アサシン、依頼を受ける
( ̄▽ ̄)時間が飛んでギルドに着いた。
「危険度A+の依頼かもう終わっちゃったよ…」
普通なら往復で3日は掛かるはずのクエストが移動時間込みで1時間ちょっとで終わってしまったので受付にキングオーガのツノを持って行っているマイをギルドの待合椅子に座りながら待っている。
「結局僕はいる必要がなかったな…マイはなんで僕をメンバーに入れたんだろ?」
結局何もしないままギルドに戻ってきてしまい余計になんでかわからなくなる。
「…お待たせ…」
報告が終わったのかマイに急に後ろから抱きしめられる。
「あわわっ!?」
豊満な胸が後頭部に当たって恥ずかしくて変な声が出てしまう、うぅ…絶対に顔が真っ赤になってるだろうな…。
「うっ…」
それにやや遅れて感じる鋭い視線、ただでさえ美人なマイは異性の目を釘付けにするのに公共の場でこんな事されれば嫉妬4割、羨ましさしさ6割で見られるのは当然だろう。
「は…早く行こう?ね?」
「…んっ…」
大きめの人形を持つ子どもみたいにシャロの脇に手を回したままギルドを出て行く、出ていくまでの数秒間さっき以上に視線が鋭くなったような気がしたのは気のせいだと信じたい。
「はぁ…疲れた」
抱き抱えられたままの状態で家まで帰ったせいで半分見世物にされた、それだけじゃなく歩くたびに後頭部に柔らかいものが押し付けられて肉体面はともかく精神面は2倍くらい疲れたような気がする。
「…大丈夫…?」
「だ…大丈夫…ご飯作らなきゃ」
まだドキドキするのをなんとか抑えながら台所に行こうとするとマイがシャロの肩を掴む。
「…シャロ…休む…ご飯…作る…」
「えっ?もしかしてマイが作るの?」
「…んっ…」
頷くとマイが台所の方に行く、さっきの依頼も何もしてないのに料理までしてもらうのも申し訳ないけど女の子が料理を作ってもらうのはちょっと嬉しい。
「えと…じゃあ僕は明日の分のポーションを作るから出来たら呼んでくれるかな?」
「…わかった…」
料理はマイに任せてシャロはポーション作りの為に自室に行く。
自室は薬の元を押し砕く薬研や様々な形のフラスコ、乳鉢など錬金術師として修行をした時からずっと愛用している道具や書物などが部屋に沢山ある。
薬の材料の入っている棚から材料を取り出して机に並べる。
傷の再生を促すカイの実と傷口の殺菌をするアルの実を独自の割合で薬研に入れてゴリゴリと砕く。
粗い粉になったらすり鉢の中に入れてスライムから抽出された少し粘り気のある体液を入れて混ぜ合わせる。
十分に混ざったらフラスコの中に入れて火にかけて濃度を濃くする。
「クリエイト『錬成液』」
手のひらに水のように透明な液体、錬成液が半分くらい満たされた小瓶が生成される
錬金術師が使える数少ないスキルの一つがこのクリエイトで本人の実力にもよるが自分の知るありとあらゆる薬草などを生成できる。
もっともシャロが出せるのはカイの実とアルの実、そして中に入れた薬効をコピーする錬金液の入った小瓶の三つしか出せない。
ドロドロになるまで濃度を上げたらスポイトで錬金液の入った小瓶に入れてから混ぜると緑色の回復ポーションになる。
本当は一つ一つ丁寧に作った方がいいのだけどそれじゃあ供給が間に合わない。
だから多少効能に差が出てもこういう方法が主流になったのである。
「…ふぅ」
回復ポーションを15個作ったところで魔力が底を尽きる、いつもなら休憩しながらで30個くらい作るからいつもの半分しか作れなかった…まぁ今日は色々な事があったから仕方ない。
少し休憩しようとしたらドアがコンコン叩かれた、どうやらご飯が出来たみたいだ。
丁度いいから休憩がてらご飯を食べようと部屋を出て行った。
その数秒後にマイに料理を任せたのを後悔する事になるとはこの時はまだ知らなかった。
( ̄▽ ̄)次回は料理回