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先輩、私だけを見てください  作者: 加藤 忍
7/22

7

次の日、いつもの時間に学校に着いた。昇降口にはいつものように菜穂が柱にすがっているのが見える。鞄を下に置いて両手を後ろで組んでいた。


「おはよう」


俺の声に気づくと鞄を取ってから近くに来る菜穂。俺のそばで止まると「おはようございますっ先輩」と明るい声を響かせる。


「先輩、今日も屋上に来てくれますか?」


「わかっ・・・」


昨日と同じ返事をしようとした時、頭の中で真奈美との会話を思い出した。


「・・・いや、ごめん。今日は用事があるから」


「そうですか」


菜穂顔が笑顔から落ち込んだ顔に変わった。きっと菜穂は楽しみにしていてくれたのだろう。俺としても菜穂といる時間は退屈ではない。


が、真奈美との約束をなかったことにすることはできない。


最後のもう一度「ごめんね」とだけ言った。


「なら・・・」


菜穂は下をまだ向いているが、その声ははっきりと俺の下まで届いた。


「なら・・・明日、一緒に食べましょう。先約です」


菜穂は今日は諦めてくれるらしい。ひとまず真奈美との約束は果たせそうだ。それにしても付き合うって何にと言うことをまだ教えてもらっていなかったな。


ひとまず菜穂には「まだ明日な」と言って菜穂と昇降口で別れた。



教室に来ると真奈美は今日もいるのではと思っていたが、きょうまだ来ていないようだった。俺の席にも真奈美の席にも姿はおろか、かばんすらなかった。



自分の席について今日の課題があったか確認していると後ろのドアが勢いよく開いた。


姿を現したのは真奈美だった。いつも持って来ている鞄は今日に限っていつもより膨らんでいた。


真奈美は自分の席に一度鞄を置くとすぐさま俺の元に来た。


俺がノートを見ていたからか「今日課題あるの!?」と聞かれた。


「ないよ」


「よかった」


真奈美は安堵のため息をはいた。


「で、何しに来た?」


真奈美は課題のことを聞きに来たのではないのではと思って聞いてみた。真奈美は「そうそう」と言って本題を始めた。



昼休みになり今日もクラスの半分以上の生徒が売店に走って行った。


だが、俺は売店には行かず裏庭にある木陰のベンチを目指した。


朝、真奈美が指定した場所だ。人影が少ないらしい。裏庭だから上から見られることもほとんどないとか。


菜穂と再会した渡り廊下から出て校舎の裏に行く。校舎の裏はほとんど影になっていて、この時期は少し肌寒く感じる。


真奈美はなぜここを選んだのかわからないので、話のいいところで聞いてみることにした。





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