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黒の部屋  作者: なつきまる。
黒の部屋
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「霊から自分の身を守るためのお札と、攻撃するためのお札」


「晶の親父さんが、霊を攻撃するように思えるのか?」



 スルーしていても話してくるので、結局は話すハメになってしまった。



「違う違う。このクローゼットの中と、壁の中にお札が隠されてあるんだ。少なくとも、クローゼットの中のお札は、攻撃タイプのお札と見て間違いないだろうね」


「えっ……」



 それは一体、どういう事だろう。もしかしたら、そのお札を探して燃やせば、これから被害は無くなるのかもしれない。まてよ。それ以前に……



「誰が一体、この場所に攻撃タイプのお札を……?」


「一人しかいねーだろうが。……三島ン所の子供(クソガキ)さ。生霊なんだろ? 私ら霊保に見えないって事は、そいつは黒いモヤのはずだ。三島の息子が実際ここに来て、お札を埋め込んだ。それしか考えられねぇ」



 トントンと、たばこの灰を空いた缶の中に入れながら画面に集中している。


 誰だ? 一体誰なんだ? 三島って奴は、一体誰なんだよ。これまでにこの部屋を借りて、ソッコーで逃げた奴なのか?



「なぁ三島ァ! ここにいるんだろ? 返事しろよ」



 返事はない。だが、コツンと一回だけ、一階から音がした。晶……一階にいるのか?


 しかし今のコツンだけで、彼女の顔が一変した。突然階段の方の窓から、真下を覗いている。



「……? 何やってんだ?」


「いや……気のせいか。ちょっと霊気を感じた気がしたんだけどな」



 そしてまたしばらく動画を見続ける。優太が眠った後で、特に異変は感じられぬまま数十分が経った。



「やっぱ、何も映ってないな。切ろう」


「まぁ、そう急ぐなよ。捜査の基本は、あんぱんと牛乳だ。片時も目を離すな」



 とはいっても、恥ずかしい寝言ばかり。晶がどうだの、どうだの。どうだの。


 友達がふとした瞬間可愛く思える事がある。それが、恋の始まりだと聞いた事がある。まさにこれはこの状況じゃないか。優太にとっては黒歴史かもしれない。ベッドで枕を顔に押し付けて足をバタつかせながら『あ"あ"あ"あ"あ"!』と叫びたい気分だろう。



「はぁ。若いって、いいねぇ」



 じっとりとした目付きで見つめられた。ちなっちゃんが現在一番若いように見えるのは気のせいだろうか。



「そ、そそ、そんなにまじまじ見るなよ。それはそうと、三島って誰だよ? さっきから聞いてると知り合いみたいだけど」



 とっさに話題を変えてやる。



「三島か。今から何十年前だっけな。ちょっとストレス発散のためにイジメちゃってた奴がいるんだよ。何やったっけ。頭からゴミ箱かぶせたりしてたっけな」



 晶が、親父さんの日記を読んでいた事を思い出した。


 父親が死刑になった時の事を話していた時、何故死刑になったのかを聞いたら『さぁ? 具体的な事は何一つ書かれてありません。ただ、昔とある人にこっ酷くイジメられてたらしいですね。頭からゴミ箱を被せられたり』って言っていた事を一言一句覚えている。そのイジメられてた奴ってのが、お前だったのかよ三島。


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