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少女の手には呪いの本  作者: 七海 司
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孤独な城の大蜘蛛

 19時を過ぎましたが、まだまだ日が高く夏だということを実感せざる終えません。赤と青がせめぎ合うこの時間の空は結構、好きだったりします。夕暮れ時にさっと吹き抜けていく風が心地よく、この時だけは夏の暑さも許せる気がします。


「あっ日色さん! ちょうどいいところに」

 呼ばれて振り返るとそこには、真尾さんと八雲さんがいました。

「これ、夏海の水着なんだけど部室に忘れて行ったから、代わりに持って行ってくれない?」

「あたし達、これから用事あってすぐに行かないといけないから」

「構いませんがどこへ持っていけばよろしいのでしょう?」

「教室に置いておけば、夏海も明日気づくんじゃない?」

「わかりました」


 八雲さん達は私に水泳バッグを渡すと話を打ち切ってスグに帰って行きました。


「ふう」

 教室へ逆戻りです。2階の端にある教室へ向かおうとして何かが引っかかりました。


 水着が入っている水泳バッグにしては妙に重たいのです。私は自慢じゃありませんが貧弱です。腕力などない非力な少女なのです。よく言えば華奢というやつでしょうか。それゆえに気づくことができました。何か余計な物が入っていることに。


 嫌な予感がします。


 根拠はありません。ですので、急いで教室に行き、中身を確認しました。人のバッグを開けることに躊躇いはありました。それでも確認しない訳にはいかなかったのです。

 やっぱり。余計なものが入っていました。

 いえ、余計な物など何ひとつなく夏海さんの制服と濡れた水着に白い三角形の小さめな布が入っていました。


「何で?」

 きゅっとバッグの引き口を固く締めます。そして、私はプールの女子更衣室を目指して駆け出しました。

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