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109 森で木こりとレベルアップ

 塩田作業者への暴力行為への補償金は、一人一月あたり3万エンで決着しました。一番長くて3年くらい働いている人がいますので、100万エン以上の補償金を得ることができます。最初はギャデ商会の人達も高すぎると難色を示していましたが、シロの『マサト様に仇なす者は、この私がすべて斬る!』という言葉に恐れを成して妥結しました。お金はすぐには用意できないとのことで、明日にも回収しに行く必要があります。


 塩田作業者の方達に僕等の簡単な自己紹介をして、その際にレベル等も開示しましたので、きちんと真面目に働いてくれることでしょう。まあ、労働環境は大幅に改善されるし、暴力を振るっていたビーダーさんへの報復もさせてあげたので、皆さんやる気が上がっているようで安心です。


 その後宿に戻って昼食を食べ、昼食の洗い物を清掃魔法でさくっと手伝ったのちに、クミさんを連れ出して森にレベルアップに行きます。ユキちゃんも一緒にさらなる能力向上を図り、僕等がいない間でも、ちゃんと彼女たちが自分の身を守れるようにしておきましょう。



 塩田の奥にある森の中に入っていっても、あまり魔物が出てきません。


「最近の森は、村のそばではほとんど魔物が現れなくなってきましたです」


「我々が魔物を討伐しすぎて、リポップもしなくなってしまったのでしょう。マサト様の深謀遠慮のおかげで、村の安全が改善されています」


 ユキちゃんの話を聞いて、シロが無理矢理僕の深謀遠慮につなげて褒めてくれているようですが、別に深謀遠慮はしていませんよ!


「森に魔物が出なくなっているのなら、開拓が出来ますわね」


 ペガが言った言葉の意味は、基本的に魔物がいる森の木を切ると、魔物たちのテリトリーが侵されると考えるためか、必死になって襲いかかってきます。つまり魔物の森を開拓するのは命がけの作業となります。

 魔物の森で燃料の薪を拾い集める程度なら問題はありませんが、建築用の材木を切り倒す作業でも同様に危険を伴います。よって材木を魔物の森から切り出す仕事は、冒険者がなるべく魔物が出現しない森の周辺部で実施し、一本切り出すごとに素早く現場を離れるヒットアンドウェイ的な動きが必要となります。


「行商人が村の開拓なんてしないよ……」


「じゃあ材木を切り出すニャ! マサトは材木王になれるニャ!」


「塩王に続いて材木王か…… あまり格好良い称号ではないよね?」


「小麦王や料理王も目指せるニャ!」


「どれも格好悪いなぁ…… 鉄鋼王とか石油王なら格好良いのだけれど……」


 それに料理王は僕がなるのではなく、クミさんが目指す称号ですよね? そう思ってクミさんの方を見ると……


「でわぁ、木を一本切ってみまぁす!」


「えっ! ちょっと待って……」


 僕の制止も間に合わず、クミさんが手にしていた斧を細い木に打ち付けました。木は一撃であっさり倒れちゃいました。


「ほわー、たったのぉ、いっかいでぇ、倒れてしまいましたぁ……」


 クミさんも自分のやったことに目をまん丸にして驚いています。まだクミさんのレベルアップは出来ていませんが、特別(モフモフ)魔法でのバフで体力が2倍になっている効果が発揮されました。


「おー、さすがは斧術持ちニャ! 一撃で材木ゲットだニャ!」


「でわぁ、次はこの木を…… そーれ!」


 クミさんはもう少し太い木に斧を入れました。そして、その木も一撃で倒して見せます。


「すごいニャ! クロもやってみるニャ! ほいニャ!!」


 クロは魔剣『カラスの剣』で同じくらいの太さの木に切りつけます。するとさすがに魔剣、一撃で切り倒すことが出来ました。でも、木こりは魔剣を使ってやることではない気がします……


「私も試してみましょう! それっ!」


 シロは通常の長剣で同様に木を切り倒しちゃいました。


「マサトもやってみるニャ!」


 たしかに僕も魔刀『ハヤブサの刀』を使えば簡単に切り倒すことが出来そうです。まあ試しにやってみましょうか。


「それ!」


 さすが鑑定価格 1.2億エンの魔刀、同様に一撃で切り倒すことが出来ました。


 その後、みんなで調子に乗って木を切り倒しまくっていると、さすがに魔物達の怒りを買ったのか、子鬼、大鬼、魔狼の群れの波状攻撃を受けました。


 僕やシロ、クロは大鬼や魔狼程度の大群は歯牙にもかけませんが、魔槍『人魚の銛』をふるうユキちゃんも危なげなく戦えています。そして斧を振るうクミさんも、僕等が適切な数に間引いたり、動きの速い魔狼は手負いにしてから向かわせることで、効率的に経験値を稼げているようです。


「さすがにこれだけ木を切り倒しちゃうと、森の浅いところにも魔狼の大群が現れるんだね……」


 魔物の襲撃が一息つき、魔石の回収ついでに材木も集めておきます。材木も肉の解体と同様に収納+魔法で丸太への加工ができちゃいました。本当に材木王になれちゃいそうです(笑)

 切り倒した材木は収納できますが、()えている木は収納できません。動物も仕留めて殺さないと収納できませんので、切り倒される前の()きている木は収納できないってことなのでしょう。ちなみに切り倒された後に残された切り(かぶ)も収納できましたので、切り株だけであれば生きていない判定となっているようです。切り株の除去も収納魔法で出来るのであれば、開拓をするときに便利ですね。



「クマさんやゴーレムじゃないと物足りないニャ!」


 やはりクロにとっては魔狼程度では歯ごたえがないと感じるようです。まあ、僕も物足りないとは思っていますが……


「今日はクミさんのレベルアップが主目的なんだから、あまり無茶はしないよ!」


「わたしはぁ、さっきまでの戦いでぇ、かなりレベルアップしましたぁ。だからぁ、もっと強ーい魔物相手でもぉ、ぜんぜぇん大丈夫ですぅ」


 たしかにクミさんもたくさんの魔物が討伐できていたようなので、レベルアップはしているでしょう。


「鑑定!」


【熊獣人 クミ 女 14歳 レベル19 料理人】

 体力 53/53 x2

 魔力 10/10 x2

 スキル 体術(斧術4+2)

     料理1+2

 魔法 生活1+2(着火)

    水1+2(水生成)

    火1+2(火の玉)

 状態 バフ


「おー、この1時間ちょっとでレベルが11から8つも上がっているニャ!」


 たしかにかなり上がっていますね。体力が倍近くになっているようです。斧を振るう速度も上がっていました。しかし、話す速度は相変わらずゆっくりのままです(笑)


「私も上がっているです!」


【狐獣人 ユキ 女 13歳 レベル26 宿屋】

 体力 115/118 x2

 魔力 14/14 x2

 スキル 体術((もり)術5+2、槍術3+2)

 魔法 生活1+2(時間、着火、照明)

    火1+2(火の玉)

    水1+2(水生成、氷弾)

    身体強化1+2


 ユキちゃんも自分のステータスを公開してくれました。僕の鑑定魔法ではないので、状態は表示されていません。そしてユキちゃんに追加のバフ効果が掛からないように、体力が全開するまでモフってはいません。


「ユキちゃんもレベルが2つも上がっているね!」


「はいです! おにーさん達と一緒に魔物討伐すると、ものすごく効率が良いです!」



 その後は調子に乗って、少し森の深いところまで行って木を切り倒しまくり、狂い熊や岩ゴーレムの大群なども討伐しまくってしまいました。クミさんの夕食準備の仕事がありますので、討伐は16時には切り上げましたが、最終的なユキちゃんとクミさんのレベルは以下のようになりました。


【狐獣人 ユキ 女 13歳 レベル32 宿屋】

 体力 149/152 x2

 魔力 16/16 x2

 スキル 体術((もり)術5+2、槍術3+2)

 魔法 生活1+2(時間、着火、照明)

    火1+2(火の玉)

    水1+2(水生成、氷弾)

    身体強化2+2

 状態 バフ


【熊獣人 クミ 女 14歳 レベル23 料理人】

 体力 96/96 x2

 魔力 11/11 x2

 スキル 体術(斧術5+2)

     料理1+2

 魔法 生活1+2(着火)

    水1+2(水生成)

    火1+2(火の玉)

    身体強化1+2

 状態 バフ


 今日一日だけでユキちゃんは8つ、クミさんは2倍以上の12もレベルが上がっていました。材木も集め過ぎちゃった感もあります。一気に市場に流したら価格が暴落しそうなので、魔石と同様に徐々に売り(さば)いていく必要がありますね。



 午前中に引き続き、午後もちょっとやり過ぎたかな……




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