現実
激しい頭痛で目が覚めると、そこは見知らぬ部屋だった。
(なんだここ?夢か?そのわりには頭が痛む・・・)
俺は、もう一度ベッドに横になって頭痛が治まるのを待った。頭痛が取れれば夢からも覚めるだろうと考え、しばらく横になる。そうしているうちに
(ガチャッ)ドアが急に開いた。
『ヤヒロ?大丈夫?』
首だけ声のする方に向けて、うっすら瞼を開けた。
どこかの民族衣装っぽい服を着た、見知らぬ女が俺に向かって言ってるようだったが、
全く身に覚えがない。
っていうかヤヒロって誰だよ・・・・
『ちょっと聞いてる?まだ具合悪い?』
そういうとその女はこっちに近づいて、ベッドの端に腰を降ろした。よく見ると黒くて綺麗な髪、整った顔立ちをしてるが、ちょっと眠そうな目をしている美人さんが、左手を俺の額にのせ「うーん、熱は下がったみたいねぇ」と呟いている。
「起きれたら顔洗ってきなさい」と言った後、部屋を出て行った。
なんだ夢か・・・と思ったのだが、催してしまった。夢でションベン行きたくなるってどうなんだ?やっぱ現実では漏らすんだろうか、と考えながらとりあえず体を起こし、辺りを見回す。
(うーん、なんだこれ、夢にしてはリアルすぎるな)
とりあえず部屋を出てみる。ドアがあり、右手には階段がある。
(便所は下か?)と思い1回に降りてみると
途中、リビングで
身長は2mありそうな猫耳をつけたガタイのいいおっさんがソファーに座っていた。ボ○・サップか?
その隣に眼鏡をかけた耳の長い金髪ロン毛のお兄さん。まるでエルフだ。
(あっやっぱ夢だわ)
そう思っていたら、エルフっぽいお兄さんが俺に気付いて
「やっおはよー、大丈夫?」と声をかけられた。
ボ○サップからも「熱は下がったか?」と聞かれた。
誰だよ・・・と思いながらも「あぁ」と思わず声を出した。
アレ?声が違う?夢だからか?
と思いながら便所に入った。
(いやまて、なんでここが便所ってわかったんだ?)
そのまま用を済ませて、柄杓で桶の水をすくい手を洗った。
(なんでこれで手を洗うってのもわかるんだ?)
夢の中なのに一層疑問が積もる。気づいたら、あの頭痛もない。
ふと、目線を上げた先に鏡があった。
(誰だコレ!?)
その鏡には、眠そうな目はしているが、鼻筋は通っているそこそこの美形が映っている。
ちょっとつねってみた。(いってぇ・・・)いやいや、この夢リアルすぎだろ・・・・
しばらく鏡を見ながら、便所を出て部屋に戻ることにした。
その途中、ゆったりした口調で
「あらヤヒロ、熱は下がったのかい?おはよぉ。無理したらダメだよ?」
しわがれてるがとても優しく、包まれるような声に呼ばれた。そこには一人の老婆が立っていた。
母親が年を取ったらこうなったんだろうか、と考えてしまう。
その老婆が
「おや?急にヤヒロから魔力を感じるねぇ、ちょっとこっちに来て座りなさい。」
俺はその言葉に素直に従い、老婆の部屋であろうソファに座った。俺の隣には老婆も座っている。
老婆はスッと俺の両手を取り、目をつぶりながら、何か唱え始めた。
その瞬間俺の手と胸が光始め、体中の皮膚の表面がピリピリし始めた。と共に胸が熱くなる感覚に襲われた。
(えっちょっなんだこれ)そう思ってると、老婆がおどろいた表情で俺を見て言った
「おまえさん、ヤヒロじゃないねぇ」
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