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チートハンターズ 〜このゲームのチートは全て狩り尽くす〜  作者: 隈翔
シーズン3 仁義なきダンジョン攻略
41/45

星に魅せられる/蹂躙的な出会い

本日は二本立て

「……」


 光の先の第2層。

 攻略記事によれば、課題は『制限時間内での迷路の脱出』。

 現れる敵と謎解きを短い間で行わなければならない難関ステージ。

 しかし目の前に広がる光景はそれだけではないと言っている。

 彼らを待ち構えていたのは溢れんばかりのプレイヤーだった。

 その全てがこちらに敵意を向けている。


「お前たち何者だ」


 二刀流の剣士はイレギュラーな状況にもおののくことなく彼女を守るように前に出た。

 その表情は完全に無。ただ生気のない目で人間たちを見つめている。


「俺たちはチート連合。お前を倒すためにここに来た」


 その内、先頭に立つ黒いローブを纏う男が禍々しい鎌を構えて名乗りを上げた。

 彼の目はぎょっとするほど充血しており、その言動には執念の火が灯っている。


(異常事態だな。仲間に連絡しておくか)


 キリュウはチートハンターズの仲間たちに『イグドラシル遺跡 チーター 異常事態』とだけ連絡をしてから背負う二刀を抜刀。敵意を反射した。

 目の前には100人以上の敵性プレイヤー。刀、剣、杖に本、槍に鎌。

 十人十色、様々なスタイルのプレイヤーが彼に敵意を向けておる。


「お前たち。これから俺は次世代への大事な教育を行うところなんだが、それを邪魔するつもりか?」


 後輩を育てる気満々のキリュウは邪魔な存在たちにやや辟易としていた。


「……いや待て、お前、俺のことを覚えていないのか?あの『デスリーパー』を」


「ん????」


 すると、先頭に立っている黒いローブの男が自身のことを名乗りながらキリュウに覚えがないか問いただす。対して彼は全く見当がつかないようだ。


「いや、俺は忘れていないからな!!俺はお前に倒されたチーターだ!!!!!」


「……あー。そういうこと」


 思い出すこともできないが目の前の存在がどういうモノなのかを把握できたキリュウは戦闘態勢に入る。


「忘れたてたよ。それに、その名乗り世界で一番ダサいぞ」


「貴様ぁ!!!!!!」


 『デスリーパー』彼の持つチートは『強制──────


流星剣戟(ステラ・ストライク)


 チートを発動するよりも早く首に一撃を入れた。

 神速の一撃に動揺しているデスリーパーに対してさらに斬撃を加えて体力をゼロにする。

 あまりにも流麗な一連の流れにより、見ている者全ての動きが止まる。


「さて、クレナータ、だったな」


 ただしかし、第2層の制限時間は進行している。

 キリュウはぽかん、としている後輩に対して声をかけた。


「は、はい!!」


「最初の課題だ。ややスパルタだがついて来てくれ。まず、全てにおける速さを鍛える。このチーターたちを殲滅しながらこの層をクリアするぞ。ポイントは『判断を信じて貫くこと』」


 するとキリュウは後輩の答えも聞かずに飛び出した。

 呆然としているチート集団に斬りこみ、対応が後手に回っていく者たちから順に青い結晶を散らしていく。


「どんなチートも発動させる前に倒してしまえば問題ない!!!チートを発動させたとしても圧倒的な力があれば正面からの攻略は可能だ!!!!」


 片手間にアドバイスをしながら蹂躙を行うキリュウ。


 その姿に彼女は突き動かされた。


「はい!!!!!」


 神速の剣姫はチーターたちに向かって飛び出した。

 星に少しでも近づくために。







────────────────────────────────────────────────────





 視点はサム、夏目慶のものへ移り変わる。

 キリュウとクレナータが第2層の攻略へ乗り出したその時、彼は第1層に到着していた。




「ようし、やるか……」


 俺はイグドラシル遺跡の第一層に到着した。

 既にキリュウさんからチーターが集めっている異常事態が発生しているという話は聞いている。ここで俺の動画のネタになってもらおう。

 録画ボタンを押しながら当面の目標を整理する。


(まずはキリュウさんと合流だ。どんなチーターがどんな状況なのか、単語の羅列じゃ分からない。色々確認しないと)


「む、君はチートハンターズのなんだったかね?トム?」


 すると俺の背後から肩をぽんぽんと叩きながら爽やかなイケメンのアバターが現れた。髪の毛は天然パーマ爽やかな現代風のイケメンだ。服装は古墳時代とかの、そういった古代の貴族のようなもので、腰に帯びている剣もまさに古代のものだ。


 服装と顔がちぐはぐでどこかコスプレっぽい。


「サムです」


 初対面で名前を間違えられた俺はそういうこともあるかと訂正する。


「ああいや、君はトムだ。私はオーバー。ウェポンズというクランのリーダーをしている。よろしく」


 すると訂正を跳ね除けて彼は握手を求めてきた。


(なんなんだ。この人)


「ああ失礼。初対面で握手を求めるのは礼儀に欠いているかな?かいていないかな?どうでもいい。まぁ警戒されるようなことをして悪かったな。トム」


「え……ああ、よろしく、お願いします」


 完全に気圧された俺は何とか言葉をひねり出すことしかできない。


「すいません、サムさん。ですよね。お噂はかねがね。うちのクランリーダーは中々な人物でして」


 すると俺と彼の間に一人の男が入り込んだ。灰色のインナーにがっちりした鎧。両手に爪が付いている白くて小型の盾を装備した、髪を後ろで結んだ狼のような風貌をした男だ。その右目に縦一本、傷跡がある。


「そんなことよりとっとと撃とうよ。ここのステージ気持ちいいし」


 さらに白い軍服を着た両目が赤い髪で隠れた長髪の少女が現れた。その右手には直覚的なシルエットを持つ金属製の弓を携えている。


「初めまして。ボクはノースカロアナといいます。このアバターカワイイでしょ?」


 そして最後に現れたのは、僕っ子で話すピンク髪でショートヘアの少女。肩にアーマーを付けた軽装で三叉槍を装備している。


(なんかすごい人たちと出会ってしまったな)


 キャラが濃すぎる。脳がショートしそうなくらい。


「まぁまぁ待ちたまえ諸君。第1層の課題は比較的簡単だ。制限時間もないダンジョンに入っただけでは課題は始まらない。そんなことよりも今回のゲェィストをもてなそうじゃないか?」


 するとオーバーさんが彼らをまとめ上げる。


「ゲェィスト?ゲ、ゲスト?の?ことですか?」


「悪い。話を合わせてくれないか?」


 彼の言動に翻弄されていると盾を持つプレイヤーが手を合わせて謝ってきた。


(どうしようか……)


 俺が悩んでいることは彼らと行動するかどうかだ。

 キリュウさんの連絡から考えるとこの遺跡にチーターがいる可能性はかなり高い。戦略的側面から見れば、もしチーターと戦うのならばどんな戦力でも欲しいところだ。

 だが無暗にチーター討伐に協力してもらうわけにはいかない。チーターとは理不尽そのもの。そんな奴らと戦いを強要すべきではない。


(そもそも、今その判断をすべきじゃないな)


 少しの間悩んでいるととある思考に辿り着いた。今考えるべきじゃない。彼らをチーターから守れるかもしれない。

 共に行動しない理由はないのだ。


「構わないですよ。よろしくお願いします。えっとお名前は……」


「ああ、それでは改めて、私はシーロック、そして、剣を持っているのはオーバー。我々、クラン『ウェポンズ』のリーダー。そこの弓使いはリバナチュラ、槍使いはノースカロアナといいます」


「何をしているんだシーロック。ゲストに抜け駆けか?それはいけないことだ。我らが参謀役と言えどそれはいけない」


 オーバーさんがシーロックと俺の間に割って入り、肩を組んでニヤリと笑っている。横目でシーロックさんのことを見ながら。


「さて、それでどうするのかな?ゲストは我々の作戦に参加してくれるかな?」


「作戦?」


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