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不思議空間

 …どこだここ


 さっきからずっとそんなことを考えながら歩いてるわけだけどさ。これも1種の迷子、なのかもね。え、なんでこんなことになってるかって?しょうがない、話してあげようじゃないか。心して聞くがよい!はっはっはっはー!!


 --しばらく前--


 僕は気がつくと真っ白な部屋に座っていた。晴れの日の雲のような、マシュマロのような柔らかい白…の部屋、というか空間?凄く広い。たぶん。いや、真っ白すぎてどこから壁なのかよくわかんないんだよ。

 なぜか床とか壁(?)とかが淡く(あわく)光ってて、いい感じに明るい。こういうのを神秘的って言うんだろうなぁ。ついでに言うと寒くないし暑くもないしで、ちょうどいい感じ。


 うん、どこだここ。


 うーむ、しばらくぼーっとしてみたけど何も起きないな。こういうときは動かずに助けを待つほうがいいとか聞いたことがあるような気がするんだけど。まぁいいや、ここで待ってても何も起きる気がしないし。適当に歩いてみるか!

 壁とかにぶつかったら嫌だし、一応両手を前に出しておいて、と。そうして僕はゆっくりと歩き始めた。



 って感じで冒頭に戻るわけだけどもさ。周りになにもないと時間とか距離の感覚がなくなるって本当なんだなぁ。もうどれぐらい歩いたのか全くわかんないや。

 しばらく歩いてみて気がついたんだけど、普通に歩いてるのに全く足音がしない。試しに飛び跳ねてみても服の擦れる音が少しするぐらい。なんだか忍者にでもなった気分でちょっと楽しい。やっぱ足音たてずに歩くとか、みんな憧れるじゃん?…僕だけかな


 それにしてもいつの間にこんなところに?家のソファーでレポート書いてたはずだけど、よく覚えてない。もしかしてドッキリだったり?いや、悲しいけど僕にそんな友人はいない。まさか、誘拐…?そういえば、心なしか頭が痛むような……いや、たぶん気のせいだ。気を失うぐらい強く殴られたんならもっと痛むはずだよな。それに僕に誘拐するほどの価値はない。両親がお金持ちってわけじゃないから身代金は期待できないし、別に可もなく不可もなくってぐらいの顔だからな。そもそもこんな不思議空間、どうやって用意するんだよ。



 もう何時間歩いたんだろう。長く感じるけど実は30分ぐらいしか経ってなかったりして。そろそろ疲れてき…てはないんだけどね、うん。僕って運動できるわけでもないし、体力も普通…いや、ちょっと盛ったな。たぶん一般的に見て運動はできないほうだし、体力も少ないと思う。昔から体育の成績だけ低いんだよね。ま、まあとにかく、運動できない僕が何時間も歩けるのはおかしいって話。普通ならもうとっくの前に疲れて、足も痛くなって座り込んでるはずなのよ。絶対おかしい。ここが不思議空間だから疲れませんって?ついでにお腹は空かないし喉も渇きませんって?何だそれ、意味わかんない。


 おーけー、ちょっと状況を整理しよう。歩いてても何も起きなかったし。差し迫った危険もないからちょっとぐらい座って休んでてもいいよね。

 まず、ここはたぶん初めて来た場所で、広さはわからない。歌いながら歩いたりもしたけど全く声が響かなかったから、ある程度の広さはあるんだと思う。だからお風呂サイズの部屋にいるけど床がルームランナーみたいに動くから広く感じてる、って可能性は無し。

 それから、視界に入る全部が白くてちょっと光ってる。全部って言っても床ぐらいしかないけど。あぁ、ちっちゃくなってスマホの白い画面の上を歩いたらこんな感じなのかな?そう考えるとこの光って全然神秘的じゃないな。ちっちゃくなるとかあり得ないけど、もしここがスマホの上なら歩き続ければ端にたどり着けるはず。

 そういえば足音は鳴らないのに歌は歌えたな。つまり音の無い世界にいるわけじゃないってことか。音は空気の振動だから、音があるってことは空気もあるっていうことで、でも床は音が鳴らないから謎素材でできてるかもしれなくて…?駄目だ、こんがらがってきた。床のことは一旦置いておこう。

 特に痛みもなくて、暑くも寒くもない。周りが光ってるけど眩しいわけじゃなくて、快適。どこまで行っても景色が変わらないってのを無視すれば完璧な環境。


 結局状況をまとめてもよくわからないだけだな。今できることとなると歩くことか待つことだけか。でもちょっと歩くのは疲れたんだよなー。身体的な疲れはないんだけどさ、気持ちが疲れたって言うの?ほら、マラソンも校庭で同じところグルグル走るより街中でいろんな景色見ながら走る方が楽みたいに言うじゃん。そういうことだよ、たぶん。

 ってことで、寝ちゃおっかな。何もせずに待つのも飽きるし。寒くないしいけるでしょ。じゃあ、おやすみなさーい



 こうして僕は眠りについたのだった。静かに寝息を立てて…誰かに見られていることに気づきもしないまま………


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