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第5話 目玉焼きと内緒話

次の日フレドリクは携帯のアラームがなる前に目が覚めた。

時計を見ると午前6時である。

軍港に停泊しているフリードリッヒ・デア・グロッセに行くまででまだ、2時間ほど時間があった。


布団で眠りたいというのは万国共通の願いだがフレドリクは誘惑を一瞬で打ち切り布団を体からどけた。



「う…ん」


「?」


軽く布団が引っ張られたような感触とともに聞きなれた少女の声を聞いたフレドリクは布団を少しはがしてみた。

ベッドはシンシアと2人で眠るためのダブルベッドである。

よくそこにエリーゼがもぐりこんでくる。

一応エリーゼの部屋もシンシアは用意しているのだが…


すやすやと丸くなってピンクのパジャマ姿で眠る少女をフレドリクは発見して軽く笑った。


「風邪引くぞ」


「大丈夫ゥ・・・」


と声が返ってくるがおそらく後で聞いても覚えていないというのは明白。

フレドリクは布団をエリーゼの上にかぶせると下の階に下りていった。




午前7時12分、フレドリクは新聞を読みながらコーヒーとクロワッサンを食べていた。

すでに連邦海軍の仕官服に身を包みいつでも出発可能という服装だ。

その時

バタバタと階段から音が聞こえエリーゼがフレドリクの前に現れると彼女は悲鳴をあげた。


「あー!」


「なんだ?どうした?」


フレドリクは新聞を読むのをやめてエリーゼを見ると彼女はがっくりと肩を落とした。


「朝ごはん作るつもりだったのに…」


「また、フレンチトーストか?2日続けては…」


「目玉焼き…シンシアに聞いて練習したの…」


ああ、そういえばフレドリクは台所に目玉焼きを作る道具がおいてあったようなと思った。

あれはエリーゼが朝の準備のためにおいておいたのだろう。


「寝坊したんじゃないのか?」


「う…」


痛いところを指摘されてエリーゼは後ずさった。

フレドリクはやっぱりかと思いながら時計を見た。

時刻は7時18分、まだ、間に合うか…


「じゃあ作ってくれエリーゼ」


「え?」


意外な言葉に顔を上げるエリーゼにフレドリクは時計を指し


「時間がないぞ?早く目玉焼きを作ってくれるんだろ?」


エリーゼの顔がぱっと輝いた。


「うん!任せて!」


台所に飛び込むエリーゼを見ながらフレドリクは父親とはこんな感じなのだろうなと

微笑していた。







目玉焼きはしょっぱかった。
















軍人とはそれなりに儲かる職業である。

特に階級が上の場合政治家と同等の金額がもらえるというのは近年のドイツ連邦海軍の常識であった。

フレドリクの場合祖父がそれなりに金持ちであったため遺産のみでも余生を過ごすことはできたがそんなつまらない人生をフレドリクは選ばなかった。


ガレージに止めてあった3台の車の中の高級車であるポルシェに乗り込みカバンを右側の席に乗ったエリーゼにカバンを渡して車を発車させる。

ヴィルヘルムスハーフェンの町を抜けて見張りの兵にIDを見せて基地の駐車場に車を止め

港に向かう。


港には巨大戦艦を初めとする駆逐艦などの軍艦が停泊している。


その中の1つ、フリードリッヒ・デア・グロッセにフレドリクとエリーゼは向かった。


現在ヴィルヘルムスハーフェンの港にいる機動戦艦は3隻、フリードリッヒ・デア・グロッセの他にフレドリクの親友カールが艦長をしている『ビスマルク2世』 そして…


「エリーゼ!アドルフ艦長!」


歩みを止めて振り返ったエリーゼの顔に明るさが宿る。


「リネア!おはよう」


「ああ、おはよう」


フレドリクとエリーゼが挨拶を返すと走ってきた士官服を着た機動戦艦『ベオウルフ』の艦魂リネアはサイドテールに結んだ髪を揺らしながらやってきた。


余談だが現在のフリードリッヒ・デア・グロッセとビスマルク2世以降の機動戦艦の命名基準は北欧神話からとられることになっている。

計画段階で北欧神話と関係ないカイザーがいるがこれは採用されるらしい。


「どうかしたのか?」


やってきたリネアを見てフレドリクが言うと彼女はフレドリクを見てあきれたように


「忘れたんですか?あれですよあれ」


「あれ?」


エリーゼが聞き返したがフレドリクはあっと気がついた。


「あれがどうかしたのか?」


「実は少し困ったことが…」


「何なの!」


エリーゼが自分を無視されている感じて抗議の声を上げた。


「エリーゼ先に行っててくれ」


「アドルフ艦長は私と話があるからごめんね」


「なっ…」


エリーゼは心に沸き立つ怒りを感じながら


「フレドリク!浮気するならシンシアにいいつけるからね!」


「馬鹿違うこれは!」


フレドリクがあわてて言うがエリーゼは知らない!と怒鳴り自分の艦に転移してしまった。


「ふぅ…」


リネアはくすくす笑い。


「大変ですねアドルフ艦長」


「まったくだな。さっさと話をしてしまおう」


「分かりました」


こうしてエリーゼに内緒の話が朝の軍港でされるのであった。



































<その内緒の内容はうれしいものでしたね…フレドリク…様>














作者「毎回悲しみが増していく気が…」


エリーゼ「こんなもの序の口です」


作者「ところで内緒話ってなんだったんですか?」


エリーゼ「詮索ですか?」


作者「しまった!禁句だ!」


エリーゼ「罰です」


作者「ぎゃああああああああ!」


ズドオオオオオオオン


エリーゼ「学習能力のない…あの時は…リネア、ありがとうございました」


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