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破天の拳  作者: 秀典
1/4

拳の1

「俺の拳をくらっとけええええええええええええええ!」


「その程度、俺には……ぬああああああああああ、ぐふうぅぅぅ!」


 この普通の拳は、鋼鉄の盾を誇った相手を、いとも容易く貫いた。

 暴漢を軽く倒した俺はというと、いわゆる転生者と言われる者だろう。

 齢十六にしてまさか転生を経験したのだが、まさか人工衛星にぶつかって死ぬとは思わなかった。

 俺は才牙天真さいが てんまという、普通とは少し違う暮らしをした高校生だ。

 考古学者の親父に毎回連れられて海外に行ったりと、不思議な生活をしている。

 このままでは留年もやむなしだろう。

 何故俺が転生したかというと、事件はそう、今から七日前のこと……


「今から海外旅行に出掛けます! 天真てんま君、急いで準備しなさい」


「はっ?! またか親父」


 親父の作馬と二人暮らしの俺は、何日もの日にちをかけて砂漠のど真ん中に無理やり連れて行かれたのだが、その砂漠で砂嵐に巻き込まれ、俺だけが方向を見失ってしまう。

 それだけではなく不幸は更に重なるのだが、天から降って来たのは人工衛星の欠片である。

 気付くこともなく真面にぶつかってしまった俺は、一瞬で死んでしまったわけだが、痛みさえ感じなかったから特に苦しくもなかった。

 それが人工衛星の何かだと気付いたのは、幽霊になってからだが。

 親父だけは心配ではあるのだが、こればかりはどうにもならない。

 温かく見守る位しか出来ないだろう。


 このまま成仏するのだろうなと天を見上げると、とても人間の手とは思えない大きさの、巨大な腕が俺を掴んだのだ。

 あの世とやらに連れて行かれると観念した俺だが、真っ暗な空間に投げ捨てられてしまった。


「まさか、転生なのか?」


 勘のいい俺はそれを察知した。

 女神でも出て来るんだろうと、何も無い暗い空間で待ち続けた俺だが、一向に何も現れる気配がない。

 何も無く、娯楽もないこの空間で、一人待ち続けるだけでも地獄のようだった。

 いや、これがまさしく地獄なのかもしれない。

 熱く叫んでも何も無く、冷静に回りを見てもどうにもならない。

 この霊的な体は、心が体に影響させる。

 恐怖心は自分に痛みさえあたえているのだ。

 永遠にこの場所に閉じ込められるのかと涙が出そうになった時、真っ暗な床から突如子供が飛び出した。


「パンパかパ~ン。あなたはクジ引きで転生者に選ばれました。じゃあ行って来てください」


 頭からつま先まで黄色い子供は、俺に向かってそう言っている。


「ちょっと……」


 話しを聞こうとする俺だったが、地面に突如白色の空間が開いた。

 掃除機の様に吸い込まれそうな風が吹き、俺の体を引きずり込む。

 ガッと縁に指を引っかけ耐えるのだけど、そう長くはもちそうもない。

 兎に角、聞かなければならない事がある。


「ち、チート能力をくれ!」


「ああ、たまに居ますよねそう言う人。う~ん、なんか適当に選んどくので、じゃあさっさと、行ってこ~い!」


「うああああああああ……」


 子供に指を踏まれて叩き落された俺は、このエターナルと呼ばれた世界に生まれ変わったのだ。

 まあ生まれ変わったと言っても特に変化はない。

 服装も元のままだし、顔とか体にも変わった所はない。

 子供からやり直すという訳でもなさそうだ。

 そしてチート能力だけど、詳細を聞かされる間もなく落とされたので俺には何だか分からない。


「どこだよここは?!」


 スタート地点が町ですらない。

 というか町の影さえ見られない。

 森の中央スタートだった。


 まずこの森から出なければどうにもならない。

 何かしらの手掛かりはあるのだろうと、周りを見渡すが……


「本当に何にもねぇじゃねぇか……」


 矢印、もしかしたら道がある、そんな希望さえもたせてくれない。

 周囲の全てが木と草だらけ、見通しなんて全くできない。


「そ、そうだ、もしかしたらステータスとかそういうものがあったら。おい現れろステータス! どうやるんだ。こうか? いや、こうか?」


 妙な踊りを繰り返し、足の小指をクイっと曲げた時にそれが現れた。

 それで分かった事がある。

 俺の能力は強いとは思えない数値となっている。

 旅をしたりと行動的な俺なのだが、体力数値は十しかない。

 スキルなんてものもなく、魔法なんてものもない。

 ただ一つ、力の値が異常に高いのを除けばだ。

 旅をして鍛えられた俺の体力が十ならば、力の値はというと無量大数という数値を大幅に超えまくっている。

 先を見通す事が出来ないぐらいに零が並んでいるのだ。

 その最初の数値が一なのか九なのかもわからないが、点さえついていなければ、これがチート力というものだろう。

 試しに俺は拳を握り、目の前の木へと軽く拳をぶつけてみたのだが……

 大きな木をなぎ倒し、衝撃はその先の木をなぎ倒した。

 いや違う、これは吹き飛ばしたとか、なぎ倒したとかそんなレベルではない。

 拳を当てた所を中心に、扇状に数キロ、根こそぎ何もかもが無くなっていた。


「……確かに強い。チートレベルだろうなこれは。よし、もう一度試すか」


 今度は掌でアリを潰さないようにするレベルで木を触ってみるのだが、火薬でも使ったんではないかというほど、もの凄く盛大に爆発したのだ。


「確かにチートかもしれないけど、これ人に使ったら確実に死ぬんじゃねぇか? 人に触るのもアウトだとか、どうすんだよこれ?」


才牙天真(男主人公)


一応連載にしときます。

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