episode3 零の指導力
レインボー学園。
零真「ハッ!」
スタジアムに撃ち出されるクロスゴマ。
「ビュビューーーン!!」
高速機構のラインとビットが噛み合い、物凄い勢いでスタジアムを駆け回るクロスゴマ。
ハヤテ「調整は上々ですか?」
零真「なんだ、ハヤテか」
ハヤテ「零真さんがクロスゴマの調整なんて珍しい」
零真「今度、都内に赴任する際に、レギュラー大会を観戦に行く予定だからな、一応回しているんだ」
ハヤテ「(さては、何か策があるんだな)」
ハヤテ「僕もご一緒させていただいても?」
零真「いいけど、音を上げるなよ」
ハヤテ「御冗談を┐(´∀`)┌ヤレヤレ」
零真&ハヤテ「3、2、1、ゴーシューーート!!!」
フードコート。
零真「ん」
父親A「何度言ったらわかるんだ!そんなシュートフォームじゃ全然ダメだ!!」
男の子A「(。•́ - •̀。)シュン」
零真「(#^ω^)」
鬼の形相になる零真。
リズ&葉瑠「あー、ヤバイ…」
父親A「いいか、シュートはこうやるんだ、わかったら早くしなさい!」
男の子A「(´ω`)トホホ…」
徐にシューターとクロスゴマを取り出す零真。
「シュッ!」スタジアムカバー上部に撃ち出されるクロスゴマ。
父親A「もっと、こうやるんだ!」
カバーから跳ね返り、父親の方向を飛ぶクロスゴマ。
「ギューーーーン!!」
父親A「う、うわっ!!!」
父親Aの顔面すれすれを過るクロスゴマ。
零真「いやぁ~、すみません、ちょっとシュートミスしちゃいまして…」
リズ&葉瑠「(当たってたらどうするつもりやったんや)」
父親A「あんた、ジャッジの兄ちゃんか、何てことしてくれるんだ」
零真「本当に申し訳ございません、君も大丈夫だった?」
徐にしゃがみ、子供目線になる零真。
男の子A「うん、大丈夫」
零真「名前は?」
男の子A「ダイゴ!」
零真「そうか、ダイゴ君か、クロスゴマ楽しい?」
ダイゴ「うん、楽しい!」
父親A「おい」
零真「あ、すみません」
父親A「おい、ダイゴ行くぞ」
零真「ちょっと待ってください」
父親A「なんだ?」
零真「あなたは自分のコマ知識に絶対的自信があるようですね」
父親A「そりゃ、ここ最近もG3大会に通って現役バリバリだからな
零真「へぇ~、なら俺とコーチング勝負しませんか?」
父親A「どこの馬の骨か、わからん奴に興味はない」
零真「僕は中学生時代、公式のタッグトーナメントで全勝をして、ホロホロコミックで名前が載った事があります」
父親A「うぐ…(名前なんて載ったなんて一度も味わったことないぞ)」
男の子B「なら俺がそっちのオッサンと組むから、ダイゴはそっちの兄ちゃんと組みなよ」
ダイゴ「あ、大牙くん」
大牙「ヨッ!」
零真「(彼は随分と大人びてるなぁ)」
ダイゴ「この子はね、すっごくクロスゴマ強いんだよ」
零真「そうなのか」
大牙「で、オジサンどうすんの?」
ダイゴ父「チッ、仕方ない受けてやる」
リズ&葉瑠「(スゲェ偉そうだな)」
零真「ルールはプレイヤーが子供、コーチが大人、子供さんに2つコマを提示してもらい、そこからコーチが1つのコマを選出」
零真「準決勝からは3個のクロスゴマを用いた『3on3バトル』になります、そのバトルで各々が決めたコマを使って勝者を決めます」
ダイゴ父「1つしか決められない?私が全てを決めさせてもらいたい」
大牙「(このオッサン、話聞いてたのか…仕方ない)」
大牙「兄ちゃん、俺はそれでいいよ」
零真「(空気を呼んで合わせてくれたか、スマンな)」
ダイゴ「自分でコマを決めるの?」
零真「どうした?」
ダイゴ「いつもお父さんが指定するコマを使ってたから…」
零真「( ꐦ◜ω◝ )」」
リズ「あれ完全にキレてるな」
葉瑠「はい、完全に」
藍葉「(おっかねぇー)」
零真「ちょっと、責任者の方と話してきます」
零真「ダイゴ君はその間にちょっとでもコマのカスタム考えておいてね」
ダイゴ「うん、わかった!」
大牙「(噂には聞いていたが、マジでこんな大人バトラーがいたんだな)」
フロア責任者へ交渉に向かう零真。
大牙「やるからには真剣勝負だからな(俺はコマ決めらんないけど)」
ダイゴ「うん」
自分のボックスからコマを取り出し、自分なりにカスタムをするダイゴ。
リズ&葉瑠「(*´꒳`*)」
零真「かくかくしかじか、でして…」
フロア責任者「なるほど、今日は収益も出ているようですし、いいでしょう」
零真「ありがとうございます」
フロア責任者「ですが、親御さんへの説明は零真さんの方からお願いします、後『例外』ということを強調してください」
零真「わかりました」
零真「準決勝に進出される、参加者さんと親御さん集まってもらえますか?」
他参加者、保護者に説明をする零真。
父親B「なるほど、準決勝から親子タッグというわけですか」
父親C「面白そうですね、最近単純なG3大会ばかりで子供もマンネリ気味だったので」
零真「(他の保護者さんは理解ある人達でよかった)」
零真「それでは、今から『30分間』大会ベイの『選出、作戦会議』の時間とします」
各々、フードコートないで調整に入る。
零真「(さて、ここからが重要だな)」
ダイゴ「零真兄ちゃん、2つベイを選んだよ」
零真「どれどれ」
零真「(1つ目はフリー回転ブレードのホワイトウルフ、3-60、GF、位置付け的には攻撃型か)」
零真「(2つ目はブレードがスカーレットウイング、9-60、B、これはだいぶ前の環境でよく見た環境ベイに近い持久型か)」
ダイゴ「ど、どうかな」
零真「いいと思うよ、とりあえず、試しに回そうか」
ダイゴ「うん!」
用意されたスタジアム前に移動する二人。
コマを装着して構えるダイゴ。
零真「よし、それじゃいくよ」
零真&ダイゴ「3、2、1、ゴーシュート!」
スタジアムに撃ち出される両者のコマ。
零真が使っているのは、シノビダーク4-60TP。
ダイゴが使っているのは、ホワイトウルフ3-60GF。
「ギューーーーゴゴゴ」
ダイゴのコマが勢いが止まらず、一番得点の高いサイクロンゾーンに落ちる。
ダイゴ「あー、落ちちゃった…」
零真「。。。o(゜^ ゜)ウーン」
物凄い難しい顔をする零真。
零真「ダイゴ君って右利き?」
ダイゴ「うん」
リズ「あれ、何の確認してるの?」
葉瑠「多分ですけど、『持ち手の筋力不足』を見抜いたんじゃないですかね」
リズ「それってつまりどういうこと?」
葉瑠「に、零真さんが仰るには、クロスゴマのシュートにおいて一番重要なのは『固定する手』だそうです」
葉瑠「極論、ワインダーを引く力はあまり必要じゃないらしいです、『力というよりは速さ』だそうです」
リズ「なるほど」
零真「ちょっと持ち手を変えてみようか」
ダイゴ「わかった!」
シューターのグリップを付け替え、再度回すダイゴ。
ダイゴ「ゴーシュート!」
撃ち出されたコマは先ほどよりも安定してスタジアムを駆け回る。
零真「(読み通りだな)」
零真「よし、もう一度試しにバトルしてみよう」
ダイゴ「うん!」
零真&ダイゴ「3・2・1、ゴーシュート!」
同時に撃ち出される両者のクロスゴマ。
「ギュイーーーン」
ダイゴ「いけーーー!」
サイクロンラインと噛み合い、物凄い勢いでホワイトウルフがシノビダークに迫る。
零真「(ここだな、頼むぞシノビダーク)」
刹那、シノビダークは攻撃を受け流し、再びサイクロンゾーンへと落ちるホワイトウルフ。
ダイゴ「あー、まただ~」
零真「同じじゃないよ、今のは『ブレードの特性』の影響だよ」
ダイゴ「(・・?」
零真「シノビダークのブレードはつるつるで攻撃をよく受け流すんだ、だからフリー回転のホワイトウルフには吹っ飛ばされないってわけさ」
ダイゴ「そうか、それじゃ『フリー回転』じゃないもっと弾くブレードを選べばいいんだね」
零真「そういうこと」
ケースを取り出し、別パーツとブレードを交換するダイゴ。
ダイゴ「ティラノステップのブレードに変えて、もう一回やろう!」
零真「よし、やろう!」
零真「(読み通り、自分で攻撃向きのパーツを選んだみたいでよかった)」
藍葉「大会まだかよ~、俺夜に配信あるんだけど」
ハヤテ「まぁまぁ、もうちょっとの辛抱ですよ」
藍葉「お、ハヤテさんじゃん」
ハヤテ「どうも」
ハヤテ「それにしても、零真さん、子供さんに『自ら最適パーツを選ばせる』ように誘導するなんて流石ですね」
藍葉「え、そうなの?」
ハヤテ「ティラノステップはTierの高いガチパーツなんですよ」
藍葉「なるほど、やるねぇ」
ダイゴ「零真兄ちゃん、3つ目のコマって決まってるの?」
零真「うーん、2つ候補はあるけど、そうだな」
零真「それじゃダイゴ君にどっちか決めてもらうかな」
徐に2つのコマを差し出す零真。
1つ目はインパクトレックス7-60H。
2つ目はドランハイパー1-60C。
ダイゴ「見たことないカスタムだね」
零真「(さて、どっちを選ぶ)」
ダイゴ「こっちのレックス使いたい」
零真「(扱いが難しい方を選んだか)」
零真「よし、ならちょっと特訓しようか」
ダイゴ「特訓?」
零真「僕が残りの時間を使って、このコマの使い方を教えるよ」
ダイゴ「うん!」
大牙「あー向こうは楽しそうだなぁ(#^ω^)」
ダイゴ父「さ、俺達も特訓だ!」
大牙「(このオッサン、自分がバトルしたいだけじゃん)」
参加者達は各々のプレイヤー共に最終調整に入るであった。
リズ&葉瑠「(まだ大会始まらないのかなぁ…)」
次回、大会開始。
零真「おい、作者、まだ大会始まんないのかよ」
作者「頭の中にあったお話を形にしたら、長文になりましたとさ」
零真「普段から下書きしてない報いだな」
作者「すんません、精進します…」