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118 種なし

 グース商会から大量のフルーツを購入後は、逆に僕の商品をグース商会に買ってもらいました。グース商会の主力商品はフルーツですが、規模拡大に伴って一般商品の取り扱いも増やしており、今ではオーキ町最大の商会に育っているそうです。

 僕の主力商品は小麦、塩、魔石、材木ですが、いずれも大量に購入してもらいました。小麦はルーモイ領からの輸送ルートが滞っており高騰中だったようですし、塩や魔石、材木は僕等がほとんどタダでいくらでもゲットできる商材なので、かなりの儲けになりました。

 この地の名産品である砂糖も、グース商会で直接作っているわけではないですが、大量に購入しました。大量といっても砂糖は非常に高価なので、グース商会にもそれほど在庫はあるわけではありません。とりあえず在庫の半分の10キログラムだけ購入しました。砂糖の専門商会は教えてもらったので、次回来たときには直接そこから買い付けましょう。


 商談が終了したのは昼頃だったので、今度はグース商会が経営する料理店にて昼食をご馳走になりました。この料理店はフルーツが売りのようで、昨日グース邸で食べた夕食と近い料理が出てきましたが、正直この店の方が少し味は落ちますね……


「小麦粉や塩など、どれも不足している商品だったので、大量に安く売っていただいて助かりました! それで、次にこちらに来られるのはいつ頃になりますでしょうか?」


 食後にグース商会の副商会長であるトースさんから質問がありました。魔法袋に入れておけば劣化が抑制されるとはいえ、種なしフルーツを長期間保存するのは価値が下がるので避けたいと思っているのでしょう。


「3週間後くらいに訪れたいと思います」


「おお! そんなに早く来ていただけますか! その頃には父も戻ってきているでしょうから、料理人達に最高の食材を準備させて、最高級のおもてなしをさせていただきます!」


 次は11/19にグース商会を訪ねることにしました。今日は11/1なので、こちらの世界では週6日だから3週間後ですね。


 トースさんにオーキ町の北門まで見送られて、東内海沿岸の町を目指すふりをします。トリマ村に戻ることになっていますので、東内海を北に渡る船の航路をいろいろ教えてもらいました。まあ、実際には船には乗らずに瞬間移動魔法でトリマ村近くまで戻るのですが……


「ここまで来れば大丈夫かな?」


「はい、周りに人気(ひとけ)はありません」


 オーキ町から北に向かう道を徒歩で移動し、ちょうど折れ曲がって見通しが悪いところに到着しましたので、ここから瞬間移動魔法で移動しましょう。目標地点はトリマ村から少し北に進んで、同様に見通しが悪い地点です。目標地点にはなんとなくクロ達がいる気配がします。


「瞬間移動!」


 一瞬で景色が変わり、そして目の前にはクロが立っていました。


「マサトだニャ-!」


 すぐにクロが抱き付いてきました。僕はしっかりと受け止め、頭をなでてあげます。


「クロったらマサト殿がいないと言っては、盛大にしょんぼりしてて大変でしたわ!」


「ヒヒヒーン!」


 ペガとマロンも近くにやってきました。


「ペガだってさみしそうにしていたニャ!」


「わ、わたくしは…… クロほどではありませんわ!」


「寂しくさせて、今回はごめん。でもおいしい果物をいっぱい仕入れてきたから、食べながら移動しよう!」


 さっそく馬車に乗って移動を開始します。僕がトリマ村付近にいることは特にグースさんには秘密なので、すぐに飛行状態で北に移動します。



「どこに行くにゃ?」


 御者台で僕の横にぴったり貼りつき、見上げながらクロが問いかけてきます。いつもよりも密着度が高いので、まだ一日近く離れていた寂しさが抜けていないようです。


「僕の魔法袋の生産が順調なので、革製品の名産地であるビオン村を目指そうと思っている。肉牛の生産地でもあるので、僕の収納魔法とも相性が良いはずで、主力商品のひとつになると思うよ。ハクエイ町から北に進むとあるので、まずはハクエイ町を飛び越えてから道を進もう」


 ハクエイ町とトリマ村間の行商も徐々に復活するかもしれませんし、現在僕がハクエイ町に顔を出すのもまずいかもしれません。しかし初めて行く場所で、その後何度も行くところであれば、最初の一回はちゃんと道を進んで行く経験が必要だと考えています。何を聞かれるか判りませんので、空を飛んできたなんて答えられませんし、道の状況を体験しておくべきでしょう。まあ、マロンが牽く馬車は地を滑るように爆走しているので、本当に道の状況を体験したとは言えないかもしれませんが(笑)


「おー、この果物は本当においしいニャ!」


「そうですわね。お城やきつねのしっぽ亭で出てきたフルーツよりも数段上ですわ! 皮も種もないのも食べやすいし、とっても気に入りましたわ!」


 皮なし種なしフルーツはクロやペガにも好評でした。収穫したてで午前中に仕入れた果物を、時間経過のない僕の収納魔法で保管し、さらに皮や種を分離して食べやすくなったフルーツなので、おいしいのは当然ですね。



「この種なしフルーツは革命ニャ! そう、マサトは種なし王ニャ!」


 種なし王? なんか微妙な称号ですね。まだ塩王の方がマシに聞こえます……


「クロ! マサト様は種なしなんかではありません!」


「…… な、なんとニャ! たしかにマサトが種なしなんてあり得ないニャ!」


「マサト様はたくさんのお子様をお作りになるはずです! マサト様のお子様達…… きっとみんなお可愛いはずです……」


 シロは怒ったかと思えば、すぐに遠い目をして頬を赤く染めています。いったいシロの頭のなかにはどんな光景が広がっているのでしょうか?


「たしかに…… マサトの子供はねこっかわいがりするニャ!」


「そうですわ! きっと馬獣人の子供も可愛いはずですわ!」


 シロに加えてクロやペガまでもが遠い目をしています。もしかしてペガの言う馬獣人の子供って、僕とペガの子供ってことでしょうか? たしかにペガは鑑定すると現在は馬獣人と出ますが、その実態は世にも珍しい神獣です。神獣って人間との間に子供が作れるのでしょうか? そんな話は聞いたことがありません!



 あれ? 僕の特別(モフモフ)魔法って対象が生理の始まった女性なので、つまり出産可能な女性ってことなのかもしれません。つまりペガは出産可能な体を持っており、この世界では生まれてくる子供の人種は母親と同じになるので、ペガの子供は馬獣人であっているのかもしれません……



 種なしフルーツの話をしていたはずなのに、なぜこんな話になってしまったのでしょうか……




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