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高校侵略  作者: ウミホタル
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プロローグ「登校」

・プロローグ「登校」

四月の清々しい春風にさくらの花びらが散らされている。

そのヒラヒラと舞う花びらの一つが僕の肩の上に乗る。

「新生の季節か。」

僕はいつもと違う道を歩いている。



辺り一面桜吹雪の山道を歩き続けて約一時間半、未だに目的地は見えてこない。

編入資料の中にある地図を見かえし道が間違ってないことを確認するのもこれでもう30回目くらいだろう。

地図は手書きで「この道を行けば着く」とダイナミックに大きな道すじに矢印が描かれているだけのものだ。


「まぁこの山にはこの道しかないっぽいし、間違ってることはないんだろうけどさ…。もっとちゃんとした地図送ってきてよ…。」


と力なく呟きながら辺りを見回す。


「綺麗な桜だけど、こうも同じ景色つづきだと前に進んでる気がしないね。」


そのまま重い足取りで歩き続けること数十分。やっと建物らしきものが見えてきたが、それはまるで鉄道の駅のようで学校のそれとは大きく異なる。

建物には「第10特殊教育推進高校正門行き」と書かれた立派な看板が建物の前面に取り付けられている。

よく見るとその建物も洋館のようにいかにも高級質でありながら派手さはなく気品あふれる造りになっている。看板を見るからに交通手段となる物の乗降場所なのだろう。が、人の気配は全くなく改札機のような物はあるが切符販売機はない。


「どうすれば良いんだろう。切符なんてもの持ってないぞ。」


考えているとふいに後ろから女性の声が聞こえた。


「どうした少年。何かお困りかな?」


ビックリして後ろを振り向くがそこに人の姿は無く、僕は頭を押さえた。


「二時間以上も一人で歩いていたら人恋しくなって幻聴も聞こえるようになるよな。初めて来た場所で孤独を感じることは疲れるね。」


気をとり直してどうしてこの状況を打開するか考えようとした矢先にまた、


「おーい!幻聴ではないよ!こっちだよこっち!!」


もう一度振り向いて見るがやはりそこに人の姿は無い。


「これは、やばいやつだね」


そう呟いて頭痛すら感じはじめた頭を押さえる。


「下だよ!下!!見下げてごらんだよ!」


「ん?」


と下を向いて見ると僕と胸とヘソの間くらいの身長の女の子がほっぺたをむぅと膨らましてこちらを見上げていた。


「うわぁ!!ビックリするなぁ!もう!」


驚きのあまり後ろへあとずさりしてしまった。


「ここまでバカにされたのは初めてだよ!この私に向かって!」


彼女はひどく憤慨しているようで力いっぱい地団駄を踏むがポスポスと力無い音をたてるだけであった。


「どうしたの?道に迷ったのかな?小学生がよくこんな所に一人で来たね。」


「うがーーっ!もはやテンプレとも言えるやりとりをしてくるとは、もう許せないんだよ!」


「え?違うの?」


彼女は自分の胸の所につけているピカピカしたバッヂを指差して


「私はこの駅の駅長さんなんだよ!えらいんだよ!」


「えぇ!?でも、どうみても小学生…。」


すると、彼女はムキーッと歯見せて威嚇しながら


「小学生なんかが駅長なんかできないんだよ!私は駅長だから小学生じゃないんだよ!私がダメだって言ったら学校に入れなくなっちゃうんだよっ!」


そこで僕はハッとした。あまりの衝撃に目の前の問題が見えなくなっていた。


「そうだ!この改札機、どうやって入るか教えてよ。」


「ダメなんだよ。見るからに違う学校の制服着てる部外者は入れちゃダメだって言われてるんだよ。」


「僕は転校生なんだ!生徒手帳も持っている。ほら!」


と言って資料が入った封筒のなかから電子端末型の生徒手帳を出してみせる


「とは言われても転校生が来るなんて言われてもないんだよ。…、でもこの生徒手帳は本物っぽいから校長に電話してみるからちょっと待ってて欲しいんだよ。」


と言いとてとてと小走りで駅の入り口横の扉へ入っていく。駅長室なんだろう、扉にでかでかと「えきちょーのへや!」と書かれている。

数分後、駅長が部屋から出てきた。さっきは気付かなかったが遠目でみると確かに駅長が着るようなジャケットに身長にあったミニスカートを着ている。帽子はやや斜めに傾いてジャケットも袖が余り少し不恰好だが可愛らしいとも思える格好だ。

トボトボとこちらまで歩いて来ると


「とても迷惑をかけたんだよ。私の確認ミスだったんだよ…。」


と落ち込みながら言う。駅長を任されているだけあって責任感は相応にあるらしい。


「全くとんだ迷惑だ!こんな駅長だと学校のレベルの低さがうかがえるな。」


と少しイタズラ気味に言ってみる。すると彼女は泣き出しそうな顔をして


「ほんとうに…ごめんなさぁい!」


と本当になきだしそうだったのでとっさにフォローにはいる。


「で、でも自分の非を素直に認めて謝ることができるのは立派な人間しかできないことだね!素晴らしいことだよ!はいこれ。」


とポケットに入っていたアメを渡すと、パァ!と弾けるような笑顔でそれを受け取り食べ出した。

(やっぱり小学生なんじゃないか?)

拭えない疑問を置いて本題に入る。


「ここの改札機どうやって通るの?見たところICカードかざして入るタイプの物だと思うんだけど。」


「それはね、君の生徒手帳をかざすんだよ。生徒手帳の中にチップが入ってるんだよ。」


そう言われて生徒手帳を見る。確かに最新の技術が使われていそうだ。


「他にも、それで時間割を確認出来たり規定時間内なら生徒や先生と通話やメッセージのやりとりだってできる優れものなんだよ!」


「へぇ!凄いね!学校で電子機器が堂々と使えるなんて新鮮な感覚だね。色々教えてくれてありがとう。じゃあそろそろ時間も近いし行くね。」


「うん!また何か困ったことがあればいつでもこの駅長に相談してくれて良いんだよ。」


と駅長は小さな胸に手でポンと叩いて言う。

彼女に一瞥して生徒手帳を改札機にかざし、ちょっとした緊張感を持ちながら中へ入る。

中にあったのは鉄道ではなくロープウェイだった。ちょうど「正門行き」と書かれたロープウェイがあったので乗りこむ。すこしするとドアが閉まりピンポーンという音がなりアナウンスが始まる。


『あー、あー。もう録れてるのかな?みんな!おはようなんだよ!これは正門行きだよ!今週は侵略試験週間だから気合い入れて頑張るんだよー!』


時期によって駅長が録音した物を放送しているんだろう。駅長の和やかな声で少し緊張がほぐれる。

「あの駅長を見る限りでは良い学校ぽいね。名前が仰々しいだけに少し構えていたんだけれど…。」

(ん?今試験がどうとか言っていたけどまぁ転校生の僕には関係ないことかな。)

15分くらいして正門前の駅に着いた。同じように改札機に生徒手帳をかざし駅からでる。するとそこにはアラブの大豪邸もびっくりなくらいの立派な建物が広い敷地内にある。まるでそこを山の中だということを忘れさせるほどだ。

「す、すごい。流石にこれは引くね。」

そこはさっきまでの山路とは全く違う風が吹いていた。


初めまして、筆者のウミホタルです。

今回初めてネット掲載させていただきました。いつも一人でちょこちょこ書いてたのでいざ人に見られる文章を書くとなると緊張しまくりました。

私は文学的知識はないので無茶苦茶な言葉の使い方や記号の使い方をしてしまう時があります。なので繊細な方は注意して読んでください。又、至らない点があったら感想どしどし下さい!良い所があればたくさん褒めて下さい笑

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