえないよねー」
って、なんとなく言った。
「何が?」
「このグループからカップルが出来たとか」
「そう?」
「いつまでも友達のまんまだと思ってた」
「うん」
「だから、ありえない」
「…咲は、好きな人いないの?このグループに」
「いないよ、今は」
「へー」
「…誰か知ってるんでしょ?」
「うん、知ってるよ」
「何で分かったの?」
「なんとなく、雰囲気で」
「絶対気付かれてないと思った」
「うん、気づいたの俺ぐらいだろうね」
ホントに、何で気がついたんだろう。
遊は、ボーっとしてる割に意外と観察してる。
でも、私は遊のこと全然分かんない。
何考えてんのかわかんない。
ほら、今も。
どこみて、何考えてんのかな?
「俺もさぁ、好きな人いるんだよね」
「へぇ…」
「しかも、グループ内に」
「へぇぇ」
意外だ。
「…咲って何考えてるか分かんない」
「私も、遊が何考えてるか分かんない」
「え?俺は何も考えてないよ?」
「…本当に?」
「うん、ただボーっとしてるだけ」
「ふーん」
「もうそろそろ、帰ろっか」
「うん」
咲と遊の会話書くの好き。ほんわかしてる感じが好き。