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僕は、瓦礫の上に立っていた。
飛び散ったガラスの破片。
宙を舞うホコリ。
僕は、僕はいったい何を……
「カク、しっかりしろ!」
僕を大きな声で誰かが呼んでいる。この声は、知っている声だ。
僕の目の前で、とんがり頭のスーツ野郎と、かっこいいバトルスーツを着た仲間が戦っている。
僕は、いったい何をしているんだ。いったい何を……
周りを見渡せば見渡すほど、瓦礫の山となっている。もはや、ここに何があったかなんてのもわからない。
赤いピエロも、長い髭のおじいさんもどこかに消えていってしまった。
そういえば、僕の両腕が重たい。
両腕に何かが乗っている。ほんのり温かい何かが。
僕は、その温かい先に視線を向けた。
僕の両腕の中に見覚えのある女性が目を閉じて収まっている。
お腹のあたりが、綺麗な朱い色に染まっている。
白いワンピースが真っ赤に染まっていた。
僕は、思わず大きな声を出した。誰かに届けるわけでもない声を。
僕の目の前に、バトルスールの仲間が倒れ、変身が解けた。
「カ……ク逃げるんだ……」
僕の目の前で息絶えた。僕は、涙を流しながらその光景を見つめた。
意識を取り戻した先に、待ち受けていたのは混沌とした世界だった。
僕は……僕はッ!!!