六話 これ、使える!
最後の方無理やりタイトル回収しに行ったのは秘密だから誰にも言わないよ♪
その夜は勇者にとって最悪の夜になった。モンスターより治癒師のほうが100倍怖かった。勇者は死ぬたびに何処かへ逃げようとしていた。しかし、勇者の転送の瞬間治癒師はスキル「狂化」で全速力で教会に向かう。そしていつもそこにいたのかのように神官の横に悪魔の微笑で立っているのだ。そして、レベル5を日が昇る前に達成することができた時、治癒師はもっと恐ろしいことを言う。
治癒師「ギルド登録ぐらいしてきたらどうですか?」
勇者はキリキリ鳴る腹を抱えゆっくり、ゆっくりとその場所へ足を運んでいた。
勇者「はあ、、、もういいよ。なんか昨日(?)で勇者らしいことできたしこんなことしなくてもいいじゃん、、、あそこで何回死んだことか、、、。」
勇者の死因は一番の原因として、国民から投げられるゴミや子供のいたずらなどが一番多い。その次は机の角などの日常的な事故だ。しかし、それは接している時間が多いからである。時間と死んだ回数の割合でいえば、最も多いのは「ギルドの可愛がり」である。喧嘩や足を引っかけられたり、肩をぶつけられたり、ラッキースケベで係員にビンタされたり、とにかく危険がいっぱいなのだ。そして治癒師の脅しも怖かった。
回想の治癒師「ギルドカード持ってこなかったら家燃やします。」
自分が何度も殺されるのは構わない。どんな攻撃も即死なのだ。拷問なども自分には縁のないことだ。しかし、あの家は、あの家だけはダメなのだ。勇者の家は国王から支給されたお金で買った夢のマイホーム。家はやや一人で住むにしては大きめで、ダイニングキッチン、小部屋二つ、風呂とトイレが別、ベッドルームに低反発枕と抱き枕といったような勇者の下らない夢が詰まっているのだ。
なんだかんだ言ってギルド支部の前まで来ることができた。ドアを開け、ドアベルがカランカランと鳴る。その音に過敏に反応するのか、屈強な大男たちがぱっとこちらを向く。
大男A「おい見ろよ!恥さらしの勇者さんだぜ!!w」
大男のギルドメンバーはこぞってゲラゲラ笑いだす。周りの人達もチラ見してはヒソヒソ小声で話しながらあざけ笑う。
勇者(あ、もう泣きそう)
勇者は何とか人の顔をジャガイモだと思いながら登録受付所までたどり着く。そこまでの道のりもかなり厳しいものだった。ジャガイモAが足を出してきたり、じゃがいもBがぶつかってこようとしたり、なんとも一番恐ろしいのが人間だというような感じである。しかし、AGI(素早さ)能力値がレベル的に他の人よりも遅い勇者がここまで完璧によけることはまず不可能である。それは勇者が先日の森での戦いでスキルをいくつか入手していたことにある。その中の一つが「回避Ⅰ」そして元から持っていた「料理Ⅱ」である。避けないと死にまくり、死にまくると治癒師に脅されるためこのスキルが身についた。そして料理をしていたためまあ「料理Ⅱ」が身についたということである。回避率を上げる「回避Ⅰ」、そしてDEX(器用さ)を上げる「料理Ⅱ」、この二つで何とか受付を受けることができたのだ。
勇者(使えるぜ、、、!このスキル!)
次回「なんかすんません」