登場人物紹介・転生者編(十三話以降)
転生者
異世界ヒノモトとは別の世界からやって来た人間達。文化や国籍の近しい者同士で集まって『傭兵団』を結成して現地の人間と共に暮らしている。
別に乳幼児の状態で来てはいないので転生者というより転送者な気もするが、全員『明確に死亡した記憶』を有している為やっぱり転生者でも間違ってはいない様にも思われる(然しながら全員前世の事は何故か妙な程に話したがらず、そうしている内に後述のガニザニが前世の話をする事自体を禁じる決まりを作ってしまった)。
何回死んでも死なない『死に戻り』能力が最大にして唯一の売りではあるが、精神へのダメージは不可逆なので何度も死んでいるとその内廃人になって再起不能になる。
キタノ傭兵団
キタノトキタロウ
東ヒノモトで活動する『キタノ傭兵団』の団長。団の制服である白い直垂の似合う、爽やかな雰囲気でありながらも古風な印象を纏った仁義と人情を重んじる美男子。
自身が担ぎ上げた光旭の目覚ましい活躍によって『神坐』と名乗る国が出来、現地人の武士達を従えて回って『七将軍』と呼ばれる彼等を束ねる7人の一角にまで上り詰めたが、自身の思いとしては地位や名誉よりも旭に婿入りさせた元弟分のトキヤが幸せに生きられる事を望んでいる……。
のだが、それはそれとして女好きでトラブルメーカーな彼がトキヤに迷惑を掛けている事の方が依然として多い。
光トキヤ(キタノトキヤ→トキヤ→光トキヤ)
老人の様な白髪と転生者しか身に着けている者のいない眼鏡が特徴的な青年。
かつてはキタノ傭兵団の米倉で年貢を数え、トキタロウの雑用をしていた名ばかりの参謀だったが、様々な運命の悪戯によって自身の兄貴分だったトキタロウの担ぎ上げた光旭に婿入りする事となり、遂には将軍のトキタロウよりも高位となる執権の座に就いてしまった。
自身を利用する為にトキタロウから略奪して婿に迎えた旭に対して『自分達を何もない田舎から連れ出してくれた』と恩義を感じて好意を寄せてしまう程のお人好しでバカ正直な性格をしているのだが、旭から執権として神坐国の暗黒面を『男は殺して女は犯す』やり方で引き受ける様に強要され、徐々に彼女以外への言動が残忍かつ邪悪な様相へと変貌し始めている。
それはそうとして自身が手籠めにした相手との間に子供を欲しがるのは彼自身の性癖。
昔は男はダメだったが、最近は後述のシャウカットや旭の弟の光正義の様な艶めかしい男が周囲に増えた結果、男が相手でも子供を欲しがる様になってきている。
サエグサ傭兵団
サエグサ・ヒョンウ
サエグサ傭兵団の団長だが、団の制服である黒の直垂に袖を通す事は少なく、専ら動き易さを優先して黒の小袖袴か小具足を着ている。
年齢不詳の美男子だが暗殺稼業の傭兵団を率いる身の上である為、転生者や神坐の面々以外で顔を知る者はあまり多くない。
キタノ傭兵団の団長トキタロウとは互いに『盟友』と言って憚らないが、彼の弟分の事はあまり気に入っておらず『キタノ弟』や『執権さん』と回りくどい呼び方をしている。
彼自身は知らないが、転生者の死に戻り能力を使った強行偵察代行業で荒稼ぎをした結果、後述の良子をはじめとした多くの現地人の間者は廃業する羽目に陥った。
サエグサ・ジョンヒ
サエグサ傭兵団の若き副団長。
黒髪を長く伸ばした黒の直垂姿と一見動きにくそうでありながら何処からともなく現れては消えるという唯単なる俊敏さだけではない独自の身のこなしを得意とする。
キタノ傭兵団の参謀トキヤとは転生して来た時期が近かった事もあり腐れ縁が続いていたが、間に入った光旭が彼を強奪し、挙句の果てに強引に婿へと迎えてしまった事で、どっちつかずの関係をダラダラ続けていた報いを受ける形でトキヤとの関係は崩壊してしまった……。
かに思われたが、予てからの縁を慮った旭からトキヤの側女になる様勧められてもこれを拒絶。
まるで婿入りした事実を無視するかの様に、今までの腐れ縁を続ける事をトキヤのお人好しな性格に付け込んで強要し、現在も異常な三角関係のような何かは終わりを迎えられていない。
本人的にはトキヤの事は世話の焼ける弟分の様なもののつもりだが、同じ弟分扱いでもトキタロウとは全く違った偏執的且つ倒錯的な感情を向けている。
ヤマモト傭兵団
ジョージ・ヤマモト。
ヤマモト傭兵団を率いる深緑の直垂を着た金髪の老翁。少々口が悪く気さくで楽天的な態度をとるが、老獪で堅実な面も見え隠れする。
個人の立場だと汚れ仕事を平気で引き受けてしまう悪癖があり、旭がトキヤと夜を過ごす際に着ている、いわゆる夜伽狩衣は彼のデザイン。
更に中ヒノモトを統べる菱川真仲が色病みの呪いで錯乱し当主不在となった際にはその隙を突いて、彼女の領地で勝手に巨大リゾートを建設する暴挙に出た。
ペイジ・ヤマモト
ヤマモト傭兵団の副団長を務める眼鏡を掛けて赤毛をポニーテールに縛った女性。一般団員の着用する迷彩柄の直垂を幹部の立場で着ているのは謙虚さから……ではなく、自分に自信が無いから。
理屈っぽい、話が長い等トキヤと似通った部分があり、彼と面と向かって話をする事こそ少ないがお互いに理解し合った関係を築いているものの、後述のニャライがジョンヒの介入で別れさせられたと思い込んでいる為に彼女を恐れて『そういう関係ではない』としてもう一歩が踏み出せずにいる。
セージ・ヤマモト
ヤマモト傭兵団の参謀。好戦的で口より先どころか挨拶よりも先に手が出てしまうので、指揮官としての才能は皆無。だが、戦闘能力の高さでは転生者達の中で彼女の右に出る者は唯の1人もいない。
普段は深緑の直垂を着て、金髪を雑に伸ばしっ放し、目元には『戦いを求めて常時血走った目を隠せと窘められた』為に仮面を着けている。
戦闘時には明らかに異世界ヒノモトではオーバーテクノロジーな迷彩柄のパワードスーツを着込んで戦うが、本人の常軌を逸した暴力至上主義のせいでヒノモトの文化保護を訴える後述のガニザニの抗議も耳に入っていない。
イシハラ傭兵団
ガニザニ・イシハラ。
神坐国の頭脳と言っても過言ではない七将軍の1人にして、参謀派遣型傭兵団のイシハラ傭兵団で団長を務める男。緋色の直垂を着て眼鏡を掛けたドレッドヘアのナイスミドル。
物腰柔らかな中年男性といった雰囲気だが、光旭とトキヤが絆を結ぶ様に誘導したかと思えば、機会さえあれば他の七将軍を相手に戦をしたそうな素振りを見せたりと、表向きは全員に対して協力的である一方で、彼の真意には誰も辿り着けない。
然し下ネタは苦手。
ニャライ・イシハラ(ニャライ・イシハラ→ニャライ・キタノ→ニャライ・イシハラ)
イシハラ傭兵団のツインテールに結んだドレッドヘアが可憐な参謀長の美少女。その本性としては程々に素直で、程々に毒気のある、どこにでもいそうな一人の普通の少女に過ぎない。
自分が愛想を尽かして別れたトキヤを剛腕で使いこなす光旭には素直に尊敬の念を向け、
自身には思いもつかない作戦を強行して大それた戦果を叩き出した光正義には謀殺計画をぶち上げる程に嫉妬の念を抱く……。
そんな年相応の言動の全てが彼女の真の姿なのかもしれない。
オオニタ傭兵団
チランジーヴィ・オオニタ
武闘派として名高いが実際のところとしては結構手広く多角的なオオニタ傭兵団を率いる、紺の直垂が似合う癖毛の黒髪を長く伸ばした絶世の激メロ爆イケ男。
しかも顔にかまけずこの世界に来てからというもの社交ツールとしての歌も舞も必死の勉強の末完璧に習得し、そこへ生来の底抜けに明るい性格まで加われば、それはもう完全無欠のスーパー転生者武士でしかなく、目についた全ての男も女も誑かして自分の配下に引き入れまくってしまう人力チートっぷりを発揮しまくってはいるものの、自分は所詮オオニタ傭兵団を大きくする為のツールでしかないと割り切っている意外とドライで深謀遠慮な所が結局の本音。
然しながら男はともかく地方の女領主にまで自身をそうやって売り込んだ結果メロついた女が行列を成して側女に来てしまう様なやり方は側から見れば『節操なしの女好き』以外の何者でもない。
例え老人の様な変な喋り方をしていても。
シャウカット・オオニタ
武闘派で幅を利かせているオオニタ傭兵団の参謀を務める少年。こちらも癖毛の黒髪を長く伸ばした藍色の直垂姿をしているが、チランジーヴィよりぐっと歳若いからか背丈の高さに反してかなり中性的な雰囲気。
名ばかり参謀のトキヤとは違って文武両道で人当たりも良いが、たまに抜け目なく狡猾な一面も。
トキヤの事は『いつか自分の好敵手となる男』と考えており、彼が好意を自覚する前から光旭を女性として見て狙っていたが、完全にトキヤの虜となった旭の姿を目の当たりにした辺りから、自身の本当の想いが何処に向いているかの自覚に異変が生じ始める……。
ヴェーダ・オオニタ
オオニタ傭兵団の経理部長を務める女性。背の高く異様に気高い美しさを感じさせる癖毛の黒髪をしている。上記二人に倣って藍色の直垂を着ているが、彼女は更に金の刺繍が入った藍色の布を頭から肩にかけて緩く被っている。
裏方の立場でありながらチランジーヴィの影に隠れて様々な謀略を張り巡らせていた。
自称『神坐一の天才軍師』の由来は団内恒例チャトランガ大会で毎年優勝していた実績から。
イタミ傭兵団
イタミ・タンジン
青い狩衣を着た長い黒髪姿の常人離れした美しさを漂わせる男。東ヒノモト最大規模の傭兵団『イタミ傭兵団』の団長を務めているが、そのイタミ傭兵団は転生者が自身しかいない為に日々四苦八苦している。
光旭の挙兵は時期尚早過ぎると考え初めは人類を守るべくカゲツ傭兵団の軍門に降っていたが、彼の予想に反して光旭は瞬く間に東ヒノモトの武士という武士を従えてしまい、これ以上東ヒノモトでカゲツ傭兵団は勢力を維持出来ないと判断した良子に旭の側へ寝返るよう決断を迫られた結果、これを受け入れる形で旭の軍門に降った。
だがそれ以降も素直に旭に従う気は全く無く度々彼女の謀殺を企むも、自身の認めた王の器であったトキヤがそれまでタンジン自身の用意した膳立ての全てを投げ打ってまで旭を女王として認めさせる決断を果たしたのを境に我を通す事は諦め、光旭の君主としての才能を認めるに至った。
良子※転生者ではないが傭兵団の所属である為この括りで紹介
イタミ傭兵団の下女長を務める中年女性。
素朴な容姿で客人には優しげな笑顔を絶やさないが、屋敷の雑事から戦時の兵装管理まで、傭兵団内部の裏方仕事は彼女がすべて目を通している。
タンジンに何かがあった際の臨時団長の役目も背負っているようで、彼がやむを得ず不在の折には一時的にイタミ傭兵団の団長を務める事も。
サカガミ傭兵団
ティナ・サカガミ
赤と黒ばかりの十二単を着込んだ長い銀髪の美女。全団員が転生者のサカガミ傭兵団の団長。
不老不死の軍団を率いる為か良識や倫理観は無く『残忍』『野蛮』という言葉の擬人化の様な性格。団員達は彼女を『ツァーリ』と呼び従う。
実際のところは恐怖による鞭と略奪の容認による飴で団員達を飼い慣らしているに過ぎず、自身の強さを示せなくなると団員達は誰の言う事も聞かない錯乱状態になり、無言で立ち尽くすようになってしまう。
光旭に調伏されて以降は神坐の将軍の一員として神坐の為に無法の限りを尽くしていたが、ある時彼女の思いつきで始まった弟の光正義暗殺計画のとばっちりで何の罪も無かったにも拘らず精神を破壊され、死なない転生者でありながら実質的な死を迎える事となった。
バレンティン・サカガミ
黄色の直垂を制服に定めたサカガミ傭兵団の新たな団長。前任のティナの呪縛から嘗て同じ立場であった団員達を解き放つ為、自身がティナよりも神坐ひいては旭にとって役立つ事を証明する為に東奔西走する。
銀髪ポニーテールの目を見張る美青年で、基本的には真面目な堅物そのものだが、信頼を置いている親しい者の前では真顔のまま人並外れたセンスのギャグをやってのける。
アリーシャ・サカガミ
サカガミ傭兵団の副団長を務める、黒地に赤色のルシネーク紋様が入った直垂を着た銀髪をツインテールに結ぶ少女。
平団員時代から反団長派を率いて独断専行を繰り返しており、バレンティンは手を焼いていた。
バレンティンが副団長の地位を授けるや否や、更に増長した彼女は自らを『真の団長』と偽って周囲に売り込み始め……。




