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居城へ

 居城といっても、それほどの規模ではない。要塞といった方がいいかもしれない。


 実際、国境の警備の拠点地として使っているらしい。


 それはそうよね。いまのところ、バーデン帝国にとってルーベン王国は友好関係というよりかは従属国みたいなもの。どう考えても、この地域では最弱かつ小国のルーベン王国がバーデン帝国に攻めてくるわけがない。だから、国境を警備するのにそれほど人員を割く必要もない。


 最強といわれているバーデン帝国の軍なら、たとえ百名や二百名でもルーベン王国軍を蹴散らしてしまうでしょう。


 この程度の要塞でも充分すぎるわよね。



 到着後、クラウスは石造りの城や周囲を案内してくれた。


 警備隊の拠点に特化している為、殺風景でシンプルこの上ない。


 いたるところに兵士たちがいる。一応、周囲に城壁があって、そこから森が一望出来る。遠くには、山脈が壁のように連なっているのが見える。


 町や村らしきものは見えない。それらは、森の中にでも点在しているのかしら。


 クラウスのうしろを歩きながら、物珍しい景色を眺めるのは楽しい。


 これまでは、一度たりとも自分が生活する場所を案内してもらったことはなかった。自分の割り当てられる部屋ですら、面倒くさそうに口頭で伝えられるだけだった。わたしの理解力が残念なのか、記憶力が残念なのかはわからないけれど、たいてい迷ったりわからなかったりした。その都度、通りすがりの侍女や執事などといっただれかにきかねばならなかった。


 それはともかく、クラウスは丁寧かつ詳細な説明をしながらまわってくれた。


 だけど、ここにいるのは数日らしい。


 いまここで警備の任に当たっている大隊が違う大隊と交代するらしく、彼はその大隊とともに帝都に帰還するという。


 というわけで、その際に連れて行ってくれるのである。


「ふっかふかの寝台に豪勢な料理でもてなしたいところだが、残念ながらここにはそのどちらもない。しかも帝都に到着するまでは、森や野原で夜営だ。しばらく不便な状態が続くが、出来るだけ快適にすごしてもらえるよう最善を尽くす……」

「クラウス様、どうかお気になさらないで下さい。パンとお水を与えてくだされば、わたしはかまいません。それに、すでに充分満足していますので」


 一生懸命説明してくれている彼の言葉をさえぎってしまったけれど、これだけしてもらっているのである。わたしのことは気にしてもらわなくてもいい。そう伝えたかった。


「そう言ってもらえると気がラクになる」


 そして、彼はわたしの部屋に案内してくれた。


 兵士たちは、城壁の外にある簡易兵舎で寝泊まりをしているらしい。


 わたしの部屋は、石城の客間である。


 年代物の家具が置いてある、豪勢な一室だった。


 浴槽や洗面台もついていて、バルコニーまである。


 寝台は天蓋付きで、マットも布団もきれいである。


 クラウスが気に病む要素など欠片もない。


 それどころか、こんな豪勢な部屋だとかえって落ち着かない。


 とはいえ、せっかく準備してくれたのである。


 お言葉に甘えて使わせてもらうことにした。


 しばらく部屋でゆっくりさせてもらい、夕食は彼ととることになった。


 二人っきりなので、恰好はそのままでいい。


 気を遣ってくれたのか、わたしが確認する前に彼が言ってくれた。



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