表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

優しさとは

作者:

 貴方は優しいだろうか


 私は幼い頃から人には優しくするように両親から育てられた。私は都内の某私立小学校に通っていた。この優しくするという振る舞いのおかげか周りにはいつも人がいた。勉強も運動もできないが先生も友達も普通に接してくれた。いや、周りの子よりも人が集まってくるような存在になれていた。運動ができないため運動部にも入ろうとは思えなかった。加えて音楽や芸術等の才能も無い為クラブ活動にも入ろうとは思わなかった。だから放課後は時間が空くのだが、部活やクラブ活動が休みの日の友達が遊びに誘ってくれることもあり時間を持て余すこともなかった。これも優しさがそうしてくれたんだ。

 中学は一般的な公立の中学校にいくことになった。

中学でも小学生の頃と同様に人には優しく接するように心がけていた。それが功を奏したか人間関係も順調に進んでいた。と思っていた。中学二年生の頃のある日、私はテスト期間という事もあってとても疲弊していた。その為いつもテスト期間には問題集の答えを写させてあげている友人に、答えを見せてあげることができなかった。理由は疲れていて問題集の解答が間に合わなかったからだ。結果として「優しく」できなかったのだ。そこからいじめが始まった。そこで初めて私の価値は優しさで決まると確信した。

 高校は両親とも話し合い地元も離れて新しい人間関係を築く為に県外の高校にいくことにした。そこでは徹底して周りに優しくしていくことを決めていた。やはり優しさの事があってか、周りは親しくしてくれた。そこで親友とよべる人間ができた。とても嬉しかった。自分が初めて世界から認められている感覚になった。グループで仲良くしていたが「その子」とは特段に仲が良かった。高校も部活をしていなかったがその子も部活をしていなかったため、その子が彼氏と遊ぶ日以外の放課後は2人でいる事が多かった。私はそんな日々が幸せだった。その子といるときは特に優しさには気をつけていた。そんなある日、親友であるその子から相談を受けた。その内容は「彼氏が塾で複数人の女子と仲が良く、遊びにも行っている、彼女がいるのに(怒)」との事だった。私はわたしのなかにある「優しさ」に訴えかけられているような気がした。

中学の頃のいじめられた事も蘇った。

私は決めた。

 その子の彼氏と仲良くしている女子は計3人だった。彼氏は顔が整っていた事もあってモテていたのだろう。受験勉強のシーズンではあったが合間をつくっては塾の子たちと遊びに行っているようだった。そこで私は考えた。彼氏をころして、その子をこの状態から解放してあげよう。それが最大限の優しさだと考えた。その子から彼氏がどこの塾に通ってるかは聞いていた為に場所は把握していた。問題は帰宅する時間だったが、優しさの為なら待ち伏せするのも苦にならなかった。20時をすぎたころ塾から女生徒と出てきた。私は後ろを追った。彼氏は女生徒と別々になり1人になった。そこで思いっきりさした。何も感じなかった。私はそのあしでそう遠くもなかったためその子の家に行った。彼氏をころした事を伝えた。笑顔で伝えた。感謝されると思っていた。現実は違っていた。その子は恐怖からか泣くこともなく玄関で呆然と立っていた。その頃すぐだった。私が彼氏をさしたところを丁度目撃した人がいて通報されていた、私はその子の自宅で警察に現行犯として取り押さえられた。

彼氏はすぐに通報が入ったこともあり命に別条はなかった。私は殺人未遂として少年院にいくことになった。その子の為だと思い。その子の事を考えながら日々を過ごしていた。出たらまた遊びたいと。そこで1通の手紙をもらった。その子からだった。

私は彼氏をころせなかった事に対して何か書かれてしまうと思っていた。現実は違っており、彼氏はさされたことがトラウマになり外に出られないそうだ、その事でその子は私に対してとてつもなく怒っており数えきれないほどの罵詈雑言が書き尽くされていた。


 そこで私は初めて気づいた。「優しさ」は暴力になると。優しさは正しさではないと。


今の世の中、自分の優しさや正しさを信じて疑わない人がとても多いと感じる。優しさと思ってやっていた行動が俯瞰してみると単なるいじめだったり。相談してきた方に落ち度があるにも関わらず親しい事が理由で正義と錯覚して第三者を傷つけたり。

今一度改めて考えてみて欲しい、自分の優しさ(正義)が誰かを傷つけていないか。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ