prologue
初めまして。夢幻の件正と言います。
今まで二次作品を書いていたのですが、パソコンが壊れてそちらを一時中断することになったのでオリジナル作品を書くことにしました。
更新はかなり不定期、主人公最強物、仲間でも容赦なく死にまくる“逆”ご都合主義な点をご注意下さい。
嫌な方は読まないでおくことをお勧めします。
……死にたくない。終わりたくない。
その時の俺は強くそう思った。
父親は酒乱で、俺が幼い頃から暴力を振るった。
母親は精神を病んでいて、自分にとって不都合な事は全て俺のせいにした。
両親がしょっちゅう学校にいちゃもんをつけるものだから、友達など出来るはずがない。
そんな両親も昨年、交通事故で亡くなった。幸いにも、多額の慰謝料が俺にふりこまれた。今年で十八歳になっていた俺は両親から解放されてようやく幸せを手に入れられる。
……そう信じていた矢先の事だった。
地震に巻き込まれたのは。
体中が熱く、痛かった……。
特に折れた柱で押しつぶされた腹部が酷かった。驚くほどの血が床に流れていた。
致命傷だと気づいたが、事実を受け入れられなかった。
何故、死ななければならない?
何故、俺はここで死ななければならない?
何故?なぜ?ナゼ?
まだ、何もしていない!
嬉しいことも!
楽しいことも!
恋したことも!
愛したことも!
“生きた”と呼べることを何もしていない!
だから、死にたくなかった。終わりたくなかった。
『……生きたいか?』
そんな時に、その声を聞いた。
「!?」
混乱する俺を置いてきぼりにして、声は話しを続けた。
『“代償”と引き換えに“生”を与えよう。返答を』
俺は藁にもすがる思いで、返答した。
「……生…きた……い……」
『“契約”はなった。汝に“生”を与えよう』
そうして俺の意識は途切れた。
この時の俺は気づかなかった。
……自分が終わりなき終わりを、……生き地獄への始まりを迎えたことを。
……確かに“生”を与えられた。無限の“生”を。
だが、死は消された訳ではなかった。
“無限の生”と“無限の死”はこうして始まった。