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先輩、私だけを見てください  作者: 加藤 忍
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「それで先輩は負けて、人気がなかった借り物競争に出ることになったんですね」


 菜穂は箸でつまんだ白いご飯を口に入れながら言った。


 屋上は今日も俺と菜穂しかいない。夏に差し掛かっているが暑いわけではなく、単純に屋上まで来るのが面倒なのだろう。


「で、菜穂は何に出るんだ」


 いつものように横に座っている菜穂を横目で見ながら聞いた。菜穂はお弁当と箸を膝の上に置いた。


「私は百メートルです。今は部活をやっていないんですけど、同中の子たちに推薦されて」


「走るの得意なの?」


「得意ってほどではないです。ただ友達と仲良く一緒に始めたら一般の人より速くなっていっただけです」


 体育祭の菜穂の走りに少し期待したくなった。今年は俺の菜穂も三組で色も同じ。菜穂の走るところを見たことはないが、推薦されたなら速いのだろう。


「先輩、借り物競争ってどんなものがあるんですか」


「借り物競争か・・・」


 去年の記憶を思い出そうとするが全く思い出せない。そもそも借り物競争があったことすら覚えていない。以前菜穂に体育祭のことを聞かれたときも競技名を出さなかった気がする。


「ごめん分からん」


「そうですか。なんか今年から全部やり変えて新しいものを作るって借り物競争担当の子たちが言っていたので」


「そういえば菜穂は体育祭実行委員だったな。準備は大変なのか?」


「そうでもないですよ」


 水筒で水分を補給すると膝に置いていた弁当箱を再度持ち上げた。


「やることは去年と同じだそうなので、自分たちから進んで新しいことをしたいと言わない限りは競技の荷物を取り出したり、会場準備をしたり、後は自分の種目以外での誘導や審判をするぐらいですよ」


 菜穂はこれだけですという感じで言っているが、実に面倒な仕事だと思う。普段から誘導される側なのでその苦労はわからないが、何回もリハーサルしたりするのだろう。


「体育祭実行委員頑張れよ」


 応援の言葉を送ると菜穂はニコッと笑ってこっちを向いた。


「先輩にそう言われると頑張らないわけにはいきませんね」






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