第1話僕と『彼 』
初めて描いてみた作品なので色々至らない点もあると思いますが温かい目で最後までみただけると嬉しいです!
「きょうも俺は夢を見る」
あの子が眠りにつく瞬間を・・・・・・
「っやまさん...つやまれっりさん...夏山蓮李さん!」
自分の名前を呼ばれハッと目が覚める。
窓から差し込む光に目をかすませながら顔をあげるとそこには看護師の姿があった。
「もうこんなとこで寝てちゃダメですよ!面会の準備ができたのでこちらへどうぞ」
看護士に案内されついていく。
僕が今から向かうのは『彼』がいる病室。廊下には自分と看護師の足音だけが響き渡る。まるで『彼』の病室だけ世間とは隔絶されているように感じる。
「つきましたよ。ごゆっくりどうぞ。」
看護師が扉をあけた先にはほどよい日差しにつつまれ静かにベッドに横たわる『彼』がいる。換気のために開け放たれた窓から入り込む風が『彼』の鮮やかな金髪をそっと撫でる。
『彼』の名前は風睡霞桜
1週間前の高校1年になって初めての夏休みの初日僕を事故から庇ってくれた人...
あの日は学校に忘れ物を取りに行くところだった信号が青になり歩き始めたと同時にトラックが僕に向かい突っ込んできた。
その瞬間「危ない!」
と向かい側から声が聞こえたそれが僕が聞いた霞桜の最初で最後の声。
かすかにまわりにいる人達の声が聞こえる
「おい!早く誰か救急を!」
僕は『彼』の頭から滴り落ちる血でできた池をみて座り込むことしかできなかった。
何故声を聞いたのが最初で最後かだって?なぜならその後『彼』は一命を取り留めたものの家族、友達といった関係の記憶を失ってしまったからだ...
今もその状態が続いている。それから週3日僕はこの病院に『彼』の見舞いにきている。
『彼』はとても気持ちよさそうに昼寝をしている。そのにへら顔に癒され頬をつついてみる。
「ん〜」と『彼』がうなる。ついつい可愛いとおもってしまう。今度は両頬をぶにっとひっぱってみる。それでもまたうなるだけだったので、「霞桜かおう起きろ〜!」と揺らしながら起こした。
『彼』は降り注ぐ日差しに目を細めながら
「なんだ〜蓮李れんりかよ〜、美人な看護師さんが起こしに来てくれたのかと思ったのによ。」
「悪かったな美人な看護師じゃなくて」
「まぁお前と過ごす毎日は楽しいからいいんだけどよ」『彼』は元々心臓に疾患がありずっと病院のベッドの上で過ごしていた何故あの時外に出ていて僕を事故から庇えたのは分からない。それに加えて今は記憶も失ってると考えると...
「なにぼさっとしてんだよ?今日もあれやるぞ!」
『彼』が僕を急かす。
僕がこの病室に来る度に僕達はあるゲームをする。それはババ抜きをして勝った方がその日のうちになにか1つ負けた方にお願いができるというものだ。僕はこのゲームで勝ったことがない。『彼』の目はまるでカードが透けて見えているかのようだった。
『どうする?ハンデでもつけてみる?』
『彼』が僕を煽る。
「いい!いらない!」
「じゃあはじめますか」
ゲームは順調に進んでいった。問題はいつも最後の局面、今回は『彼』の残りカード数は1枚、僕の残りカードはジョーカーと♡7の2枚という状況だ。僕がジョーカーを取らせようと必死にポーカーフェイスをしていると『彼』はジョーカーの方に手をかけ「まーた出てるぞ嘘つこうとする時の悪い癖」と、にぱっと笑う。次の瞬間には僕の手から♡7は無くなっていた。
「やったー!また俺の勝ち!やっぱ蓮李は弱いな〜」
あどけない様子で『彼』が言う。
「なんだよ僕が嘘つく時の癖って〜いい加減教えてろよなー」
実際僕には何にも覚えがない、だから癖なのだろうけれど...
「ふっふーそれは自分で気づかなくては...それじゃ今日のお願いね〜」
しばしの沈黙が流れたあと『彼』は意を決したように喋り始めた。
「俺と...」
「俺と?」
「俺と付き合ってください!」
『彼』は満足気な表情で僕を見る。
「はーーーーーーー!?」
「7月19日晴れ☀今日は日差しが照りつけ風が心地よい日となりますが急な嵐に見舞われるでしょう。」
気象予報士のお姉さんの声だけが響きわたった。
最後まで読んでいただきありがとうごさいました!
まだまだ素人くささがあると思いますが感想など送っていただけると嬉しいです!