第3話 ドイツ首相 レイ・ルドマン
ドイツ首都 ベルリンの某所にあるどこにでもある民家の前でフレドリク、カール、エリーゼの三人はドアをノックしてから中に入った。
中に入るとドアから1番近い部屋から黒い服を着た屈強の男3人が出てきた。
みんな黒いサングラスをかけ黒いスーツに黒いネクタイ。
SPという奴らは飾り気がもっと必要だなとフレドリクは思いながら
「ドイツ連邦海軍フレドリク大佐だ」
「同じくカール大佐です」
二人が言うと代表らしき男が
「お待ちしておりました。銃をお渡しください」
フレドリクとカールは銃を男に渡す。
実はこの男とはフレドリク達は何度か顔を合わせており一応顔見知りではあった。
「確かに」
男は拳銃を部下のSPが持ってきた箱にいれる。
「ではついて来てください。首相がお待ちです」
「ああ、頼むよ」
フレドリク達はSP達の間を抜け2階の階段を登る。
「ねえフレドリク、首相ってどんな人?」
エリーゼが1番後ろから歩きながら聞く。
「…」
フレドリクは男がいるので無言であった。
カールもごめんねとエリーゼを見て片目をつぶった。
「はぁ」
エリーゼはみんなが私が見えたらなぁと艦魂である自分を疎みながらみんなの後をついて言った。
ドアの前にはSPが二人いる。
もちろん格好は同じである
「変な服よね」
エリーゼが言ったが今度はカールも何も言わなかった。
代表の男がSPに話すと二人はドアの前から離れてフレドリク達を招きいれるためドアを開けた。
「私1番乗りね」
「あ…」
フレドリクが止める間もなくエリーゼが中に飛び込んでしまった。
直後…
「な、なんでここにいるの!」
とエリーゼの悲鳴が聞こえたので慌ててフレドリクとカールは部屋に入った。
そこにはドイツ首相の男レイ・ルドマンと…
「おそ〜いカール」
金髪のツインテールを細い赤いリボンで結んだ私服姿の少女
カールは手を額に当てて
「クリスタ…なんで君がここにいるんだ?」
クリスタはにこりと笑い
「ふふん、私を出し抜こうなんて永遠にできないよぉ」
「いや、どうやって君が…」
そこまで言ってフレドリクにカールは脇腹をつかれた。
はっとして振り返るとSPがぽかんとした顔でこちらを見ている。
「あ、いや…その」
「馬鹿が…」
フレドリクは小声で言ってから
「こいつは独り言をいう癖があるんだ。気にしないでくれ」
「はぁ…」
SPが頷いたのでフレドリクはドアを閉めた。
「おい、フレドリク!誤解されることをいうなよ!」
「知らん」
カールの抗議を受け流してフレドリクはクリスタと呼ばれた艦魂の隣に座る男を見た。
今年32歳になる若き首相レイ・ルドマンであった。
彼は笑いながら
「ハハハ、相変わらずだなおまえらは」
「だよねぇ」
と隣に座るクリスタがにこにこしながら言った。
「だからなんであなたがここにいるの?」
今度はエリーゼがクリスタに言った。
機動戦艦『ビスマルク二世』それがクリスタの仮の名であった。
それがカールやフレドリク達よりも早くここにいる。
「頼まれたんだよ」
と言ったのはドイツ最高権力者であるレイである。
クリスタもうんとうなずきながら
「そうだよ。ここの聞かたを聞いてきたの」
レイは艦魂が見えた。
もともとレイは海軍にいた経験もある人物でフレドリクやカールの父や母とは家族ぐるみの付き合いがあり小さい頃彼に遊んでもらったことがフレドリク達にはある。
兄のような存在なのだ。
「まあ、来たならしょうがない…レイ兄さん?用となんなんです?僕ら暇ではないんですが…」
カールがため息と共に言った。
「ああ?そういや極東で日本、アメリカ、欧州で演習だったか?」
「おかけでフレドリクは休暇取り潰しでシンシアと離ればなれよ」
エリーゼが抗議するように言った。
「そうか…」
レイは何か考えるようにしてから
「よし、フレドリク、休暇をやる。奥さんと旅行してこい」
「はあ?」
フレドリクはあまりに勝手な言葉に思わず聞き返した。
「おいおい、フレドリク、今のドイツはなんだ?軍事政権だろ?つまり俺が1番偉いんだ。なんとでもなる」
「勝手だねレイ」
クリスタが言うとレイはおうと笑う。
「じゃあ僕も休暇にしてくださいよレイ兄さん」
「駄目、おまえ独り身だろ?」
「はぁ…」
カールはため息をついた。
「フレドリク、奥さんとの旅行の期間はいつだ?」
「俺がいないから一ヶ月の予定で満州や日本を回ると言ってた」
フレドリクが言うとレイは頷いた。
「よし、それはなんとかしよう。そこに座れ」
レイは向かいのソファーを指して言った。
フレドリク達が座る。
「さて、コーヒーも出せずにすまないがいきなり本題に入らせてもらう」
「何をそんなに真剣に?」
エリーゼが首を傾げた。
「まあ、おまえ達だからな言うんだけどな。他言無用だぞ?」
「分かった」
レイの顔が真剣だったのでフレドリク達は頷いた。
レイは口元を緩めると
「世界を変えないか?」
ドイツが過去へ挑戦した瞬間であった。
作者「この人がドイツの首相ですか…」
エリーゼ「この時代は大統領がいませんから彼が最高権力者です」
作者「軍事政権なんですよね?」
エリーゼ「ええ、ですが阿保のならずもの国家などと違いドイツは大変豊かです」
作者「金のかかる機動戦艦も作ってますしね」
エリーゼ「ええ」
作者「ところでレイ首相ってエリーゼ様にとってはお兄ちゃんですか?」
エリーゼ「何を言っているのです?」
作者「いやだってフレドリク達から見たら兄のような存在なんですからエリーゼ様にとってもお兄ちゃんではと…」
エリーゼ「違います」
作者「またまた、言って見ましょうはい、レイお兄ちゃん大好きと」
エリーゼ「罰です」
作者「ぎゃああああ」
ズドオオオオオオン
エリーゼ「愚かな……お兄ちゃんですか…」