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昔から、野球の醍醐味と言われる「ホームラン」



それは、野球の華。



人々を驚愕させる特大なアーチ、身震いするような劇的なアーチ。



「ホームラン」という言葉の中には何億通りものドラマがある。



いや、ホームランの数だけドラマがあるのだ。



「ホームラン」は、野球人なら誰しも一度は憧れる、いわば夢である。



大人になるにつれて、個人の能力差から「ホームラン」を諦めて、自分の出来る役割につく人もいるが、子どものときは、ただがむしゃらにバットを振り続けて、毎日夢を追い求めていただろう。




そんな、どこにでもいる野球少年は、やがてプロ野球選手になり、みんなに夢を与えるホームランバッターになった。



少年の名前は



樫琶(カシワ) 剛紀(タケノリ)




剛紀が野球に魅せられたのは、小学三年生の秋。



当時、首位争いで異常な盛り上がりを見せていた、[巨人―阪神]の好カード。



満員の東京ドームに、父親と試合観戦に来た剛紀は、当初は野球に興味がなかったものの、バックネット裏からみる大迫力の攻防や、両スタンドからの熱い応援に、無意識のうちに胸を踊らせていた。



そして、剛紀を野球界に引き込んだきっかけを作った、ある選手がいた。



読売巨人軍四番打者



(ハラ) (キヨシ)




想像も出来ないような重圧を背負いながら、バッターボックスで威風堂々と構えるその男の背中に、剛紀の目は釘付けになっていた。




そして、試合終盤になり、1―1で迎えた八回裏。



バッターボックスには、原。



2アウト、ランナー1塁。



それまで好投を続けていた伊川が投じた第一球だった。




カァン!




一瞬、爆発音の様な乾いた音が響き、場内が静まり返る。



原の振り抜いたバットの先から放たれた白球は、物凄いスピードでグングンと飛距離を伸ばし――




ドスンッ!




という音と共に、レフトスタンドの看板に突き刺さった。



と同時に沸き起こる大歓声に東京ドームは揺れた。



マウンド上で、がっくりと膝をつく伊川。



戦意喪失の阪神ナイン。




そんな中、大歓声を背に受けて、口元を緩ませ右手を大きく突き上げ、ゆっくりとダイヤモンドをまわる原。




剛紀は、終始鳥肌を立てながら、その光景を目に焼き付けていた。



それと同時に、剛紀の心の中に、ある夢が芽生える。










俺もいつか、あの人のようなホームランを打ってみたい!









野球人、樫琶 剛紀の誕生である。

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