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先輩、私だけを見てください  作者: 加藤 忍
16/22

16

授業中は何処か上の空だった。真奈美は結局二時間目が始まる前に早退した。クラスに来た時からいつもと様子が違ったとほかの女子から聞いた。


真奈美がいない教室はまるで異世界だった。新鮮味があるが同時に違和感もあった。


「今日は静かだな」


隣で本を読んでいた耀太がぼそりと口にする。俺と同じように感じているらしい。


「耀太もそう思うか?」


「静かなのは願ったり叶ったりだが、急に静かになると違和感が凄くてな。いつも隣でお前らがイチャイチャしてるから」


「イチャイチャなんか・・・」


「ま、見舞いにでも行ってやれ」


耀太は一度たりともこちらを見なかったが心配してくれているのはわかった。



「ただいま」


玄関の扉を開けると飼っている犬が飛び込んで来た。二本脚で寄りかかってくる。そんなに大きいわけではないが、さすがに柴犬なので下半身は軽く超える。


「お帰り、マルを外につないで置いて」


リビングから出てきた母さんは片手にお玉を持っていた。キッチンに置いておけばいいのにと思いつつマルを中庭の鎖につなぐ。


「今日も元気だな」


頭を摩ると舌を出してハァハァ言いながら大人しくなる。ときどき懐いた犬を見ると焦ることがある。特に走ってもいないのに息遣いが荒くなる。心臓でも悪いのか?なんて思ってたりする。そんなことはないのだが。


玄関の方に向かおうとすると鎖で行ける範囲ギリギリまで近づいて構ってアピールをする。見ているとかまってあげたいがそうもいかない。


「俺今から真奈美んとこ行って来る」


「そういえば聞いたよ、真奈美ちゃん早退したんだってね。はい、これ」


母さんはビニール袋を渡して来た。中を見るとりんごと桃、プリンに果樹ジュースが入っていた。それを持って真奈美の家へと向かった。さすがに手ぶらで行くのもおかしかったのでちょうどよかった。



玄関に着くとインターホンを押す。すぐにドアの向こうからはーいと元気な声が聞こえた。


「どちら・・・綾兄あやにいじゃん」


「おっす」


ドアを開けたのは真奈美の妹の紗智さちだった。幸子は俺の挨拶をおっすと元気に返す。


「あら、綾人君いらっしゃい」


家の奥からは真奈美の母の千鶴ちずるさんが出てきた。普段はおばさんと呼んでいる。


「あの、これ」


手に持っていたビニール袋を渡すと上がって上がってと紗智に手を引かれながら家に招かれた。




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