第8話 満たしてない!
学園都市グローシア。
先生たちと学園都市を運営する大人以外に、10歳から15歳までの子供しかいない。
学生だらけの大都市となっていて、この国のその年代の全子供たちである。
だから、同年代とは顔見知りになる・・・。
ってことはないだろう。
この国の一学年の平均が、2万人。
それが五学年あるので、10万人。
結構な数の子供たちが集まっているので、全員が顔見知りになる事はないだろう。
卒業するくらいに、100人程と知り合いになれたら、凄いと言えるはずさ。
友達百人出来るかなって言うしね。
それと衝撃の事実として、俺はなぜか第三所属になっていた。
ここは、一般人で才能がないとされる。
平民が入る学校だ。
本来ならば、第二に入るのが普通だが。
どうやら、俺って。
あの王様から嫌がらせを受けたらしい。
手続きの行き違いとやらで、アーク入りを果たしたのだ。
でも俺としては助かる。
正直に言うと、貴族の付き合いが嫌で嫌で仕方がない所だったから。
ちょうどいい感じだ。
煩わしいことをしなくて済んで助かったよ。
◇
この学校には入学式ってものがない。
学生たちは、クラスの教室で待機して、ありがたいお言葉をもらうのが、入学式の代わりらしい。
朝の九時。
チャイムと同時に全校一斉校内放送が聞こえる。
「あ・・あ・あ! よし」
マイクテストから始まった。
「本日は、一年生の入学日です。皆さん、隣にいる人、クラス内の人。他の学校にいる人。全てが今日からご学友となります。第一32名。第二1038名。第三その他となります」
アークだけが適当。
これが格差社会だ。
下の階級は、期待値が薄いんだろう。
「ですが、今のその格付けは、仮のものです。スタートがそのスタートだったという事です。ここからは、実力が物を言う世界になります。なので、楽しい楽しい学園生活を過ごしてください。以上です」
子供っぽい声をしているので、学生だと思う。
短い挨拶の中に、狂気があった。
実力が物を言う世界なのに、楽しい楽しい学校生活を送れってことだ。
これ、相反しているような気がするのは俺だけでしょうか。
この挨拶が終わると、先生がクラスにやって来る。
ボサボサ頭が気になる男の人だ。
「へ~い。それじゃあ、ここにいるのが、アーク1学年のJー19だ。ここには約100名いる。数が曖昧なのは、ここに落ちてくる連中がいるからだ。いちいち数えてられねえんだ。お前らは底辺。雑魚中の雑魚だ。それを覚えておけ」
とんでもない先生だ。
いきなりの衝撃発言。
でも俺は雑魚だから受け入れてしまった。
「しかしな。努力次第で上に上がれるシステムでな。この学校は実力社会。特にアークは熾烈を極めるからな。頑張れ!」
あの先生は、やる気が無さそうでも応援はしてくれるみたいです。
「いいか。一回しか言わないから覚えておけよ。アークは、Jー19が最下層。そこからJー1まで言った奴が、E-20までいく。それで、そこからAー1までいけたら、あとはもうシャズとの入れ替え戦だ」
入れ替え戦?
「アークと同じように、シャズも順位でクラスが決まっている。年三回の入れ替え戦が行われるのさ。シャズは大体1000名。アークと同じようにAー1から10。B-1から10でクラスがある」
Aー1からBー10の合計20クラスであれば、一クラス50名くらいかな。
「シャズBー20の5名と、アークA-1の5名が勝負をして、勝った方が上に行く仕組みだ。だから、本当の所はここが実力社会だって分かるだろ」
なるほど。
要は、貴族や豪農、豪商の地位を利用して、シャズに入学しても、入れ替え戦が存在する限り、下へ転がり落ちるという事か。
ていうことは、学校内で激しい競争があるのかな。
「それで今座ってもらってる席がすでに順位だ」
俺の席は、左の一番後ろだ。
「そこのお前が最下位だ。名前は・・・ネオスだな」
そこは、名前をわざわざ言わなくても良くないですか。
クラスの皆にお伝えしなくても、辱め攻撃でしょ。
これってさ。
俺だから耐えられますけどね。
ハートの弱い子だったらどうするの先生。
ショックで心臓麻痺を起こすよ。
「頑張れよ。最下位だからって、いつまでも最下位とは限らないからな」
いや、それも言わなくても良くない!
追い打ちをかけてるよね。
「んじゃ。俺はこの辺で、あとはこの教科書を見ておけ。一週間後に決めてもらうからな」
先生が教科書を掲げた。
表紙が緑色の教科書だ。
席が遠くだから、絵柄までは見えていない。
だから、何の教科書かを言ってくださいよね。
◇
どれどれ。先生が持ってたのは・・・。
俺はカバンから教科書を探す。
緑の教科書の内容はジョブについてだ。
だから学校に来る前の父が言っていた事を思い出した。
「ジョブ選択はステータスから考えられている。必要な能力値を得ないと、就職は不可」
ここに記すのは、主なもの。
見習い職。
戦士。魔法使い主となる。
基本職。
戦士。魔法使い。神官。狩人。盗賊。商人。細工師。薬師。
応用職。
戦士。魔法使い。神官。ハンター。大盗賊。大商人。錬金術師。罠師。治癒師、等々。
特殊職。
勇者、賢者、等々。
秘密職。
珍しい条件の職
「それで、皆が第一段階でなる職業が見習いか・・・」
必要ステータス。
戦士見習い
力――――3/20
耐久―――1/20
敏捷―――3/20
知力―――1/20
魔力―――1/20
判断力――1/20
運――――1/20
魅力―――1/20
魔法使い見習い
力――――1/20
耐久―――1/20
敏捷―――1/20
知力―――3/20
魔力―――3/20
判断力――1/20
運――――1/20
魅力―――1/20
「こ、これは・・・・」
重要な事に気付いた。
俺、必要ステータスを満たしてない!
見習いにもなれないのねぇぇぇぇええええ。
転生者なのに。どうしてこんな事に・・そんな馬鹿な!
俺の第二の人生は、やはり苦難の連続みたいです。