プロ生活
樫琶 剛紀 <カシワ タケノリ>
身長:186㎝
体重:89㎏
体型:筋肉質
性格:冷静
趣味:なし
備考:野球選手としての威圧感は新人らしからぬ凄まじさだが、私生活ではその面影すらない。多少の波はあるものの、安定した打撃と、勝負強さはピカイチ。
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春の訪れを告げる、春期キャンプ。
選手たちの気を引き締め、新たなペナントレースの開始を意識させながら、己の力を伸ばす場。
それと同時に、新人たちにとって、初めてのプロ練習への参加となる。
言わば、プロ生活のスタートラインである。
そして初日の朝、毎年恒例の新人挨拶が行われる。
スタンドのファンに向かって、新人が自己アピールをする場である。
「ドラフト一位、樫琶 剛紀!ポジションは、ファーストです!よろしくお願いします!」
球場全体に響き渡る様な声で、剛紀は新人挨拶を済ませた。
そして、スタンドからは大歓声が沸き起こった。
「頑張れよー!」
「ぃよっ!将来の四番!」
など、声をかけてくれるファンもいた。
それもそのはず。
高校時代に70本のホームランを記録し、甲子園でも激闘を繰り広げた超高校級打者の若造が、贔屓の球団に入団したのたがら。
誰よりも期待がかかるはずだ。
新人挨拶が終わり、選手会長が円陣の中心に出て挨拶をする。
「えー、昨年はプレーオフ敗退という結果になりましたが――」
西武ウルフズ選手会長・中山。
走攻守、三拍子揃った不動の三番打者。
日本代表にも選ばれた、球界屈指の遊撃手。
その他にも、ウルフズには素晴らしい選手が多い。
なんといっても、驚異的な打撃で毎年の様に40本以上のホームランを放つ、四番の岡村。
剛紀が四番に座るには、彼を越えない限り不可能と言える。
次に首脳陣が円陣に加わり、監督の若辺が話し始める。
「えー、今年は昨年の二の舞にならないよう、このキャンプから力を入れてもらいたい。若手は、存分にアピールしてくれ。ベテランも若手も関係ない。戦力になる選手を一軍で使うつもりだ」
若辺監督の話すことは、ごく当たり前でありながら、剛紀にとってそれは非常に喜ばしいものであった。
尊敬する原が、高卒ルーキー史上最多の31本を記録しているため、剛紀はそれを超える記録を打ち立てようとしているからである。
そうして、剛紀の初キャンプは始まった。