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異世界傭兵団の七将軍  作者: Celaeno Nanashi
第十二話【雷葬】
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第十二話【雷葬】5

 「うっ、ぐ、あ、あがあああっ! あっ、ぐ……! 苦゛、し゛……! トキヤ殿、頼む……! や゛め゛て゛ぇ゛……!」

 明らかに快楽を感じている雰囲気ではない真仲の様子に、

 「真仲さん!? 円、一旦止めた方が……!」

 トキヤは少し焦りを見せたが、

 「これは……真仲様ご自身の感覚が鋭過ぎるのが原因ですね。様子を見ながら快感の増幅度を下げますので、構わず続けて下さい」

 円はいたって冷静だった。

 「えっ、つ、続けるのか? 死んじゃったりしないよな?」

 「私が大丈夫だって言ってるんですから大丈夫です、続けて下さい。義兄上だって真仲様に孕んで欲しいのでしょう?」

 「それ言ったら言う事聞くと思うのやめてくんない?」

 「いいから」

 「わ、分かったって……真仲さん、ごめん……!」

 トキヤに続けさせながら、真仲の下腹部に手を当てて目を瞑り、円は意識を集中させる……。

 「う、ぐ……お゛っ!?♥ お゛へっ♥」

 数秒と経たないうちに、真仲は突然それまでと様子が変わって下品な嬌声を上げ始めた。

 「ふふふ……やっぱり♥ あんなに雑なまぐわりでも果てられると謂う事は、義兄上に抱かれる快感では強過ぎて苦しくなってしまう様ですね……♥ 上げ幅を殆ど等倍に、つまりは呪いがほぼ意味を為していない状態だと謂うのに、まるで呪い漬けの姉上の様に乱れているではありませんか♥」

  「お゛う゛っ♥ ふぅっ♥ う゛ぅ゛っ♥ やめっ♥ やめ、て……♥ 嫌なのにっ♥ トキヤ殿でっ、感じては、駄目っ♥ だめなのにいいぃ……♥」

 「感覚が鋭い、と謂う事は……真仲、あなたはそれ程までに淫乱で、執権様の寵愛を人一倍強く受け止められる、という事なのかしら……♥」

 「うあぁっ♥ あ、あさひ、さま……♥ やめてっ♥ 二人でするのっ♥ だめえええええ……♥」

 「呪いが無くとも執権様に溺れられる……まさしく、生まれながらの遊女の才を授かったあなたは、執権様に抱かれて、その快楽に善がって悦ぶ為に生まれてきた。そして今、やっと運命の人に抱かれる時がやって来て、その才の全てを駆使して身も心も捧げられる幸運に恵まれた……悔しいけれど、執権様の遊女にも奴隷にもなれず、妻である事が限界だったわたしと違って、真仲……あなたは……♥」

 真仲の身体を弄びながら、

 「執権様の望むままの、雌奴隷になれるわ……♥」

 そう耳元に囁いた。

 「い、嫌だ……♥ やめろ、やめろおぉっ♥ トキヤ殿の、奴婢になるなんてっ♥ 嫌だあぁ……っ♥」

 「ホントに嫌なら、どうしてそんなに上ずった声で、嬉しそうな顔で、俺に抱かれてるんですか? ……旭、一回いいか?」

 「分かりましたわ♥ 真仲、執権様と一緒に果ててみて? わたしも手伝ってあげるから♥」

 「えっ……ま、待てっ♥ 本当に私を……♥ ち……違う、違う! こんな事嬉しくない! 嫌だ! 私はお前の子なんて……うお゛ぉ゛っ!?♥  お゛ほお゛お゛ぉ゛っ♥ と、トキヤ、殿っ♥ やめっ♥ 急に激しくはっ♥」

 圧し掛かってきたトキヤに激しく責められ、

 「手を緩めるなよ、旭……うっ、ふぅっ、ん……っ」

 「お゛っ!?♥ お゛ん゛っ♥ 旭様までっ♥ らめぇ゛っ♥ だっ♥ 助けてっ♥ だじゅげでえ゛え゛え゛ぇ゛っ♥」

 かと思えば後ろも旭に責められて、追い詰められた真仲は、逃げ場を失って伸ばした腕を、

 「こっちだ、真仲」

 すかさずトキヤに絡め取られて、

 「んむぅっ!?♥ ん゛っ♥ ふ……っ゛♥ ん゛う゛う゛う゛ぅ゛っ♥」

 唇を奪われ、舌を捻じ込まれ、唾液を混ぜ合わされる。

 「さあ、真仲……あなたもわたしと同じになって? わたしと同じ獣に堕ちて♥ わたしばかりが呪いのせいで、刀を折られて遊び女よ奴婢よと貶められるなんて……そんなの許せない。

 だからお前も堕ちぶれろ……!

 お前も刀を折らされて、私と同じように武士をやめさせられて、遊女に……否、快楽の奴婢へと堕ちるがいい!

 お前のように頭の切れて、背格好と顔が良くて、人当たりも良くて! 相手を立てるのも上手くて! 左様な欠けたるものの無き武士の鑑など! 私よりも優れたる武士など! この世に有ってはならぬのだ!

 菱川真仲、お前は私を冒そうとした。武士の頂であり、神にも等しき私を。お前の罪は死罪を以てしても裁ききれぬ。故にお前は死よりも惨い罰を受けねばならぬ」

 それは善意なのか、憎悪なのか、或いは『其処』に至った者が己しかいないが故の寂しさからなのか。

 真仲を深淵へと突き落とした旭の真意は、彼女自身にしか分からない。

 「だから、あなたもわたしと同じになって……っ♥」

 「ん゛ん゛っ♥ ん゛う゛う゛う゛う゛う゛! ……♥」

 トキヤと旭の間に挟まれた真仲は、快楽で張り詰めた顔で、声で、身体を強く跳ね上げさせた。

 「ぶへあっ♥ げほ……っ♥ はぁっ!♥ はぁ……っ! は……っ、う……」

 漸く解放された真仲は、目を白黒させながら苦しげに肩で息をし始めた。

 ……息を荒げながらも表情一つ変えずにいるのは、酸欠状態で放心気味になっている為だけではなかった。

 「義兄上の唾、微かに甘かったでしょう?」

 正気でない微笑みを向ける円に問い掛けられた真仲は、疑問に思っていた事を寸分の違い無く言い当てられて、唯々驚愕した顔を向ける事しか出来ない。

 「ふふ……まことに甘く感じたのですね。であれば、良い事を教えて差し上げます。義兄上や姉上をもっともっと、好きになればなる程に、甘さは強くなっていきますよ♥ 但し……あなた様が慕う気持ちを忘れ、心の離れた者は、唇を重ねても不味いと感じて拒むようになっていきます。二心は許されない事を、お忘れなく」

 ……円が耳元で囁いたその言葉は、妙に頭に引っ掛かって取れなくなってしまった。

 「円、真仲に何言ったんだ?」

 「いえ、大した事ではありませぬ。それより、もっと真仲様を……♥」

 円に唆されて、

 「分かった、円。……真仲、責任は俺が取る。だから俺の愛人に、なってくれないか?」

 トキヤは再び真仲を責め始める。

 「い、嫌だ……誰が想い人の妻の立場を蹴って、お前なんかの、側女に等と……」

 「だったらもう一度初めからだな……旭」

 「はいっ♥ 執権様♥」

 「う、嘘だろ……!? そんなの、無理だ、耐えられないぎっ♥ ぎひいいいぃ……っ♥」

 誰も彼女を助けない。

 責めの手を止めない2人は当然として、トキヤの後ろから真仲の下腹部へと手を伸ばす円までも。

 「真仲様……♥ 如何に御座いますか? これでもまだ、高巴様の方が好いですか?」

 「あ……っ♥ う、あたり、まえ、だろっ♥ ……こんな事、されても、私は高巴を、裏切るものか……♥ トキヤなんて、トキヤ、なんてええええぇ……♥」

 身体は快楽で従えられたが、心をまだ奪いきれていない……円はその事実を前に、険しい表情を見せた。

 「左様に御座いますか……さて、どうしたものか……人の心とは難しいものですね」

 「かっ、かはっ♥ ……生臭比丘尼め、斯様な、事で、人を従えられる等と、大間違いだぞ……! 一時の、快楽だけで……斯様な……!」

 次第に快感に慣れてきたのか、真仲は考えの纏まった言葉を発するようになり始めたが、

 「ふ……ふふ……♥ そうね。一時の快楽だけでは、従えられない……だから円、後はわたしに任せてくれるかしら?」

 旭は何か考えがある様子だった。

 「……姉上?」

 旭は一旦真仲から離れると、

 「執権様、実はタンジンから斯様なものを預かっております♥ これを着せてやって、わたしと同じ様に真仲の快楽も操ってあげてください。ずっと執権様を、愛し続けていられるように……♥」

 部屋の外、障子の影から桐の箱を持って来た。

 箱の中から出してきた服……その光沢だけで何であるかをトキヤは察すると、

 「真仲……このままその服で続けてると、汗で重くなって大変だから。これに着替えて貰うぞ」

 彼も一度真仲から離れた。

 「な……っ、ま、まさか、それは……」

 2人は、逃げようとするも身体に上手く力が入らない真仲がはだけさせていた直垂を脱がせて、藍色の異様な其れを着せる。

 「これは……旭のそれと結構デザインが違うな。藍色がメインカラーで、何かやけにテカテカしてるのは同じだけど……何て言うんだろう、アラビアン? っていうか。このフェイスベールとかまさにそんな感じだな」

 「わたしの方では狩衣を模している生絹は、こちらは直垂のようになっていますわね……」

 「こんなもんかな。どうだ? それの方が汗を吸わないから、軽くて良いだろ?」

 無理矢理着せられた其れを……夜伽直垂とでも謂うべきその服を身に纏った真仲は、恥ずかしげに身体をくねらせて、少しでもトキヤの視線から逃れようとした。

 「うぅ……♥ 何て下劣で、卑猥な……斯様なもの、服ではない……♥」

 「その割には物欲しそうに俺を誘うんだな?」

 「ち、違うっ♥ これは、お前に、見られたくなくて……♥」

 尚も目を逸らして顔を赤らめる真仲を気遣う様に、

 「真仲、何も負い目に感じないで? 妬けるけれど、今のあなたはわたしよりもずっと淫靡で、執権様を奮い立たせているわ……♥」

 旭が横に並んで、2人でトキヤを上目遣いに誘う。

 「旭、真仲を使って俺を誘うなんて……悪い事を覚えたな?」

 「あは……っ♥ 見ていて真仲♥ わたしと、執権様の、熱くてぇ♥ 激しいまぐわりをお゛お゛お゛お゛お゛……っ♥ お゛ほぉ゛っ♥」

 真仲は確かに目の前の光景に恐怖を抱いている。

 昼の旭と同じ人とは思えない女が……雌の獣が、トキヤに媚びて、トキヤに弄ばれて、トキヤに抱き潰されて……。

 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ♥ しっ♥ しっけんさまあ゛あ゛あ゛っ♥ 壊して♥ もっと壊してえ゛え゛え゛♥ わたしも執権様の奴隷にしてええええぇ……!」

 然し、同時に言い知れぬ興奮と期待で、胸が高鳴ってもいた。

 「あーあ、だから言ったのに。義兄上、姉上はあくまでおまけであり、当て馬です。故にさっさと終わらせて下さいね。……して、真仲様。凄いでしょう? 姉上の乱れっぷり……♥ 強過ぎる快楽で、姉上は己の内に別の心を生み出すに至ったのです。あなた様にここまでの事を求めるのは酷なので致しませぬが……もっと快楽へ素直になって、受け入れて、執権様のものになる事を認められれば、あのように成れますよ……♥」

 「い、いやだ……♥ あんなの、もう……正気の沙汰ではない……♥」

 「ええ、もうここにいる誰も正気ではありませんよ? だから早く、真仲様も素直になって下さい。早く私の番が来て欲しいので……ね? 義兄上♥」

 「高巴……早く……早く、助けに来て……くれ……でないと、私は……私は……っ♥」

 真仲の風前の灯火が如き正気が潰えるのは、最早時間の問題だった。


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