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懐かしいわね、ここに再び来る事になるなんて。一体、どれくらいぶりかしら。
それにしても、おかしい。昔から美香ちゃんを見ていたわけじゃないから知らないけれど、本当にこの子、美香ちゃんなのかしら。静かすぎるわ。根は大人しい性格なの?
千菜津と美香の二人は、九州の上空で、月と共に地上の星たちを見つめていた。
「美香ちゃん、おなかすいてない? 何か、食べに行く?」
高所の恐怖からか、美香は無言で顔を左右に振っている。
結局のところ、食べ損ねてしまった。
そんな事よりも、惜しい人を亡くしたわ。まさか、あの親殺しが殺されるなんて。努力の天才が、ああも呆気なく人生に幕を閉じるなんて……。人生って報われないものね。
りっくんが持っていた六文銭、優太くんに渡してきたけれど、失敗したかもしれない。彼の遺体がどこにも無いもの。渡せるはずがない。せめて肉片くらい落ちているかと思ったけれど、血液だけが飛び散るなんて。……霊は、一体何を私たちに見せたいの? 今のところ、何の証拠も見つけられない。
私とした事が、見失ってしまった。母親の霊、そして子供の霊。
とにかく、一旦降りて、どこかで話をまとめないと。
千菜津は、ゆっくりゆっくり、降りはじめた。ずいぶん昔の記憶に、そこには旅館があった事を思い出す。
海の見える丘。ただ、聞いた話によると今ではすっかり寂れてしまって、閉館してしまったという。そして、取り壊された。そこに、日霊保の福岡支部が新設されたのだ。
自転車で行ける距離に、ファミレスも、コンビニもある。ついでに言えば、部屋が空いているのなら一泊や二泊、自由に寝泊り可能だったりする。もちろん、隊員限定で。特級のコネさえ使えば、美香だって顔パスで部屋に泊まれるかもしれない。
門の前で立ち仕事をしている男性隊員に霊保手帳を見せながら、千菜津は問う。
「先生……いいえ、司令官はいらっしゃるかしら」
「と、特級クラス……! い、いえ! 司令官は現在、席を外しております」
「そう。この子を福岡支部に入れても平気かしら。一般人で、晶ちゃんのお友達なんだけれども」
「晶ちゃんの? 一応確認を取ってから、という形でしたら、今から私が司令官に無線をお繋ぎ致しますが」
「助かるわ。お願いね」




