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探偵は暇をもて余す  作者: 石食い
第7章 後編
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魂の匂い

 街並みに明かりが灯りすっかり夕暮れを迎えていた。

「しっかしお前こんなのをよく飲めるな、苦くてたまらん」マレーは顔を歪ませた。

「この味が分からん様じゃまだまだお子様だな」探偵は勝ち誇った表情で返事を返した。

「何言ってやがるだ、最初飲んだ時は泥水だかインクだか言って吐いてたじゃねぇか」

 マスターが横槍を入れた。

「そういえばお前んちの助手が今日も来て豆を買いに来てたぞ。売ってる側としてなんだがそれなりに高いのによく買えるな、ちゃんと助手に給料払えてるのか、てか自分で買いに来いよ」

「いいんだよ事務所に住まわせてやってるんだ、これぐらいこき使っても構わねえって」

「お前なあ、俺はあの子が不憫(ふびん)に仕方ないぜ。あのぐらいの女の子はお洒落したり友達と遊びに行ったりするもんだろ、お前は何も思わないのか」

「ぜーんぜん」自らを無関係だと主張するかの様に答えた。

「はあ…流石に俺も助手ちゃんに同情するぜ」マレーは肩を竦めた。

「そんな事いいからさっさと終わらせて帰って酒飲みてー」

 その発言を聞いてマレーとマスターはため息をついた。




「そういえばお仕事は何をされているのですか?」助手はクッキーを手に取り聞いた。

「あー、えーと…」男は言葉を詰まらせた。

「ご、ごめんなさい。私変なこと聞いちゃって」慌てて謝った

「いや、いいんだ。僕の仕事はなんというか…そうだな、会社や企業に助言や提案をするのが仕事なんだ、アドバイザーって言うんだ」

「アドバイザー?」

「この国にはあまり聞き馴れない言葉だよね、僕もこの国に来たときに知ったよ」

「え、海外の方だったんですか!」

「うん、レガレスっていう国からね、仕事で来たんだ」

「レガレスって凄い技術の国だって聞いたことがあります。私海外の人に会うのは初めてなんです」助手は目を輝かした。




「しかしろくな資料が残ってないな」マレーは愚痴を言いながら資料を漁った。

 魔導科学医療研究…魔術と科学の両方を用いて難病を治療するという当時この国の随一の魔術師と海外の科学者が集まり研究していて国内外に売り出そうとした一大事業だった。

 主な治療は魔石と科学医療を用いた治療。

 魔石…微小の魔力や衝撃与えると数倍のエネルギーを放出される品物で、魔術師の必需品で魔石を媒体にして魔術を唱える。科学では乗り物の動力源に利用するなど今の用途は科学分野に主に使われている、勿論武器にも。特にうちの国の魔石は他国よりも上質で知られ他国に売り出している。

 研究所は何らかの原因で魔石が暴走、制御出来ず研究所を丸々吹き飛ばした。死者、行方不明者は公表されたが何かしら隠蔽しているのに間違えない。

 当時俺とマレーは別の場所に保管していた研究所の資料をかき集める仕事をしていた。


 手元にある資料はその一部だと思われる。

 これといって目新しいものはない。

 今さらだかもう疲れた、帰りたい。

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