登場人物紹介・転生者編
転生者
異世界ヒノモトとは別の世界からやって来た人間達。文化や国籍の近しい者同士で集まって『傭兵団』を結成して現地の人間と共に暮らしている。転生者と呼ばれてはいるものの、赤子から生まれ直してくる訳ではなく、恐らく元の世界での死亡時の姿でこの世界に現れている。
現在のところ異世界ヒノモトの東側の一部地域でしか出現が確認されておらず、総じて『死に戻り』と呼ばれる能力……致命傷を負って死ぬとそれより前で最も健康な状態に肉体が戻る特殊能力を備えているが、記憶までは都合よく戻る事は無く、重度の心的外傷や精神汚染を負うと廃人になってしまう。
キタノ傭兵団
キタノトキタロウ
東ヒノモトで活動する弱小傭兵団『キタノ傭兵団』の団長。団の制服である白い直垂の似合う爽やかな雰囲気の古風な美男子で、顔が広く仲間が多い。
最近は弟分のトキヤに執心しており、彼とより良い暮らしが出来ないものかとあの手この手で様々な事に手を出しては痛い目を見ている。
後述のイタミ傭兵団へ忍び込んだ折に光旭に唆され、彼女を連れ出し挙兵した事で異世界ヒノモトにおける亜人の支配体制は東ヒノモト地方を起点に音を立てて崩れ始めた一方、それまで可愛がっていたトキヤを旭に取られてしまった事には複雑な心境を抱いている。
キタノトキヤ(キタノトキヤ→トキヤ→光トキヤ)
老人の様な白髪と転生者しか身に着けている者のいない眼鏡が特徴的な、キタノ傭兵団の参謀を任されている青年。トキタロウ不在時には彼の代わりに傭兵団の顔として働く。
トキタロウを『アニキ』と呼び四六時中慕っており「俺はアニキ一筋だ」と豪語するも、トキタロウのいない時は無自覚に他の傭兵団の年上の男達へ愛嬌を振り撒いている。
トキタロウが後述のタンジンの手から奪った妙な髪色の現地人、光旭と自身の間に運命を感じ、彼女に導かれるまま人類を虐げる亜人傭兵団であるカゲツ傭兵団を滅ぼす戦いに身を投じてゆく。
第五話【神の坐す国】で旭の命よってキタノ傭兵団から旭直属の側近となり、更に第九話【もう一人の光る姫】で旭と結婚する事となった。
サエグサ傭兵団
サエグサ・ヒョンウ
サエグサ傭兵団の団長だが、団の制服である黒の直垂に袖を通す事は少なく、専ら動き易さを優先して黒の小袖袴か鎧直垂を着ている。
年齢不詳の美男子だが暗殺稼業の傭兵団を率いる身の上である為、彼の顔を見てまともに生きている者は転生者以外ではそう多くない。
キタノ傭兵団の団長トキタロウとは互いに『盟友』と言って憚らない。
光旭の事は初めこそ遊女のなり損ないと侮っていたが、彼女の政治手腕、めきめきと成長してゆく戦闘能力を前にして、次第にその実力を認め始める。
サエグサ・ジョンヒ
暗殺や偵察を得意とするサエグサ傭兵団の若き副団長。高飛車だが風見鶏な所もあり、何を考えているのか分からない。
黒髪を長く伸ばした黒の直垂姿と一見動きにくそうでありながら何処からともなく現れては消えるという唯単なる俊敏さだけではない独自の身のこなしを得意とする。
キタノ傭兵団の参謀トキヤとは転生して来た時期が近かった事もあり、腐れ縁が続いている。
光旭の挙兵に賛同し、トキヤが彼女の為に戦う事を決める前から協力していたが、旭の人間性を目の当たりとしていくにつれて、同情しつつも接する態度が変わってゆく。
ヤマモト傭兵団
ジョージ・ヤマモト。
ヤマモト傭兵団を率いる深緑の直垂を着た金髪の老翁。少々口が悪く気さくで楽天的な態度をとるが、老獪で堅実な面も見え隠れする。ヤマモト傭兵団は人の出入りが多く、トキヤの属するキタノ傭兵団に孫請け依頼が来る事も少なくない。
汚れ仕事を団長の立場でも平気で行ってしまう為、副団長から止められる事もしばしば。
第十四話【光る下衆】において、敵対したカゲツ傭兵団の転生者、光アミカの持つ謎の銃器『石蒜散らし』で撃たれ、転生者は不老不死である筈が絶命した。
ペイジ・ヤマモト
ヤマモト傭兵団の副団長を務める眼鏡を掛けた赤毛の女性。本来ヤマモト傭兵団の一般団員にのみ着用が義務付けられている迷彩柄の直垂を幹部の立場でありながら身に纏っている。
公正さを重んじているが理屈っぽいところがある。ガラの悪い団長に率いられるヤマモト傭兵団が周囲の傭兵団から広い信頼を得ているのは彼女の働きによるところが大きい。
イシハラ傭兵団
ガニザニ・イシハラ。
参謀を各地へ派遣して生計を立てているイシハラ傭兵団の団長。緋色の直垂を着て眼鏡を掛けた物腰柔らかな中年の男だが、本心は全く表に出さない油断のならない人物。
トキタロウ達には飄々とした態度をとるが子供には甘く、ニャライやトキヤ、ジョンヒの前では嘘がつけず困った様子でいる事もしばしば。
ニャライ・イシハラ(ニャライ・イシハラ→ニャライ・キタノ→ニャライ・イシハラ)
イシハラ傭兵団のツインテールに結んだドレッドヘアが可憐な参謀長。知略の天才であり絶世の美少女でもある。勝利の秘訣は『防御は厚く、倫理観は薄く』であると本人は語る。
トキヤから告白されて過去に恋人関係となっていた時期があったが、トキヤがあまりにもトキタロウばかりを優先する為に愛想を尽かして別れた過去がある。
第二話【誰が為に狼煙は上がる】でトキタロウから光旭の挙兵に応じる事を条件にキタノ傭兵団副団長の座を提示されイシハラ傭兵団を出奔。先にキタノに属していながら低い地位に留め置かれたトキヤの反感を買うも、第五話【神の坐す国】ではガニザニとの交渉でその地位を利用し副団長として復帰昇進した。
オオニタ傭兵団
チランジーヴィ・オオニタ
武闘派として名高いオオニタ傭兵団を率いる紺の直垂が似合う絶世の美男子。
底抜けに明るく振る舞い歌や踊りにも長け転生者の中でも指折りの比類なき聡明さをも誇るが、トキタロウにも引けを取らない節操なしの女好きという噂で、何処で覚えたか妙な話し方が玉に瑕。
女好きと噂されるも実は男も同じ調子で口説いており、実態としては『できるだけ血を流さず仲間を増やしたい』という平和主義的発想からの言動が誤解を生んでいる。
シャウカット・オオニタ
武闘派で幅を利かせているオオニタ傭兵団の参謀を務める少年。 名ばかり参謀のトキヤとは違って文武両道で人当たりも良いが、自分の才能を過信している性格が玉に瑕。
トキヤの事は『いつか自分の好敵手となる男』と考えており、まだその時ではないとして普段は揶揄いながらも良好な関係に努めているが、トキヤは『上から目線が鼻につく』と嫌がっている。
イタミ傭兵団
イタミ・タンジン
青い狩衣を着た長い黒髪姿の妖しげな美しさを漂わせる男。東ヒノモト最大規模の傭兵団『イタミ傭兵団』の団長を務めている。
力では圧倒的に有利なカゲツ傭兵団を相手に取引を成立させる程のやり手であるが、自分以外が現地人で構成されるイタミ傭兵団を守る為ならば、あらゆる手段を厭わない。
流れ着いた当初のトキヤを拾うもトキタロウに奪われた過去があり、この為トキヤの事をいたく気に入っているがトキタロウの事は蛇蝎の如く嫌っている。
光旭の挙兵は時期尚早過ぎると考えカゲツの味方に付いていたが、第七話【人類の守護者】でこれ以上東ヒノモトでカゲツは勢力を維持出来ないと判断した良子に旭の側へ寝返るよう決断を迫られ、これを受け入れる。
だが素直に旭に従う気は全く無く、隙あらば自身の認めた王の器であるトキヤを代わりに祭り上げようと権謀術数を張り巡らせる。
良子※転生者ではないが傭兵団の所属である為この括りで紹介
イタミ傭兵団の下女長を務める中年女性。
素朴な容姿で客人には優しげな笑顔を絶やさないが、屋敷の雑事から戦時の兵装管理まで、傭兵団内部の裏方仕事は彼女がすべて目を通している。
若い頃は間者として名を馳せており『良子に出来ぬ仕事は鬼でも蛇でも出来ぬ仕事』とまで謳われていたが、転生者の間者が現れ『鬼でも蛇でも出来ぬ仕事』を易々と為せるようになった為足を洗った。
サカガミ傭兵団
ティナ・サカガミ
赤と黒ばかりの十二単を着込んだ長い銀髪の美女。全団員が転生者のサカガミ傭兵団の団長。
不老不死の軍団を率いる為か良識や倫理観は無く『残忍』『野蛮』という言葉の擬人化の様な性格。団員達は彼女を『ツァーリ』と呼び従う。
実際のところは恐怖による鞭と略奪の容認による飴で団員達を飼い慣らしているに過ぎず、自身の強さを示せなくなると団員達は誰の言う事も聞かない錯乱状態になり、無言で立ち尽くすようになってしまう。
光旭に調伏されて以降は神坐の将軍の一員として神坐の為に無法の限りを尽くしていたが、第八話【無用のならず者】で光旭の思いつきで始まった弟の光正義暗殺計画を止める為、そして暗殺計画に乗じて勝手に騙し合い・殺し合いを始めようとした転生者達への見せしめとして精神を破壊され、死なない転生者でありながら実質的な死を迎える事となった。
バレンティン・サカガミ
黄色の直垂を制服に定めたサカガミ傭兵団の新たな団長。前任のティナの呪縛から嘗て同じ立場であった団員達を解き放つ為、自身がティナよりも神坐ひいては旭にとって役立つ事を証明する為に東奔西走する。
銀髪ポニーテールの目を見張る美青年だが、こう見えて人並外れた高さのギャグセンスも併せ持つ。