三話 怒りを鎮めろその刃物を床に置け
一方、治癒師は、森の中で勇者の帰りを待っていた。
治癒師「遅いなー勇者様。結構遠くのほうに転移されちゃったかな。もうちょっと待ってみようか。」
彼女は健気であった。結局夕方になっても勇者は帰ってくることはなかったが、彼女はまだ勇者のことを待っていた。
治癒師「きっとすごく遠い教会に転移されたんだよね?それともまた石投げつけられてるのかな。それとも風邪?勇者は健康体になってるはずなんだけどな。きっとくるよ!モンスターが狂暴化する夜を狙ってくるのかもしれないし、、、多分今死んでる。また死んでる。勇者さんはダメな人ですね。でもそのあきらめないところも勇者らしくて素敵ですよ。フフフ。」
彼女は気が狂っていた。成績もよく美人であったが故に、このようなことをされるのははじめてのことであった。
更にその頃、勇者は、、、、
家で、ボルシチを作っていた!!
勇者「ふんふふん♪かなりおいしくできたぞ。いや~隣のおばさんから大量のラディッツ貰ってマジ嬉しい!いや~引きこもり多すぎて料理スキル結構上がったんだよな。もしかしてこれで世界救えとかそういうこと?神さm」
その時、ドアがガチャリとゆっくり音を立ててドアが開いて治癒師が勇者の家に入ってきた。
勇者「ゲッ、忘れてた。ごめん置いてってしまって。いや~これでわかったでしょ?僕には無理なんだって。」
すると、治癒師は恐ろしいスピードで勇者の胸ぐらをつかみ台所にあった包丁を勇者に突きつける。
治癒師「あなたいつから家に居ました?」
スキル「威圧」を取得。続いて、スキル「狂化」を取得。
勇者(こいつ、ヤバい!!一歩間違えたら地獄を見る!!)
勇者は不死身であり、死ねないのだ。想像もしたくない。
勇者「えっと、さっき4回死んで、森にはいこうとしたんだけど、、、もう夕方で、それに、君がいる場所がわからなくて、、ほら!森って広いじゃん!」
治癒師「お前、今何してた?」
勇者(はい!僕100回は死にました~もう無理だめだおしまいだ。)
勇者「君はずっと待ってると思ってね。帰ってきて冷えた体を温めてあげようと、ボルシチ作ってたんだ!ほら、そこの鍋にある、、、」
治癒師「え?そうなの?ほんとに?やった嬉しい!先に行ってくださいそんなこと~。よかった~忘れられてたのかと思いました~。なんだそういうことだったんですか。早めに食べちゃいましょ!さめちゃいますよ。」
勇者(助かった~~!!マジで怖すぎなんなんこいつ!やべえ。そしてチョロ!!)
治癒師「明日も行くんですよね?」
勇者「へ?」
治癒師の顔が一気に変わる。
治癒師「へ?じゃねえよ。行くんだよ。細切れにしますよ?」
勇者「はい!行かせていただきます!いや、行かせてください!」
こうして、勇者と治癒師の主従関係は逆転した。勇者は一生このままなのか、それとも彼女は元に戻るのか。クズ勇者とメンヘラ治癒師の冒険は始まってすらいない。
次回、「激闘!」