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チートハンターズ 〜このゲームのチートは全て狩り尽くす〜  作者: 隈翔
シーズン3 仁義なきダンジョン攻略
46/52

一点突破

「ふむ、それでは第二層の始まり始まりというわけだ」


 俺達とウェポンズは第2層に到着した。


「諸君、どうやらお出迎えのようだぞ」


 景色は第二層とあまり変わらない。部屋には苔の生えた薄緑色タイルが敷き詰められている。

 ただ、俺達の目の前に広がっているものだけは異様だと表現せざるを得ない。

 目の前にはサングラスを着用しスーツを着た短髪の男たちがずらりと並んでいる。

 彼の列は置くまで広がっており、とあるSF映画を想起させる。

 そんな、微動だにしない人形たちにオーバーさんはのこのこと近づいていく。


「危ないですよ!!」


 俺は彼を制止するが、そんなことなど気にもしない彼は大丈夫とでも言いたげに手を振っている。


(こいつらも攻略に居なかった。恐らくチートによるもの。さて、まぁ、あれだよな。こいつら全員来るよな)


 これから起こることはまぁ予想できる。既に俺たちはチーターたちの張り巡らせた罠の中。


「初めまして。私はオーバーという。この『ウェポンズ』というクランでリーダーをさせてもらっている。さぁ、お近づきの印だ」


 彼は目の前にいた男の肩をバシバシと叩きながら握手を求める。


「…………」


 肩を叩かれた男は何も言わない。無反応だ。


「まぁいい。そういう日もある。きっと私に会ったことで感動のあまり手がびしょびしょなんだろう」


 彼はほんの少しだけ侮蔑の目を向けてから足を左へ九十度曲げて歩き始める。


「それにしてどいつもこいつも生気がないな!死んだ魚のような目をしている!!!」


 一人ずつ肩を強めに叩きながら悪口を大声で叫んでいる。


(なんでみんな、のほほんとしているのだろう?)


 それをウェポンズのメンバーは何事もなさそうに眺めている。

 対して俺はこの後起こり得ることについて考えていた。



 どうやって、こいつらを倒すか、その方法だ。



 そしてどんな作戦であれまずやるべきことがある。


「皆さん、多分こいつら全員チーターです!!!!!」


 敵の認知、その再定義だ。


「「「「マジか!?」」」


「さっきもチーターがいましたしね。リーダー、俺たちはとんでもないところに来たようです」


 シーロックさんは一歩踏み出しリーダーへ緊急事態を知らせる。


「眉間撃ち抜きまくりのバチまくり、ですね。やった」


 敵を認識したリバナチュラさんはその存在を喜んだ。


「え~めんどくさいですぅ」


 そして最後にノースカロアナさんが反応した。

 確かにチーターとは面倒くさい存在だ。だから排除しなくてはならないのだ。


「ほう、やはりか」


 するとオーバーさんは納得したようなそぶりを見せてかれ俺たちの前に戻ると、背筋をただし踵を揃えて45度開き腕を後ろに組む。


「それでは諸君、彼らは私たちを待ってくれているようだから、色々と確認しておこう」


 胸を張りまるで軍隊の指揮官のように声を荒げ始めた。


「参謀!!!この層で我々が取るべき行動は!?!?」


 ビリリ、とウェポンズのメンバーに電流が走った。

 どうやら彼の号令は特別な意味を持つらしい。


「はい。制限時間内に三つの鍵を探し第三層へと続く扉へ向かうことです。これで第二層をクリアできます」


 今の状況の目標をすらすらと答える。


「この層は複雑に絡んだ迷路のような構造をしています。マップは攻略に載っているので各々参照するなりなんなりしてください」


「我々はこの目標を制限時間に背中を押されつつ、敵性NPCを相手にしながら達成しなければなりません。通常であればちょっと焦るくらいでクリアできるほどの課題ですが、ここにイレギュラーで大きな問題が一つ。エージェント。スミスみたいに並んでいるチーターです。こいつらは『強制決闘モードのチート』を使用しているでしょう。数の圧で我々を圧倒してくるでしょう」


「それは厄介だな?どうすべきかね?」


 そしてオーバーさんが彼を煽っていく。


「簡単です。中央一点突破。これ一択です」


「ふぅん、島津の退き口ということか」


「恐らく違いますが、そういうことです」


 オーバーさんの突拍子もない相槌を彼は適当に流していた。


「リーダー!!リバナチュラちゃんがビクビクしてるよ!!」


 するとノースカロアナさんがメンバーの不調を訴える。


「む?どうしたんだ?体調でも悪いのかね?」


「はやく、早く、速く!!!ぶっ飛ばしたいです!!!!」


 彼女は飛び出す栓のように戦闘意欲を露にする。それは不調ではなく武者震いだったようだ。


「だそうだ参謀!!!お前の話はいつも長い!!!!」


 すると突如として責任転嫁を始めるリーダー。対して参謀は正当な怒りで返す。


「貴方の指揮が悪いんでしょうが!!!!いいから私について来てください!!!!」


 そして今度は彼が俺たちの前に出て作戦の説明を始めた。



 俺は一体何を見せつけられているのだろう。



「いいですか!!作戦はいつもと変わりません!!私が前衛、ノースカロアナが中衛、リバナチュラが後衛、リーダーが最大火力。そこは徹底すること!!!」


 彼はズバズバと、クランのメンバーそれぞれに指を差しながらその役割を指定しており、その指は最後に俺に向けられた。


「サムさん貴方にはこの隊に割り込んでいただく。恐らくこれから始まるのは圧倒的な数との対決だ。しかしこの層の課題の性質上、あんなあふれそうな『数』に対抗するのは愚の骨頂と言えるでしょう」


「一応、私もランクマッチに参加している身だ。貴方の戦い方は知っている。強みは立体的な視野と分析力だ。相手の位置関係だけじゃない。魔法、障害物、あらゆるものをインプットし後出しじゃんけんを成立させることが出来る脳の精度。それを我々が戦っている中で生む綻びの補修に使っていただきたい」


(つまり、進軍するウェポンズの援護か)


「了解です。好きに暴れてください」


 確かに得意分野だ、と納得できた俺はその仕事を引き受けることにした。


「母親気取りかね?最高だ。それでは諸君!!お言葉に甘えていざ行こうか!!」


 作戦がまとまったことを喜ぶオーバーさんは向かい合うシーロックさんと俺たちの間に入り右手人差し指を出して顔の近くに持ってきていた。


「目標はこの層のクリア!!あらゆる敵をなぎ倒し、ひき潰すぞ!!我らはウェポンズ!!闘争の手段であり、闘争の象徴であり、勝者が掲げる御旗である!!!これより勝者が参るぞ!!!ひれ伏せい!!!!」


 そして第二層の攻略が始まった。

 制限時間は10分。

 目の前には夥しい数の言葉を発さないチーターたち。

 俺たちは一本の矢となって飛び出した。


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