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先輩、私だけを見てください  作者: 加藤 忍
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菜穂に連れられ訪れたのは少しレトロ感のあるお店だった。茶色の建物とは一変して、中は白い壁で明るい空間になっている。


店に入ると定員に連れられテーブル席に腰を下ろす。菜穂は隣の席に荷物を置き、向かいの席に座った。


「先輩何にします?」


座ってすぐにメニューをテーブルに広げる。ミルクコーヒーやココア、ケーキやアイスまであるようだ。


「俺はコーヒーでいいかな、お腹は空いてないし」


「ミルクですか?砂糖ですか?」


「ブラックで」


「・・・先輩がブラックなら私はミルクで」


メニューが決まると「すみませーん」と菜穂が定員を呼ぶ。二人分のコーヒーと菜穂はケーキを一品頼んだ。


「じゃあ本題に入るか」


注文を終えたところで俺は話題を振る。そもそも今日は菜穂の相談に乗るために来たのだから。


「本題?・・・あ!そうでした」


菜穂の顔は不思議そうな顔から焦っている顔に変わった。


「実はこれなんですが」


菜穂は横の席に置いた自分のカバンから一枚に紙を取り出しテーブルに置いた。その紙には体育祭についての内容が書かれていた。


「体育祭か、早いな」


俺の通う学校は三年生の就職試験や大学受験のことを考えて一学期の終わりに行われる。体育祭はなんだかんだで盛り上がる。生徒の人数が多いため競技もそこそこ多い。去年は確か100メートル走に出たっけ。


「実はこれの実行委員になりまして、去年の体育祭のことが聞きたくて」


「やる気あるな」


「やるからには楽しくしたいので」


菜穂の目は本気の目だった。本気で楽しくしたいのが伝わってくる。


「何を話せばいい?」


「去年の先輩が思ったことなどがあればそれを」


それからは注文したコーヒーとケーキが届きゆっくりと時間を過ごした。ほとんどが俺の思い出話みたいになっていたが、菜穂は真剣に聞いていたので話す方も楽しい時間だった。



「今日はありがとうございました」


喫茶店を出たのは六時過ぎだが空はまだ明るい。喫茶店に来てから二時間近くいただろう。会計は最初菜穂が払うと言っていたがさすがに悪いと思い俺が払うと提案した。しかし菜穂は「今日は私が誘ったので」と譲らなかった。結果それぞれが注文したものを払うことで話は落ち着いた。


「いいよ、俺も楽しかったし。それじゃまた明日」


「明日は屋上に来てくださいよ」


「わかった」


俺は菜穂に返事を返すと背を向け家へ歩き始めた。


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