家族
「・・・・ん・・」
マコは目を覚ました。
あたりを見渡すと昨日であった影斗の姿がない。
そして周りにあるものは見たことのないものがほとんどであった。
マコはあたりを探索することにした。
「・・・これは何だろう?」
背丈ほどある四角い箱。
あたりを見渡してから恐る恐る開いてみると
「冷たい!!」
箱を開けるとそこだけ冬が訪れたかのようだった。
不思議に思いながらも探索を続けようとしたとき
「お、目が覚めたようだな。おはよう。」
「ー!?」
振り返るとそこには影斗が部屋に入ってきていた。
「冷蔵庫がそんなに珍しいか?もしくは腹が減ったとか?」
「ち、違います!」
あわてて冷蔵庫を閉めようとしたとき
グウゥ~
「まさに打ち合わせしたかのようなタイミングだな。」
「・・・・はい」
言われてみれば昨日は全然食べ物を食べてなかった。でもそれは追われていたのだからしかたがない。
「よし!じゃあ朝食と行くか。とりあえず外へ出てくれ。」
影斗の後を追い宿の裏庭へたどり着くと影斗は何やら準備を開始していた。
バーベキューをするのであろう薪を積み上げていると途中であった
「ん~こんなもんかな?」
薪を並べ終えた影斗は集中し始める。
「燃えろ!!」
かざした手の前に小さな火花が散った。
魔法である。体に廻っている魔力を解き放ち使用することで様々なことができる。
今のは炎を発生させ操る魔法だった。
しかし火花は薪を燃やすことなく消えてしまう。
「・・・マコって炎出したりできる?」
「できますけど・・・」
マコが手をかざし呪文を唱えると
ボッ!!
あっという間に火が起こった。
「そこまで簡単にできちゃうとなんか傷つくなぁ・・・」
別に俺は魔法なんて使いこなせませんよ人間だもの!!
「・・・じゃあ料理開始と行きますか!」
影斗は干し肉を串にさし焼き始める。
数分後、無事に肉を焼き終え料理を終了した。
「ほいよ、お前の分な」
「あ、ありがとう」
マコは焼いた肉にかぶりつく。
焼いただけなので肉本来の味を堪能することができる。
要するに味がないということだ。
影斗はそんなことお構いなくおいしそうに食事を続けている。
やがて肉を食べきると影斗は荷物をまとめ
「飯も食べ終わったし今朝買い物も済んだからそろそろ出発するか。」
マコは胸が苦しくなった。
もうこの人とは会えないかもしれない。
助けてはもらったけど別に知り合いではない。
でも・・・・
マコは影斗に問いかけた
「あの時どうして助けてくれたんですか?」
ボクは影斗とはあったのが初めてだったのになぜ助けてくれたのだろう。
あの人たちは僕がお金になると言っていた。それなら影斗だってボクを守るより襲ったほうが得するはずだ・・・
「ああ、それはだって目の前に人が倒れてるんだ。俺一応勇者だし助けないわけにはいかないだろう。まあそんなとこだな。」
「でもボクは魔族ですよ?人間じゃないし今までにも何度か人に会ったけど全員ボクを捕まえに来る。ボクには助けてくれる人もいなくて・・・」
・・・なんでボクはこんなことに話しているのだろう。
マコの目もとには涙がにじみ出てきていた。
「すいません、なんか変なこと言っちゃって。でもうれしかったんです。ぼくのことを助けてくれたのって影斗さんだけなんですよね。」
ついには頬に涙がこぼれた。
こんなことを言ってもどうにもならないことは分かっている。
でも自分のことを聞いてもらいたかった。助けてもらいたかった。
影斗は口を開いた。
「マコ、よければだが俺と一緒に来るか?」
「?」
「いや、嫌ならいいんだが俺もこの先一人で旅となると結構しんどいししゃべる相手がほしいんだよな~。」
影斗はそういうとマコの頭をなでた。
「まあ、ゆっくり考えてくれ。俺は部屋にもどってるから。」
影斗は歩き出そうと後ろを向こうとしたときマコが飛びついてきた。
「・・・・これからもよろしくな・・」
マコに抱きつかれたまま部屋へと歩き出した。
「とりあえずこれからはお互いに敬語はなしだ!自由に呼び合い気ままに会話すること。OK?」
「うん」
「俺はお前のことはマコって呼ぶけどマコも自由に俺のことを呼んでいいぞ?」
「じゃあ・・・・」
マコは考える。
相手は自分よりも年上。そして頼りになる人。
何よりボクが今までほしいと願ったものは
「に、兄さん・・・。」
「兄さん?いいなそれ!じゃあマコは今日から俺の弟だな!俺の家族だ!弟なんだからいつでも俺に甘えていいぞ~。」
「うん!」
家族。
今まで何度願ったかわからない。
そして今ぼくには兄さんができた。
人間の勇者のとても優しい兄さんが。
この小説を読んでくれた方感謝しています。
私は小説を書くことに対して完璧な初心者なので誤字や脱字、ストーリーの薄さなどが目立つかもしれません。なので改善点がありましたらコメントよろしくお願いします。