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「おい、どういう意味だよ、ホモ野郎ってのは!」
「そのまんま、そういう意味だよ。女相手には全く接客しなかったんだ。いつもいつもいつもいつも、あいつは男しか相手にしてなかった。そのせいであいつはナンバー入りも当然出来ず、最近は来たり来なかったりで迷惑しかかけてねぇんだよ」
ホストCがそう言いながら晶の正面へ座った瞬間だった。入ってくるな、とでも言いたげに、小さな足でテーブルを思い切り蹴飛ばしている。
あの物静かな晶が、まさかこんなに感情を爆発させるなんて。いや、まさか。悪い冗談ならやめてほしい。あの性格だけは手に負えない。
「……おい、お嬢ちゃん、ちょっとやりすぎなんじゃないか? キレるぜ。俺も人間だからな」
シンと静まり返った店内。注目を集める晶は、他のテーブルに入ろうとしていたボトルを片手に男の頭に叩きつけた。分厚いガラスが音を立てて割れ、今まで楽しげに会話していた女性たちから悲鳴が相次いだ。
「キレれるもんなら、キレてみろ」
あぁぁ……あの時の……中学時代に封印したかと思っていたあの性格が……。
さすがに優太も、ここまでやるつもりはなかった。だがしかし、時すでに遅し。完全に目が据わっている。
「こんなのが……他人の悪口を言うのが接客? りっくんと比べるだけ失礼に当たる。だけどあの人は、もう二度とこの世に帰ってこない!」
喜怒哀楽の、二番目の項目。怒りという怒りを今までほとんど封印させていたが、封印解除されてしまった。ここまで取り返しのつかない怒り方をしたのは、本当に未成年ぶりだ。このままだと、割ったビンで本当に刺してしまう。
「な、なんだと? この俺が、あの陸斗よりも下だってのか! 俺を知ったような口を利くな、ガキが!」
「死ね。お前の履歴に興味ない」
ホストCの拳と、晶のビンが交差する。咄嗟に拳を受け止めに入った優太と、ガラスを手の平で受け止めている誰かの姿があった。
こんな拳、もし晶が受けていたら頬の骨が折れていたかもしれない。とはいっても、完全に避けた後で優太が止めていた形になっていたが。
「て、てて、店長!?」
「女の子に手を挙げる……それがお前の接客か?」
「だからって、ビンで頭を殴ってくるような女ですよ! こんなの、客じゃないスよ」
「TAKUYAさん、店長が来なかったらマジで殺されてたぜ。この子、本気だ。店長の指が一本、行方不明」
ホストBが騒ぎ立てている。見るとたしかに、左手の指が一本無かった。どこかに飛んでいってしまったらしい。TAKUYAという源氏名の人物が、ホストCなのだろうか。
「お客様、大変失礼いたしました」
「い、いや。俺らは大丈夫だけど、お前、指が……」
「いいんです。陸斗の名誉に比べたら、こんな指、安い物ですよ。なぁ、TAKUYA、何で俺が陸斗に男ばっかり接客させてたか、知ってるか?」




